多くの子育て世帯に影響を与えかねない制度変更です。「1歳半・2歳までの育児休業延長」が厳格化される見通しです。

 育児休業給付の受給期間を延長する目的での、保育園入園の「落選狙い」を防ぐため、厚生労働省は来年4月から審査を厳格化する。新たに「申告書」の提出を求めるほか、ハローワークが本人に復職意思を確認する。22日の同省の審議会で了承された。

 ハローワークに提出する申告書には、保育園の利用開始希望日▽申し込んだ中で、自宅・勤務先から最も近い保育園と通園時間▽通園が片道30分以上の場合、その保育園を選んだ理由などを記入してもらう。また、利用申し込みの際の書類の写しの提出も求める。

 育休給付は原則1歳までで、育休をとり始めて6カ月間までは育休前の賃金の67%を、その後は原則1歳になるまで50%が支給される。保育園に入れずに育休を続ける場合は例外として最長2歳まで延長できる。2025年度からは少子化対策として、両親の14日以上の育休取得を条件に最大28日間は80%(手取り10割相当)へ引き上げる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1914aac9881f99152dbcf05c6db244e05b48da3d

改正案は2024年3月14日に開催された労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)、及び2024年3月22日に開催された労働政策審議会 (職業安定分科会)にて了承されました。

具体的な改正内容等は上記審議会で配付された資料に掲載されています。

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変更後の内容です(上記資料より)。

現在は「保育所に入所できない場合」を「自治体の発行する入所保留通知書」によって証明しています。

しかし、2025年4月以降は「速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであること」という要件が加えられます。

この要件の有無は本人が記載する申告書(上記画像3枚目)や自治体へ提出した申込書(写し)によって確認されます。具体的には「申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅又は勤務先から遠隔地の施設のみとなっていないこと」「市区町村に対する保育利用の申込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないこと」が求められます。

現在は1年半や2年間への育児休業延長は、ほぼ制限無くして行われていると認識しています。「(ハローワークで)育休延長を断られた」と言う話は聞いた事がありません(但し「勤務先に断られた・渋られた・解雇をちらつかされた」という話は多数)。

では、制度改正後はどうなるのでしょうか。真っ先に封じられるのが後者の要件です。

実は入所申込にあたり、大阪市は「私は、育児休業を延長することが可能であり、利用調整において他の利用希望者よりも後の順位付けとなることに不服はありません」という項目を設けています。事実上、「育休の延長を希望する」趣旨での項目です。

2025年度以降の申込書では、この項目は削除されるでしょう。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000605/605326/02mousikomisyotyousahyou1.pdf

悩ましいのは前者の要件です。遠隔地(自宅もしくは職場からの移動時間が30分以上)の保育所等のみを申しこんだ場合には、合理的な理由が必要とされています。

大阪市は市内に1000箇所近くの保育所等があります。自宅や職場から30分以内であれば、数十箇所の保育所等が存在します。この中から確実に入所できる保育所等、ないしは確実に入所できない保育所等のいずれも選択できます。

掲載された資料を読み込んだ限り、育休延長を大幅に絞り込む意図は読み取れませんでした。あくまで「イレギュラーな申込による育休延長を除く」のが改正趣旨です。

であれば、「きょうだいと同じ保育所等に入所したい」「どうしても近所の○○保育所へ入所したい」という理由での育休延長は、従来通りに認められるのではないかと感じました。

また、様々な要件や書類を付け加えても、果たして忙しいハローワークがどれだけ緻密な審査等を行うかはやや疑問です。

たとえば上記の通り、大阪市では自宅等から合理的な地域かつ30分圏内で入所困難な保育所等を探すのは容易です。少なくとも書類上の要件はパスできてしまいます。

この制度改正によってどれだけ育休延長が制約されるかは不透明です。ただ、1歳以降も育休を延長する方は決して少なくありません。

子供と同じクラスに在籍している方でも「2022年12月生まれだから、育休を延長して4月から1歳児クラスへ入所する」という方がいます。要件を厳格にすると、こうした育休延長も排除しかねません。

延長の可否が不透明だと「育休延長できるは分からないから、いっその事、育休を切り上げて復職しよう」という動きを促しかねません。

どういった場合に育休が延長できるのか、具体的な事例等が示されれば子育て世帯は安心できます。