2月17日13時から開催される大阪市会教育こども委員会を書き起こしました(趣旨)。大阪市立学校活性化条例の一部を改正する条例案が審議されました。

小学校を12~24クラスとする計画策定・公表・意見聴取を市教委に義務付け 大阪市条例改正案

※15時頃までの書き起こしです。

議案第8号
大阪市立学校活性化条例の一部を改正する条例案

(小学校の学級数の適正規模の確保)
第16条 教育委員会は、小学校の学級数の規模を適正規模(児童の良好な教育環境の確保及び教育活動の充実を図るために望ましい小学校の学級数の規模をいう。以下同じ。)にするよう努めなければならない。

2 適正規模は、学級数が12から24までであることとする。

3 教育委員会は、前項に定める学級数を変更するためにこの条例を改正しようとするときは、あらかじめ大阪市学校適正配置審議会の意見を聴かなければならない。

4 教育委員会は、学級数の規模が適正規模を下回る小学校であって今後も適正規模となる見込みがないと認めるもの(以下「適正配置対象校」という。)について、統合又は通学区域の変更によりその学級数の規模を適正規模にするための計画(以下「学校再編整備計画」という。)を策定しなければならない。

5 学校再編整備計画には、計画の実施時期、実施後の小学校の所在地その他教育委員会規則で定める事項を記載するものとし、その内容は、適正配置対象校の学級数の規模が適正かつ円滑に適正規模となることができるものでなければならない。

6 教育委員会は、学校再編整備計画を策定したときは、これを公表しなければならない。

7 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、前項の規定により公表した学校再編整備計画の内容その他教育委員会規則で定める事項について、保護者等の意見を聴かなければならない。

https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/result/pdf/2020gian8.pdf

山本教育長
・更なる少子化の進展、学校指導要領の改正

杉村委員(維新)
・条例案の趣旨は?
→教育環境の改善を第一、話し合うルールが必要
→今後は3校以上の統合も必要、基本的な枠組みがまとまりにくい
→小学校は12から24学級、再編計画を策定して公表する

・ルールを条例で定める趣旨は?
→学校や教育活動の場、地域コミュニティの拠点、多様な関係者で条例化した趣旨を共通認識したい

・再編時期、場所の他に定めるのか?
→スケジュール、再編後の学校設備の活用方法等、これまでの指針を基本としたい

・25学級以上の大規模校の取り組みは?
・市内中心部の教育環境上の課題は?
→文科省ガイドラインは31学級以上の過大規模校の解消を促している
→特別教室の複数整備、副校長の配置、分離新設、学区の見直し、校舎高層化、高校跡地の活用

・これまでは責任の所在が不明確だった
・問題意識は理解されやすいが、学校は総論賛成各論反対が生じやすい
・案に対する説明責任を行政が持つ、明確なルール、子どもファーストで議論が進んで欲しい
・通学路の安全確保を進めて欲しい

木下委員(自民)
・生野区が進まないので条例化?
・鶴見区以外の全区84校が対象となる、影響が大きい
・過大校が対象外という不備
・全市?生野区のみ?
→生野区がモデル、全区の小規模校同士の再編でのルール

・計画を作るのが23区、教育委員会の業務量が増える
・阿倍野区の常盤小学校、1300人近い、こっちの方が急務
・体育館やプールが狭すぎる、体育の授業が適切にできない、おかしい
・全国体力テストで大阪市は全国平均より大きく低い
・小規模校の統合は大人の理屈ではないか?
・過大校とのバランスをどう考えているのか?
→過大規模校に教育上の課題がある、隣接校も狭隘、分離新設用地も難しい、ルール化が難しい、ケースバイケースで対応

・条例化の有無で行政のやる気の高低、過大校は後回し?
・25学級の小学校は10校、条例案から抜けている
・条例化になじまない

・総合教育会議で市長が「学校再編と地下鉄延伸は別」と発言
・平成30年8月8日、PTA会長「保護者は、地域の姿勢に応じ再編反対。地域の合意は困難と思われることから、行政の決定事項として進める方がよいとの意向。」
・令和元年7月30日、田島連合会長「学校再編より地下鉄延伸が先」

・PTA会長&地域会長「こんな発言はしていない」
・2人とも怒っている
・会長「地下鉄延伸や空き家対策を求めた、交換条件として取り上げた趣旨ではない」「改ざんされて不愉快」
・2人を呼びたかったが、維新公明が反対して呼べなかった
→2人から聞いた趣旨を資料としてまとめた、他の職員も間違いなく聞いていた

・区役所職員が勝手に咀嚼して盛り込んだとの思いを持つ
→区長着任後、3年以上にこうしたやりとりをしている、複数の者がこういった発言をしている

・区役所職員が文章を捏造したのではないか?
→間違いない事実だと区長は思っている

・PTA会長と連合会長がウソ?
→区民を巻き込んだのは申し訳ない、コミュニケーションを重ねていきたい

・林寺小学校「区への不信感」とは?
→区からの回答が遅い

・教育長の所見は?
→地域の合意を前提とする考え方で取り組んできたが、子供の教育環境の改善を第一と考えたい
→公平かつ持続的、統一的なルールを条例化
→行政の対応にも問題があった

