ここ最近は高校受験について考える時間が増えています。私は大阪府外の出身なので、府内の受験情報は全く分かりません。高校の名前・場所・特色・入学に必要な学力・主な進路等につき、子供の学力と照らし合わせながら少しずつ調べています。

その最中にふと気付いた事があります。大阪市内に「普通の」公立進学校がありません。ここでいう「普通」とは、文理学科を設置した進学指導特色校以外を指します。

大阪府立高校の学区・受験倍率・偏差値等は大阪日日新聞の記事に詳しく掲載されています。

【大阪の高校受験】2023年の入試 北野が1クラス増で3年ぶりの広き門 茨木は1クラス減

https://weekly-osakanichi2.net/?p=454

文理学科設置校は入試倍率が高く、偏差値も概ね最上位に位置しています。それに見合う教育や進路実績を示しています。しかしながらこれらの学校へ入学するには極めて高い学力と受験対策が必要となります。

一方、文理学科より1ランク下の進学校はどうなっているのでしょうか。実は大阪市内には偏差値61-66の府立高校がありません。これは衝撃でした。

文理学科に次ぐ高校を大阪市内で探したところ、旧第1学区(淀川・大川以北)にはありませんでした。旧第2学区(大阪市中心部)は大阪市立東高校(偏差値57)、旧第3学区(大阪市南部)は住吉高校(偏差値60)・清水谷高校(偏差値59)となります。

つまり文理学科には手が届かない程度の学力上位層が府立高校への進学を検討する場合、大阪市内での選択肢は著しく限られてしまいます。

一定以上の世帯所得があれば、私立中学校の受験を検討するのは自然な流れでしょう。「タワマン住民の私立中学校受験熱が高い」という真偽不明の話も頷けます。

9学区時代の名残、加熱する文理学科入学競争

こうした事態が起きている原因の一つには、府立高校の学区割りがあったと考えられます。親世代が府立高校を受験した頃は、大阪府内は9学区に分かれていました。

大阪市内は旧旧第1学区・旧旧第2学区・旧旧第3学区・旧旧第5学区・旧旧第6学区・旧旧第7学区と細分化されていました。

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学区毎に自然とトップ校と2番手校が形成されます。大阪市内を含む学区にてトップ校が大阪市内にできれば、2番手校は自然と大阪市外に確立されます。

学区が撤廃された後もこうした歴史は続き、現在も文理学科(旧旧学区トップ校+豊中高校)に次ぐ2番手校(普通の進学校)の多くは大阪市外にあるのでしょう。

もう一つの原因と考えられるのは、文理学科志願者の競争過熱です。一定の限られた入学希望者が濃厚な塾通い(週3日以上等)を行う事により、入学するのに必要な学力が上昇し続けてしまうのです。

しかしながら濃厚な塾通いに耐えられる学力や体力がある生徒は限られます。多くは文理学科志望者と重なります。2番手校以下を引き離す形で文理学科の難易度・偏差値がするすると上昇してしまったと見ています。更に英検2級が積み重なります。

つくづく感じたのは「文理学科とその次の府立高校の間が無い」という事態です。文理学科のみを指定するのではなく、それより緩やかな進学指導校を指定できなかったのでしょうか。

東京都はよく考えています。進学指導重点校(7校)のみでなく、それに次ぐ進学指導特別推進校(7校)及び進学指導推進校(15校)を指定しています。学校間の断絶を作らないよう、段階毎の指定を行っています。

子供の意向を第1に置きつつ、家庭の状況も踏まえた上で、志望校やそれに向けた学習計画を練っていく事になるのでしょう。大阪市内での府立高校の受験がこれほどまでに難しいとは思いもしませんでした。