ショッキングな記事がありました。小学校が児童に対して文書で「命の安全を保障することができません」と伝えていました。

 札幌市立小学校の特別支援学級に通っていた4年の女子児童(10)が年度末の3月、新年度に教員の数が減るため「命の安全を保障することができません」(原文ママ)と同校から文書で転校を促され、実際に7月に市内の道立特別支援学校に転校していたことが3日、分かった。学校側は「適切な表現でなかった」と保護者に謝罪した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/940dd37c50dc3962485aeff873fd707172b8647b

文書の一部がリンク先に掲載されています。掲載部分を文字起こししました。

○○さんの困り感につながっていることが 「複数で活動すること」にあることに気づきました。 学校に来たがらない様子も見られたことから、12月からは一度、指導場面を思い切って個に戻してみようということで、個別での学習を大幅に増やしました。そうすると、非常に落ち着いて活動する場面が徐々に増え、学校にも再び毎日来ることができるようになってきました。 ○○の友達と穏やかに交流する様子も、最近は見られるようになってきています。

3月に入り、○○さんをみんなと一緒に活動させることはできないかと、今一度試みを行いました。○○さんはきちんと自分で準備をし、見通しを持って活動に参加しました。 しかし、それでも必ず一人、先生が常にそばに寄り添って声をかける必要がありました。また、洋服の襟を口に何度も入れたり大声で「バイバイ」と連呼したりするなど、負担が大きいことも見て取れました。○○さんが体調を崩した時におうちの方も「自家中毒では」と心配されていましたが、これ以上○○さんに無理をさせることはできないと、私たちも改めて感じました。

○○さんに先生が常に付き添うことができないとなると、私たちは○○さんの命の安全を保障することができません。避難口ということで完全施錠を行うことができない○○が教室の目の前にあり、○○さんは落ち着かなくなると鍵を開けて外に出ようとする行動が見られます。私たちが常に付き添えない中で、口に物を入れてしまい、窒息する危険性も否定できません。

今のままだと、○○さんは○○という大きい集団の中で一斉学習を行うことになり、負担が増えることが予想されます。そうなったとき○○さんの混乱が考えられますが、教室から離れたとしても私たちも個別に寄り添うことができないことも多く、○○さんにとって適した環境は作ることが難しい状況です。

次年度の○○さんの支援体制についてぜひご相談させていただきたく、今回ケース会議を開かせていただきたいと考えました。

○○さんが、安心して学校生活を送ることができる環境を作る方法としては、(1)おうちの方に、付き添いとしてお手伝いいただく。→小さいお子さんもおられる中、難しいことであろうと考えています。

そこで、あと考えられたのがこの2つです。(こちらもなかなか難しいと感じているのですが…)

https://news.yahoo.co.jp/articles/940dd37c50dc3962485aeff873fd707172b8647b/images/000より文字起こし

特別支援学級で学んでいた女の子(文中では「○○さん」と記載)とその保護者へ宛てた文書です。女の子の困り感を解消する為に様々な活動を試行錯誤し、少しずつ学校へ登校して落ち着いて過ごす日が増えていきました。

ただ、学校側の負担は甚大でした。常に先生1人が寄り添う必要がありました。女の子には洋服の襟や物を口に入れたり、大声で「バイバイ」と連呼する習性がありました。更には女の子は落ち着かなくなると鍵を開けて外出しようとする行動がありました。教室の目の前には施錠する事ができない避難口がありました。

また、今後は大きな集団(学校?学年?学級?)で一斉学習を行い、女の子にとっての負担が増します。落ち着かない場面が出てくるのは避けられません。

文書には記載されていませんが、新年度から教員の数が減少し、常に女の子に付きそうのが難しくなるとされています。そこで本文書をもって保護者と相談しようとしました。

問題視されているのは「私たちは○○さんの命の安全を保障することができません。」という箇所です。確かに表現としては不適切です。学校は決して「命の安全を保障することができません」と表明してはならない存在です。

一方、こうした表現は、学校における女の子の様子を事細やかに見てきたからこそ出てきたものです。どういった場面が過ごしやすいか、何をする習性があるのか等、担当教員が事細やかに観察しています。

教員減は学校の責任ではないでしょう。学校が市教委に対して減員を取りやめる様に何度も交渉したとも推察します(大阪市立学校でもこうしたやりとりはあると聞きます)。最後まで抵抗しても、最終的には減員という決定は覆らなかったのでしょう。

背に腹は代えられません。学校はこれまでの経緯等を保護者に説明し、新たな対応策を共に検討しようと提案・相談しています。

「命の安全を保障できない」という強い表現によって現状や危機感を家庭に伝えたかったという気持ちは理解できます。教員減のまま新年度を過ごしたら、どこかで重大な事故が起きるという危険性です。

問題の根底には、どうして新年度から教員が減らされたのかという点にあります。恐らくは札幌市教員の何らかの方針があったのでしょう。学校の対応を問題視するのではなく、札幌市教委の方針を質すのが重要です。