美里さつき保育園(三重県津市)が「6月30日で閉園する」旨を6月27日に保護者へ通知していました。大混乱は必至です。

 30日に閉園する津市美里町五百野の私立美里さつき保育園が、今月27日に初めて保護者に閉園を通知していたことが明らかになった。

現在、0~5歳児計58人が同園を利用しており、津市子育て推進課は29日に記者会見し、約10キロ離れた市立白山こども園(津市白山町南出)で一括して受け入れる緊急対応策を発表した。同課は「保護者などへの閉園の連絡が直前になったのは遺憾だ」としている。

同課によると、同保育園を運営する社会福祉法人ライト(愛知県岡崎市)が経営悪化を理由に30日で閉園する旨の連絡が26日、園を通じて同課にあった。

同園は保護者に対し27日夕方、メールで30日の閉園を通知。28日夜に緊急保護者会を開き、改めて閉園について説明したほか、同課の担当者が7月3日から白山こども園で園児を受け入れる方針を説明した。保護者からは「なぜ急に閉園するに至ったのか」と抗議する声が出たという。

白山こども園は、施設規模に余裕があり、同保育園と同じクラス分けの体制で受け入れができるため、子供たちの環境の変化が緩和できる。同保育園で勤務している保育士11人と調理師2人も、市の会計年度任用職員として採用し、移った園児らの保育を担当する。転園を希望する場合は、意向を聞きながら入所を支援するという。

同保育園の園長は「運営しているのは法人の方なので、閉園について(園では)答えられない」と話した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b8b62744662dccfa1d73fb2722b5211f91453f9

早くもホームページが消滅しています。


http://clearlight.jp/misato/

美里さつき保育園は津市の市街地からはやや離れた、山間にある保育所です。津市から伊賀市へと抜ける国道163号線(旧伊賀街道)近くにあります。周囲は田園地帯の合間に工場や住宅が点在しています。

平成の大合併によって津市と合併するまでは美里村だったこの地域において、美里さつき保育園は唯一の保育所でした。旧村民の子育て世帯の多くが利用しているでしょう。

急な閉園に至った理由は「施設の差押え」と説明しています。

社会福祉法人の理事長が「保育園を含め運営する施設が差し押さえられ、園の運営が不可能となった」などと説明したということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20230629/3070010769.html

保育所の建物の不動産登記情報を取得しました。驚いた事に差押えたのは静岡市でした。

どうして三重県津市にある保育所を静岡市が差し押さえたのでしょうか。同保育所を運営する社会福祉法人ライトの法人情報によると、同法人は静岡市内で多数の特別養護老人ホームを運営しています。


https://www.wam.go.jp/wamnet/zaihyoukaiji/pub/PUB0201000E00.do?_FORMID=PUB0211100&vo_headVO_corporationId=1623113034

静岡市に納めるべき固定資産税等を滞納し、何度も督促を受けても納入せず、滞納処分による差押えが行われたと考えられます。租税債権は怖いです。

上記ページでは直近(令和3年3月末)の財務書類等も公開されています。

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令和3年度期中に純資産が約2.4億円も減少していました。長期貸付金(約1.5億円)が消失(仕訳の相手方は不明)、現預金は1000万円強も減少、車両も売却した痕跡があります。この時点で資産状況は悪化の一途を辿っていました。

一部の社会福祉法人はコロナ禍で経営状態が悪化したという話を聞いています。感染対策やクラスターの発生等、そして介護職員の不足によって利用者が減少したというものです。介護施設で勤務していた身内がいますが、余りの重労働と低待遇に根を上げて転職しました。

ただ、差し押さえられたとは言っても、所有権は未だに社会福祉法人ライトが有しています。関係法令が許す限り、そのまま使用する事も可能です。どうして急に閉園するのか、判断が拙速だった印象は拭えません。事前に津市と協議した形跡もありません。

実は保護者向けの説明会において法人側から参加したのは理事長と園長でした。弁護士が出席した旨は記載されていません。顧問弁護士が不在なのでしょうか?

 保護者会には、運営する社会福祉法人ライト(愛知県岡崎市)の理事長と園長、津市と県の担当者が出席。
https://www.chunichi.co.jp/article/719639

また、静岡市は保育所を差し押さえる事による影響は懸念しなかったのでしょうか。園児の保育環境に悪影響が出るのを避けるべく、事前に津市へ相談したり、保育所関係は差押えを見送るといった判断もあり得ました。

来月以降、津市は約10kmも離れた市立白山こども園で園児を受け入れます。施設規模に余裕があり、美里さつき保育園でのクラス割りのままで保育が行えます。

更に美里さつき保育園で勤務していた保育士11人・調理師2人を会計年度任用職員をして採用し、園児の保育にあたります。閉鎖する保育所等で勤務していた職員をそ(臨時雇用であっても)そのまま採用する例は少ないです。この判断は歓迎です。