以前に当ウェブサイトにて両親の学歴・世帯年収と子供の学力の関係について何度か取り上げました。
今回は新たに大阪市内の中学3年生が受験した2022年度学力テストの結果を用い、その中学校区の居住者の学歴(大卒率)と世帯年収との関係を検証します。
本来は中学生の両親のデータを利用すべきです。しかしながらデータがなかったので、代わりに学区データを利用しています。各データは大阪市立学校データベースにて公表している数字です。
結論から言えば、「学力テストの結果と学区居住者の大卒率・世帯所得とは強い相関関係がある」となりました。
まずは世帯所得です。x軸が学力テストの点数、y軸が世帯所得を表しています。綺麗な右肩上がりのグラフとなっています。
次は大卒率です。こちらも同様のグラフです。世帯所得以上に大卒率の方が学力テストの点数との関係が強くなっています。
これらのデータから「学区居住者の大卒率・世帯所得が高ければ高いほど、中学校の学力テストの点数は高くなる」事が読み取れます。
こうした学区には世帯所得や両親の大卒率が高い子育て世帯を引き寄せる環境があり、子供の教育に力を入れている世帯が多いのでしょう。
考え方の違いが鮮明となる中学生
小学生とは違い、中学生は子供の学力や各家庭の教育方針の差が明確に現れます。
入学前から大手進学塾(馬○教室が多い)へ通塾させている世帯もあれば、平日も休日も問わずにクラブスポーツに励んでいる子供もいます(推薦で高校へ進学する意向とのこと)。
学力差も明らかになります。テスト毎に平均点や大凡の分布が分かる資料が配付されていますが、20点~40点台の人数の多さに驚いてしまいました。高校ならまだしも、義務教育である中学校です。
各学校は主たる学力水準に合わせて授業を進めるのが専らです。その水準から外れている生徒からは「授業が簡単すぎる」「難しくて訳が分からない」といった不満が出やすくなります。
積極的に習熟度別授業を行うべきでしょうが、必要なマンパワーが足りていないのが実情です。通常授業を行うのも難しい程に先生が足りていないという話を聞きます。
地域性を反映した保護者の声も無視できません。保護者が育ってきた環境・職業・地域性によって、学校に届けられる意見の中身も違ってきます。
大阪市立中学校は学校案内冊子にて進学先を公表していますが、その内容は各校で大きく違っています。
進学先は学区の大卒率や世帯所得と強い関係があります。こうした実情を踏まえつつ、必要に応じて学校選択制の活用も考えて下さい。「孟母三遷」という言葉が当てはまるかもしれません。