昨晩、緊急事態宣言再延長に伴う菅首相の記者会見が行われました。

ここで首相が強調したのは、五輪開催への決意でした。記者から「緊急事態宣言下でも開催できるか?」と訊ねられましたが、「準備を進める」と回答しました。

(記者)
 緊急事態宣言下でもできるとお考えでしょうか。

(菅総理)
 テスト大会も国内で4回開催しています。今、申し上げましたように、こうしたことに配慮しながら準備を進めております。

https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0528kaiken.html

この質疑を聞き、「仮に緊急事態宣言が延長されたとしても、東京五輪を中止・延期する考えは一切無い」と受け取りました。

また、五輪組織委員会の橋本会長は「有観客で実施したい」という意向を滲ませています。観客数の上限決定を緊急事態宣言の再延長期間後まで繰り延ばしたのは、宣言解除後に有観客を発表したい意図としか考えられません。

橋本聖子会長が有観客開催を示唆「地域医療に支障をきたさないように」

 東京五輪・パラリンピック組織委の橋本聖子会長は28日、都内で定例会見を開き、大会の観客上限について「多くのチケットホルダーからできる限り観戦したい要望もある。今、宣言下でもさまざまなスポーツが客を入れて行われている。検証しながら、どのように理解をしてもらえるかが重要」と、無観客を回避する検討が進んでいることを示唆した。

https://hochi.news/articles/20210528-OHT1T51143.html

私自身は有観客での五輪開催に様々な不安を抱えていますが、これが政府の回答なのでしょう。

宣言解除後は早々にリバウンドが

これと前後して、実家から「今年の盆に帰省する予定はあるの?」と訊かれました。

「現時点で決まった予定は無い」と返したものの、来週はもう6月です(今年は本当に早い!)。そろそろお盆や夏休みの予定を決めたい頃合いです。

今年は正月もGWも「帰省の自粛を」と呼びかけられていたので、帰省を見送った方は少なくないでしょう。飛行機や新幹線のガラ空き具合が物語っています。

しかし、帰省を再び先送りするのは難しくなってきました。実家や高齢の両親の様子が気掛かりです。

帰省を行うにあたって十分に考慮すべきなのは、日本全体や大阪における新型コロナウイルス感染症の感染状況です。仮に大阪が第5波に襲われていたら、帰省するのは非常に難しくなるでしょう。

では、夏休みに帰省はできそうなのでしょうか、帰省するとしたらいつが良いのでしょうか。東京五輪が開催されるという前提の下で検討してみます。

菅首相は緊急事態宣言下での五輪開催を否定していません。が、国内世論や外国諸国からの反応を鑑みると、五輪開催までには解除したいと考えるのが自然でしょう。その為に厳しい休業要請や事実上の禁酒令を敷いていると強く推測できます。

東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のシミュレーションによると、6月下旬や7月上旬に宣言を解除した場合、解除されてから3週間後には早くもリバウンドが発生するとされています。

https://covid19outputjapan.github.io/JP/tokyo_latest.html(リンク先に大阪等もあり)

6月下旬解除ならば7月中旬、7月上旬解除ならば7月下旬です。解除後は日に日に感染者が増加し、徐々に帰省が難しい雰囲気となっていくと予想されます。

帰省は7月中が良さそう、8月は難しい?

であるならば、帰省するタイミングは「7月中」です。リバウンドが発生しても小規模、そして東京五輪の開催中は何としてでも感染を抑え込むでしょう。

8月に入ると雲行きが怪しくなりそうです。リバウンドが徐々に大きくなり、東京五輪開催によって人流が大きくなると推測できます。感染者が更に増加する可能性が高いです。

東京五輪が閉幕したお盆の時期に帰省するのは、更に難しくなると予想できます。政府や自治体から「帰省の自粛を」と呼びかけられかねません。

今夏のキーワードは「オリンピックファースト」です。感染抑制やワクチン接種等も含め、政策判断は「東京五輪開催」を最優先として行われます。

この動きを逆手に取り、政府が感染者を最も抑え込みたい時期に帰省等を行うのが合理的でしょう。夏の旅行も7月中ですね。

一方、お盆の時期に帰省したい方も大勢いるでしょう。しかし、五輪開催後に「帰省の自粛を」と呼びかけられても誰も聞きません。五輪の為に2年連続でお盆が潰されても納得できません。

政府の政策に協力する意思は日に日に薄れています。五輪優先に憤慨しています。ただ、実家の両親をコロナに感染させるわけにはいきません。

これらはあくまでシミュレーションに基づく予想です。ただ、大きくは外れない自信があります。「夏の帰省は早い方が良い」です。