淀川区役所で保育料の算定ミスが明らかになりました。障がい者の存在を見落としていました。
1 概要と事実経過
本市の保育料については、障がい者がいる世帯には保育料が減額される制度があります。保育施設入所中児童の保護者には、毎年世帯の状況を確認するために「現況届」を提出いただいています。
淀川区内の保育施設に入所中の児童の保護者(以下「A氏」という。)から令和7年2月に提出された現況届を、3月5日(水曜日)に審査しました。その際、A氏とA氏の子が身体障がい者手帳を受けていることを把握していた担当者が、A氏の支払っている保育料が障がい者減免未適用の保育料であることに気づき、保育施設入所申込時の書類を確認したところ、身体障がい者手帳の写しが添付されているにもかかわらず、障がい者減免の適用が漏れていることが判明しました。
2 影響額
保育料 57,400円(令和6年4月から令和6年12月分まで)
(中略)
4 発生原因
今回の保育料算定における事務処理誤りについては、令和6年4月からの保育施設入所にあたり、令和5年10月に申込みがあった際、総合福祉システムへの障がい者減免入力が漏れていたことが原因です。さらに、入力内容について複数人でチェックを行っていたものの、確認した職員も事務処理誤りに気付くことができませんでした。
5 再発防止策
今後、保育料の算定にあたっては、申請書と入力内容との整合を複数人で確認することを徹底することにより、再発の防止に努めてまいります。
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/yodogawa/0000648847.html
大阪市の保育所等保育料は、保護者の所得等から算定されます。また、ひとり親世帯及び在宅障がい児(者)のいる低所得世帯が負担する保育料は、世帯所得から算出された金額の半額弱に設定されています。
保育料が誤って算出されていた家庭には身体障がい者手帳を所持している者がいるにも関わらず、総合福祉システムでは「障がい者減免入力」が漏れてしまっていました。人為的ミスが疑われています。
ミスに気付いたきっかけは、保育所等の利用者が毎年2月頃に提出する「現況届」でした。現在の世帯状況等を確認するための書類です。これを保育所等の利用内容や保育料等を照らし合わせた際、区役所の担当者が保育料の算定ミスに気付きました。
一方で再発防止策には疑問があります。同区役所は「申請書と入力内容との整合を複数人で確認することを徹底する」としていますが、失敗する典型的なパターンです。いくら確認する人数を増やしても、ヒューマンエラーは起こり得ます。また、確認に要する人件費を負担するのは市民です。
保育所等の利用者には、保育料額が決定・変更されるタイミングで「特定教育・保育施設等利用者負担額決定(変更)通知書」が届きます。この通知書には区分(子供のカウント)・利用者負担額、摘要欄に階層区分や保育必要量は記載されています。しかし、保育料がどうやって決定されたかのプロセスは省略されています。
特に保育所等へ入所したばかりの世帯の場合、考慮すべき事由(本件では障がい者の存在)が見落とされていても利用者が気付くのは困難です。せめて摘要欄に「障がい者の有無:無」といった記載が気付けたのですが。
大阪市では保育料の算定ミスが相次いでいます。これ以外にも区役所や当事者が気付いていない、算定ミスが埋もれている可能性は否定できません。
もしも「保育料が思っているよりも高い」と感じている方がおられましたが、まずは区役所へ訊ねてみて下さい。保育料の計算は複雑なので、利用者が検証するのは困難です。