・区長は?
→連合会長は84歳、町会レベルでなかなか情報共有されない
→保護者世代への働きかけも必要
→高齢の方へ説明するのは大変
→高齢の会長が決断するのは大変、申し訳ない

・本人が発言を否定している内容が資料に掲載されている
・市長の所見は?
→議案とは違う方向に話が行っている
→小規模校の学校現場を改善したい、適正なクラス編成をやりたい、
→「再編の話だけはするな、延伸や空き家対策も、総合的に再編問題も」と捉えた、会長はリンクさせている
→今のスケジュールで条例化を進めたい
→地域事情は議員の方が詳しい、だが学校現場の状況は市職員の方が詳しい

・市長と区長の意見が違う
→学校再編と街作りはリンクしない

・地元のハレーションを理解して議論を進めて貰いたい
・私もリンクさせるべきではない(失笑)、役所が捏造している
・資料が誤っていたら、議論を元に戻すべき
・生野区以外への影響が大きい

永井委員(公明)

・地元の平野区でも統合が行われた
・今までに43校が統廃合
・地域活性化と条例の関係は?
→区長のリーダーシップの下、地域の意見も聴いていく

・地域コミュニティは小学校単位、条例化によって問答無用に進んだら困る、避難所が無くなったら困る、障害児の対応、心配や不安の声
→連合町会や地域活動協議会の統合を求める物では無い
→跡地は地域の意見を聴き、区長が検討する

・柔軟に計画を変更する事も必要ではないか
→計画や変更も想定している(例:マンション開発)

・区役所に任せすぎだった、小規模校はメリットもデメリットもある、市教委が主体的に、
・計画策定時から地域住民の声をしっかり聞いて欲しい

長岡委員(共産)(←話が早すぎる!)

・条例制定には反対
・文科省手引きに「行政が一方的に進める性格の物では無い」と書かれている
・意見がまとまりにくいのでルール化? 大阪市は道を踏み外している
・総合教育会議を木下委員と一緒に傍聴した
・塩草立葉小学校の統合、大きな幹線道路や踏切を渡って通学している
・統合後に児童増加、校舎増築中
・日本橋小中一貫校、スクールバスの約束が反故にされた
・鶴橋小学校、アットホームな入学式だった
・クラス替えはないけど、少ない人数で仲良し
・小規模校を歓迎する声も多い
・目が届くからいじめに発展しない、異年齢も含めた人間関係を作れる

・運動会は周辺校との合同開催でカバーできる
・きめ細やかな指導は規模が大きい学校では難しい
・1クラス40人はパンパン、2クラスに分けて欲しいと署名運動を始めた、複数学級となるメリットも
→1-2年生は35人、それ以上は40人学級、本市独自に習熟度別学習を実施、少人数学級は国の責任で実施すべき

・世界の流れは小規模校

(外出するのでここまで)

※本日中に議決予定です

http://osaka.gijiroku.com/voices/GikaiDoc/attach/Nittei/Nt685_020217_yotei.pdf

改正案は維新・公明の賛成により、委員会で可決されました。審議時間が短い、スピード可決でした。

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(2/18追記)
各紙が記事で取り上げています。

大阪市立小学校再編案、市議会委可決 生野区「力ずく」に反発

 小規模化が進む大阪市立小学校の統廃合を進めるため、学校の適正配置を明文化する市立学校活性化条例の改正案について、大阪市議会の教育こども委員会は17日、維新、公明両会派が賛成して可決した。3月21日の本会議で可決されれば、4月から施行される。

 改正案では、適正規模を12~24学級と定める。11学級以下で適正規模になる見込みがない学校は、市教委が再編計画を作り、保護者らの意見を聴く義務が生じる。鶴見区を除く23区計84校が対象となる。過大規模校の対策を求める意見も出た。

 一方、生野区西部の小学校再編について、市教委の対応に疑問が出た。市教委は地元の意向として「地域合意は困難。行政の決定事項として進める方がいい」などと記した資料を1月の市総合教育会議に提出し、再編計画は承認された。地元PTA会長らの発言が根拠とされたが、木下吉信市議(自民)は「発言していない」との会長らの抗議文を紹介。「捏造(ねつぞう)なら職員基本条例上、問題だ。事実確認をして改めて議題に供するのが本来の手続き」と指摘した。

 PTA会長らが名を連ねる、生野区の再編計画を強引に進めないよう求める地元からの陳情書は継続審査となった。生野区舎利寺連合振興町会の猪股康利会長は「自分たちの声が届かないのが残念。計画を力ずくで押しつけず、賛否いろんな人が集まって話す機会がほしい」と話した。

https://mainichi.jp/articles/20200218/k00/00m/040/076000c

小学校統廃合条例成立へ 大阪市議会委

 大阪市議会の教育こども委員会は17日、児童数の少ない小学校の統廃合を促進する市立学校活性化条例案を審議し、大阪維新の会、公明党の賛成多数で可決した。学校統廃合を条例で進めることに対して懸念の声が上がっていたが、21日の本会議で可決、成立する見通し。

