摂津市立中学校に勤務する教諭(29歳)及び校長(50歳)が懲戒処分を受けました。

教諭は生徒らの面前でいじめを助長する発言し、いじめ被害を受ける生徒の臀部を複数回蹴った。更には校長や保護者に対しても虚偽の説明を行いました。

校長はいじめ被害を認識しつつも教諭の主張のみを信じ、詳細な事実確認を怠る等の不適切な対応を行いました。

https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=49956

具体的な内容が各紙で報じられています。

 大阪府教育委員会によりますと、今年5月中旬~6月上旬にかけて、大阪府摂津市立の中学校で男子生徒が上級生からくすぐられたり、締め技をされるなどのいじめを受けていたということです。

6月上旬、男子生徒が上級生から身動きができないように捕まえられ、くすぐりなどの行為を受けていた際、その場に近づいた29歳の男性教諭が、くすぐっていた生徒から「やっていい?」と聞かれ、「やれやれ」と返事しました。その後29歳の男性教諭はくすぐられ横向きに倒れていた男子生徒の尻を複数回蹴ったということです。

蹴られた生徒はその後保健室に行き、いじめを受けたことや教諭から蹴られたことを訴えました。

訴えを聞いた校長らが教諭から聞き取りを行ったところ、教諭は「仲良くやれやれと言った」「蹴るつもりはなかった」などと話し、校長は教諭の言い分を信用したということです。

校長と教諭は謝罪のためその日の夕方、男子生徒の自宅に家庭訪問に行きましたが、保護者は2人の説明に食い違いを感じたとして、謝罪は受け入れなかったということです。

校長と教諭は帰校したところ、保護者が来校、その際に校長が教諭に席を離れるように指示、教諭は校長室の衝立に隠れたということです。

保護者は校長に教諭の所在を尋ねたところ、校長は「不在である」と答えました。約2時間話し合いが行われた後、隠れていた教諭が物音を立てたことから、保護者が教諭の存在に気づき、保護者は強い不信感を抱いたということです。

教諭は聞き取りに対して、「少しくらい大丈夫だろうという認識があった。生徒と一緒に加わって遊ぼうとの思いで、被害生徒を蹴った」「蹴ったと言うと、体罰になると思い、不誠実な説明をした」と話しているということです。

また、校長は聞き取りに対して、「教員が生徒を蹴ることはないという思いで、教諭の説明を疑わず信じてしまった」「保護者が来校した際に、教諭と会わさない方がいいと思った」と述べているということです。

大阪府教委は12月26日付で校長を減給1か月、29歳の男性教諭を減給6か月の懲戒処分にしました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e382e1de5a4c5238166c4e4e7bc9afc2eb804842

酷い話です。残念ながら生徒間のいじめは起こり得ます。学校は未然防止や早期の把握・解決に努めていますが、根絶できていません(今後も無理でしょう)。

が、いじめに教員が加わるのは話が違ってきます。

当該教諭はいじめの現場を目撃していました。本来はいじめを制止し、他の教員も交えて双方当事者から事情を聞き、解決に努めるべき立場です。

しかし「(いじめを)やっていい?」と訊ねた加害生徒に「やれやれ」と助長したばかりか、自身もいじめ行為に加わって生徒を何度も蹴り飛ばしました。

生徒は保健室へ直行し、(養護教諭に)いじめ被害や教諭に蹴られた事を訴えました。こうした話は即座に教頭や校長へ伝えられます。

校長は教諭から事情聴取しましたが「仲良くやれやれと言った」「引き離すつもりが足が当たった。蹴るつもりはなかった」等と弁解し、校長はこの主張を安易に信じました。

その後に2人は被害生徒宅を訪問し、保護者に事情を説明しました。しかし、子供から聞いた話と教員2人の話は矛盾しています。保護者は判断を留保し、謝罪を受け入れませんでした。

2人が帰宅した後、保護者は子供自身から具体的な被害状況や過去の被害等をもう一度話を聞いたでしょう。そして教員2人の話の不合理さを認識します。

もう一度話を聞きたいと思った保護者が学校を訪問し、校長室を訪ねました。たまたまでしょうが、校長室には当該教諭がいました。とっさに校長が教諭に隠れる様に指示をし、保護者を招き入れました。

話し合いは長引きました。忙しい校長が保護者と2時間も話し合うとは尋常ではありません。隠れるのに我慢できなくなった教諭が物音を立て、保護者が気付きました。

強い不信感を抱いたばかりではなく、激しく怒ったのが真相でしょう。校長と2人で話している筈なのに、加害教諭が室内で聞き耳を立てていたのですから。

また、ここで隠れたと言うことは、自身の行動に後ろめたさを感じていたからでしょう。何も問題が無ければ保護者へ再度説明するか、挨拶した上で退室すれば良いだけでした。

言い逃れが出来なくなった教諭は、その場で自身の加害行動を認めました。いじめの助長・体罰・保護者への虚偽説明・不誠実な保護者対応等、極めて悪質な行動です。教員失格です。

この後に学校等が調査を行った結果、長期間に渡るいじめ行為も明らかになりました。当該生徒は22日間不登校となりましたが、現在は学校へ登校しているそうです。

事件後、当該教諭は中学校を離れました。現在は勤務しています。こうした教員に対し、大阪府では指導改善研修を行う事が多いと聞きます。

https://www.pref.osaka.lg.jp/kyoshokuin/sisitu-main/sisitu-04.html

ただ、本件は生徒に対する加害行為や虚偽説明という悪質な行動がありました。教員としての立場のみならず、人間としても許せない振る舞いです。

にも関わらず、「減給6か月(10分の1)」という処分は甘々です。教員から児童生徒への体罰に対する処分基準が甘すぎます。