小中学校では自治体(複数の自治体や自治体内の一部地域という場合もある)の教育委員会が選択した教科書を用いて授業を進めています。

大阪市は市内を4ブロックに分け、それぞれで教科書を選定しています。

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それぞれの教科書毎の編集コンセプト・特徴・観点別の特色等は、各教科書会社のウェブサイトに公表されています。その中で保護者にとって重要なのは「カリキュラム作成資料」に含まれている「年間指導計画案」です。

例えば大阪市内の全小学校が採用している啓林館理科教科書は下記の様に記されています(3年生の4-6月を紹介)。

https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sho/text_2020/science/file/science_guidance_plan01.pdf

各教科書会社が公表している計画案を元に、学校や先生は年間の授業計画を定めているでしょう。いわゆるシラバスです。大阪府立高校はウェブサイトで公表しています。年度末までに履修すべき範囲を終えられる様に授業を進める筈です。

何らかの事情により、授業の進行が大幅に遅れてしまう事もあります。が、児童生徒が気づく事はありません。保護者視点では授業内容はブラックボックスです。「年間指導計画案」は授業の進捗状況を「見える化」する資料となります。

授業の進みが遅いのではないかと疑問を有した場合、子供の教科書やノートと年間指導計画案を対比する事により、本当に遅れているか、どれだけ遅れているかを客観的に明らかにできます。

実は先日、我が家がお世話になっている中学校にて特定教科の進度が大幅に遅れている事が判明しました。

切っ掛けは定期テストの試験範囲でした。各科目毎の試験範囲や提出物等をまとめたプリントがテスト前に配布されます。教科書30ページ~40ページ程度が試験範囲と指定される教科が多い中、ある教科だけが「試験範囲10ページ」だったのです。

子供は「テスト勉強が楽になる」と大喜びです。親は「丁寧に進めていたか、様々な事情で授業時間が予定通りに確保できなかったのかもしれない。テストが終わったら、授業をスピードアップするのだろ。」と受け止めました。

が、次の定期テストの試験範囲は「10ページ」のままでした。心底驚きました。子供に授業の様子を聞いたところ、「授業が全然進んでいない」との事でした。

流石に親も疑問を抱きます。そこで当該教科書会社が公表している年間指導計画案と試験範囲を対比したところ、何と計画案から3か月も遅れていました。

これを関係者に伝えた所、対応が急激に変化し始めました(詳細は省略)。親も子も困惑している最中です。早くも「年度内に遅れを取り戻すのは困難だ」との声が漏れ聞こえてきました。

今時の中学校の授業が分からない親が学校へ「進度が遅いのではないか」と指摘するのは困難です。が、教科書会社が作成・公表している「年間指導計画案」という資料との違いを浮かび上がらせる事により、客観的な状況を把握できました。

もしも同じ様な疑問や悩みを持っている方がいましたら、まずは年兼指導計画案に記載されているスケジュールと子供のノートを見比べて下さい。遅れている理由があれば、学校は教えてくれます。