 同条例案は、小学校の学級数の適正規模を12から24までとし、適正規模を下回り、今後も適正規模になる見込みのない学校については、再編整備計画の策定や公表、保護者からの意見聴取を義務付けている。

 再編対象となる11学級以下の市立小学校は289校中84校。市民からは少人数のためクラス替えができず人間関係が固定され、授業内容が制約されるといった問題点を指摘する意見の半面、統合後は遠距離になる通学路の安全性や、地域の避難所機能が喪失することなどに対する懸念の声が上がっていた。

 委員会の質疑では、逆に大規模校に対する対応がない点や小規模校のメリットの議論が不十分、条例案の議論に趣旨と異なる意見を使用されたとする住民の不信感もある、といった指摘があった。

 状況変化に応じた計画変更の必要性に対しては、市教育委員会が変更する場合があると答弁した。

https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200218/20200218024.html

私自身は学校統廃合は積極的に進めるべきと言うスタンスです。大前提として「更に少子化が進展する」があります。

小規模校の保護者からは「クラス替えがない」「先生が小まめに見てくれるが、とても忙しそうだ」「PTA役員が大変」という話をよく聞きます。

小学校進学時の学校選択では、多くの地域で小規模校を敬遠する傾向が生じています。

また、小規模校に属している先生方は教育総合会議のヒアリングで「授業で工夫が必要」「校務負担が重い」「大規模校に馴染めない」と指摘しました。

<みゆきもり小学校長>
・みゆきもり小学校88名
・細やかな指導が行える
・授業中に対話、意見をする相手が少ない
・実験やグループ学習で工夫が必要
・友達同士の関わり合いが少なくなる
・行事時の1人当たりのバス代負担額が大きい(統合予定校と共同実施した)
・クラス替えが出来る複数学級が望ましい

<桃谷中学校長>
・統合前は全3クラス、統合後は全9クラス
・高校入学後に大人数に馴染めない弊害があった
・競い合い、クラブ活動が活発化
・統合前は教員の校務負担が重かった

https://yodokikaku.net/?p=31885

これに対し、長岡委員は小規模校のメリットを強調し、統合された学校の問題点を指摘していました。少人数学級の編成も重要ですね。

塩草立葉小学校の児童急増問題は私も聞いた事があります。児童推計(大規模ファミリーマンションの建築計画の把握)が甘かったと言わざるを得ません。

抜け落ちた大規模校への対応、生野区対立は深刻

賛否関係なく複数の委員が指摘していたのは「大規模校・過大規模校の対応」です。

市教委担当者は「学校によって事案が大きく異なるので、ケースバイケースで進める」と答弁していましたが、これは小規模校にも当てはまります。

大規模校での教育の大変さは、木下委員が繰り返し指摘していました。

教育環境に課題を抱えているのは小規模校も大規模校も同じです。各校に応じた「適正化計画」が必要です。条例で手当てされなかったのは残念です。

また、木下委員は「捏造された生野区の連合町会長やPTA会長の発言が会議資料に掲載された」と指摘しています。

真実は分かりません。ただ、この発言が資料に掲載されていなくても、統廃合を行政主導で進めるという方向性に影響は及ぼさなかったでしょう。

むしろ気になったのは、生野区長が「連合町会長は84歳」と答弁した部分です。前の答弁から「高齢だから記憶が曖昧では無いか?」と示唆したと感じました。

方や捏造、方や高齢批判、生野区と地元町会との対立が非常に根深いと感じました。この対立が条例化の根底にあるのかもしれません。

「子供ファースト」であるべき

子供が小学校に通い始めて痛感したのは「地域の学校への影響力が強すぎる」という点です。学内行事も地域の移行が優先され、あたかも「地域ファースト」になってしまっています。

PTAも似た傾向があります。地域に何らかの所縁がある方の発言力が強く、それ以外の人間は意見を言いにくい雰囲気があります。全ての保護者では無く、地域に所縁がある保護者の意向が色濃く漂っています。

市教委が統廃合に関する基準や手続を明文化し、統廃合計画を策定するのは合理的です。フレームワークがなければ議論をするのは難しく、迷走しがちです。

子供の教育環境の当事者は子供と保護者、そして学校と先生です。学校は教育の場であり、地域コミュニティ・避難所といった機能はあくまで付随的な物です。

あくまで小学校の統廃合は「子供の教育環境を第一に」考えるべきです。「子どもファースト」であるべきです。

とは言え、本条例改正案の実質的な審議は1日のみでした。統廃合の議論は兎も角、条例に関する議論は不足しています。

こうした手続で条例化させて計画を策定しても、地元の反発が更に強くなるのは避けがたいと感じています。強い「統合反対運動」が生じても不思議ではありません。

また、11クラス以下の小学校84校に再編整備計画を策定するのは非現実的です。全学年が単学級(もしくは数年中に単学級化)である小学校に限定するのが現実的でしょう(リストはちら)。

本条例改正案は3月21日の本会議で可決される見通しです。