消費者安全調査委員会「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」に関する調査報告書を公表しました。必要な情報は下記動画報告書概要版に掲載されています。


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より詳しい内容は報告書本文に掲載されています。ここには8件の死亡事故が記されています。

窓からの転落死亡事故

事故類型(事例番号)年齢転落箇所状況詳細
① 0歳児/窓開放/窓付近に足掛かり(ベッド)0歳児窓(2階)事故当時、窓が約30cm開放されていました。窓の下枠から床まで90cmの高さに、ヘッドボード部を窓側にした大人用ベッドが設置されており、ベッドのヘッドボード上面から床まで70cm、マットレス上面から床まで40cmでした。これを足掛かりによじ登り転落したと推定されています。
② 1歳児/足掛かり(テーブル)を持ち運んだ可能性1歳児窓(3階)転落前に「窓枠をつかんで体を乗り出していた」との目撃証言がありました。窓の下には男児が遊びで使う高さ約30cmのテーブルがあり、これに乗れば窓に手が届く状態だったとされています。
③ 2歳児/窓解錠(開錠)/転落前から窓付近に足掛かり(こたつ)2歳児腰窓(4階)居室の床面から窓枠下端まで82cm、腰窓外部の水平部から転落防止柵の高さは86cmでした。窓際のこたつの天板を踏み台にして窓を開錠し開放した上で、窓外部の転落防止柵の取付部を足掛かりとして柵を乗り越えたものと推測されています。

ベランダからの転落死亡事故

事故類型(事例番号)年齢転落箇所状況詳細
① 2歳児/転落前からベランダに足掛かり(水槽など)2歳児ベランダ(3階)ベランダには水槽などが置かれており、これらをよじ登って高さ約120cmのフェンスを乗り越えたとみられています。
② 4歳児/室外機4歳児バルコニー(12階)バルコニーの北側に室外機があり、その上に上って転落したものと推定されています。
③ 3歳児/足掛かり(キャスター付きの台)を持ち運んだ可能性3歳児ベランダ(12階)ベランダの柵は高さ約120cmでした。リビングにあった高さ約60cmのキャスター付きの台が柵の近くに移動されていました。
④ 4歳児/ベランダ手すり柵の通気孔(空気穴)が足掛かりとなり得る構造4歳児ベランダ(11階)ベランダには高さ120~150cmの手すりがあり、空気口が所々に開いており、これが足掛かりとなり得た構造でした。転落時は室内に母親と弟がおり、保育園児は一人でベランダにいました。
⑤ 3歳児/手すりの隙間からすり抜けて転落3歳児ベランダ(5階)自宅ベランダの高さ約100cmの柵に男児のものとみられる指紋が残されており、男児が柵の間をくぐり抜けるなどして誤って転落した可能性があるとみて調べられています。

窓からの転落は0-2歳児、ベランダからの転落は2-5歳児で発生しています。運動能力の違いによるものでしょう。

多くは足場になる物に上った事による転落事故となっていますが、ベランダからの転落事故では「手すりの隙間からすり抜けた」という事故もありました。

家族が在宅していたにも関わらず発生した転落事故もありました。子供の居場所を常に把握するのが理想的ですが、家事や来客等で目を離さなければならない状況もあります。

小さな子供を育てている方に是非とも知って貰いたいのは「転落するプロセス及び転落事故防止方法」です。こちらも報告書本文に掲載されています。

家庭で出来る重要な対策は「子供が解錠できない形式での窓の施錠」「窓の近くやベランダに足場を置かない」です。これらさえ徹底しておけば、転落事故の多くは防げるでしょう。

子供の運動能力や好奇心は大人が考える以上に高いです。道ばたで走り出すとなかなか追いつけず、周囲を気にせずに「待ちなさい!!!」と叱りつけています。

我が家ではベランダに好奇心を持たせない様にもしています。未就学児はベランダに出させません。大きくなったきょうだいが未就学児をベランダへ連れ出した時は、全力で怒りました。

家庭での対策や工夫等により、多くの転落事故は防げます。皆様も対策等を徹底して下さい。