平成27年4月からの幼稚園・保育所保育料が多くの世帯で増額される見通しであったのは、当Webで何度もお伝えしてきました。
8月素案からの変更案を2月市会に提出したものの依然として全会派が見直しを求めており、最終的には子育て支援に充てる予算を一部変更して保育料の値上げ抑制に充てる見込みだそうです。

大阪市予算:橋下市長 塾代助成を抑制…保育料値上げ対策

毎日新聞 2015年03月07日 05時30分

 大阪市の橋下徹市長は6日、市議会で審議中の2015年度当初予算案を修正する方針を固めた。市内在住の中学生の塾代を助成する事業で、対象者を全体の8割にまで拡充するための予算約25億円のうち約5億7400万円を減額し、対象者を5割に抑制。同額を保育園・幼稚園の保育料の値上げの抑制に充てる。保育料値上げには全会派が見直しを求めており、公明党などは塾代助成の拡充にも「優先順位は低い」として保育料に回すよう修正を迫っていた。

 橋下市長は同日、各会派の幹事長に修正案を提示した。週明けにも議案の修正手続きに入る。

 塾代助成は「現役世代への重点投資」を掲げる橋下市長の肝煎り政策で、最大月1万円をICカードの形で配る。当初予算案では、中学生の3割だった対象者を条件を緩和して秋から一気に8割に広げる。事業費は通年で50億円近くに膨らむが、現状でも利用者は対象の35%にとどまっており、拡充の効果を疑問視する声も出ていた。修正案は当初案より年収制限を厳しくし、拡充幅を抑える。

 一方、保育料は、4月から多くの世帯で値上げとなる。市立幼稚園ではモデル世帯で保育料が最大2倍超になることから軽減を求める声は維新会派からも上がっていた。

 公明は4日の教育こども委員会で、待場康生市議が「まずは5割程度を助成対象にすべきだ」と提案し、保育料の見直しも求めた。橋下市長も「塾代助成は8割にこだわらず、保育に回すことも考えたい」などと答弁した。

教育こども委員会での審議によると、保育料の値上げ抑制には下記の予算が必要だそうです。
・保育所保育料の増額改定を据え置く場合は4億8000万円必要(3/4待場議員)
・市立幼稚園の平成27年4月入園児にも現行保育料を適用するには1億6200万円必要→全園児に適用すると、概ね3億5000万円程度必要か?(3/4待場議員)

塾代助成からの財源転用も含め、待場議員の意見をほぼ丸呑みした形に見えます。
5億7400万円を保育料抑制に充てるとの事ですが、現行水準をそのまま維持するには8億3000万円が必要となる計算です。
市会へ当初提出した案は中間所得層・中高所得層(年収470−1000万円?)へ負担が集中していたので、抑制対象の中心は主にこの階層となるのではないでしょうか(推測です)。
もう少し情報を集めてみます。

昨年8月以降、保育料の変更話に振り回されてきた感があります。
案を提示して議会で議論するのは重要ですが、その前に変更案を幼稚園・保育所等の利用者に明確に提示して意見を求めるべきでした。
最も重要な子育て世帯が、少し置いてきぼりにされた印象です。
市会の質疑でも「2月・3月になっても4月以降の保育料が決まっていないのはおかしい」という意見が相次ぎました。

来週以降に最終案が公表されるでしょう。
ここでも掲載します。

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(3/8追記)
保育料の引き上げ時期が当初予定していた平成27年4月からではなく、1年後の平成28年4月からとなる見込みです。

大阪市が予算案一部修正へ
03月07日 08時03分

大阪市は、新年度・平成27年度予算案のうち、中学生の塾代などを補助する制度にかかわる内容を修正したうえで、提出し直す方向で調整しています。
一般会計の総額で1兆7000億円あまりとなる大阪市の平成27年度予算案は、現在、市議会での審議が続いていて、野党側からは、「バラマキ予算だ」といった意見が出ています。これを受けて、橋下市長は6日夕方、予算案の一部を修正する意向を、市議会の各会派に伝えました。
このうち、中学生の塾代などを補助する制度について、対象となる生徒を、いまの30%あまりから、約80%に広げる方針でしたが、50%程度にとどめ、5億7000万円あまりを捻出するとしています。
そして、この財源を、市立幼稚園などの保育料の改定経費に回し、引き上げ幅を圧縮するとともに、引き上げの実施時期も1年先送りして、来年4月からにするとしています。大阪市は、こうした内容を盛り込んで予算案を修正したうえで、来週、議会に提出し直す方向で調整しています。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20150307/5997111.html

素案・最終案の発表や値上げの確定から実施時期までの期間があまりに短い点は、当Webで繰り返し指摘してきました。
少なくとも入所・入園を申し込む昨年10月までには次年度の保育料を確定させて欲しかったです。
次年度の保育料が分からない状況で入所・入園手続きを進めざるを得ませんでした。

また、待場議員の指摘によると、大阪市と同様の規模の他政令指定都市(横浜・名古屋・京都・神戸)は新制度に合わせた値上げを実施せず、保育料を据え置いています(私も名古屋市の保育料表は確認しました)。
大阪市だけが突出しており、これが現役世代への重点投資と保育料の大幅値上げが相反するものという指摘を重く受け止めたのでしょう。