(閉まらない防火扉、くすのき好美議員(維新)の一般質問より)

大阪府立学校の老朽化はやはり深刻でした。築年数が古いばかりでなく、緊急対応が必要な項目すら約3500件もありました。改修が必要な項目は約24000件にも達しました。

大阪府が建築基準法に基づく府立学校の点検結果をまとめたところ、老朽化などで改修が必要な項目が2万4000件余りに上っていたことが関係者への取材で分かりました。

府立学校などの自治体が管理する施設は、安全性を確保するため、建築基準法に基づく設備と建築物の点検を定期的に行うことが義務づけられています。

大阪府によりますと、府立の高校は7割以上が築40年を超えていて、老朽化が指摘されていたことから府教育庁は、令和4年度から5年度にかけて府立の高校と支援学校、あわせて189校で行った点検結果を初めてまとめました。その結果、改修が必要な項目が2万4000件余りに上っていたことが、関係者への取材で分かりました。

このうち、▼防火シャッターが閉まらないなど緊急に対応が必要なものは3500件余りで、およそ2000件は学校側が改修などを進めているということです。また、▼床材が剥がれているなどの中程度のものが2800件余り、▼階段のすべり止めが取れているなどの軽微なものが1万8000件余りでした。

大阪府教育庁は「結果を真摯(しんし)に受け止める必要がある。今後は子どもたちの安全・安心を確保するため、計画を立てて速やかに改修していきたい」とコメントしています。(以下省略)

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20241119/2000089295.html

これはいわゆる「建築基準法12条点検」と呼ばれるものです。対象となる建築物について一定期間毎に点検を行い、報告を行うものです。その対象には学校や体育館も含まれています。

定期報告制度について
https://www.pref.osaka.lg.jp/o130190/kenshi_anzen/teiho/index.html

調べた限りでの初出は大阪府議会の山田けんた議員(立憲民主)のツイートでした。
https://x.com/YamaKen_HiraP/status/1833101404941996470

同議員が委員会質問にて取り上げたそうですが、詳細な内容は未だ見つけられていません。

本件はくすのき好美議員(維新)も指摘しています。令和6年6月定例会の一般質問では、府立学校のプレハブ校舎等の耐震性・建替計画・施設設備の不具合箇所の改修等について質問を行いました。

令和6年6月定例会 一般質問概要
https://osaka-ishin.jp/pdf/qa/2024/2406_05_kusunoki.pdf

驚かされたのは旭高校の設備不具合です。シャッターの様に降りてくる防火扉の下を横断する形で4-5本のケーブルや配管が敷設されており、防火扉が全く機能しない状態となっています(冒頭写真参照)。

これは商業施設だったら、消防署から厳重注意を受けるのは間違いありません。施設を運営する企業は大至急の対応を迫られます。防火扉が閉まらなかったあまりに雑居ビル等にて大勢の方が死亡した事例は少なくありません。

もしも火災が発生しても、防火扉は閉め切れないでしょう。延焼を防げず、火災が拡大しかねません。この不具合は法定点検にて「要是正項目」とされています。同程度の緊急対応が必要な項目が府立学校全体で約3500件もあるそうです。

学校は児童生徒の生命身体を守り、地域住民の避難所となる場所です。にもかかわらず防災対応に必要な設備の不具合が放置されている状況は極めて深刻です。

私も数多くの老朽化した府立学校を目撃しています。高校説明会に参加すると嫌でも目に入ります。

老朽化が深刻な大阪府立高校、築70年以上で改築予定

この問題について「財源がない」という言い訳は通りません。2024年度当初予算案にて私立高校授業料完全無償化制度にて222億円もの予算が計上されました。私立高校進学者へ経済的支援を行うよりも、府立高校の深刻な不具合等を改善する方が優先されるべきです。

特に私立中学校を経て私立高校へ進学する生徒は一般的に経済的に極めて恵まれており、無償化対象とするのには疑問を感じています。学習塾が「私立高校無償化で中学受験がしやすく」とセールストークを行っており、中学受験の過熱化を招いてます。

大阪市立小中学校の老朽化も深刻です。お世話になっている学校やPTA等から校舎建替や設備改善を求める強い声が出ているのですが、「市教委の対応」が冷たいと漏れ聞こえてきました。

地方行政に於いて教育は重要な要素です。教育の場たる学校は主に校舎・設備と教職員によって構成されています。しかしながら校舎・設備の多くは古く、現代の教育で求められる十分な機能を兼ね備えていません。それどころか不具合は放置されているのが実情です。

保護者の目はシビアです。老朽化した公立学校より、新しい校舎や設備を備えた私立学校への希望者が増えるのも理解できます。大阪府や大阪市はもっと「公教育」を重視し、予算を投じるべきです。

「学力向上」も大切ですが、その為にはチャレンジテストや府立高校入試C問題ではなく、快適かつ落ち着いて学習に集中できる校舎や設備が必要です。