桜宮高校での自殺事件等を受け、大阪市教育委員会は教師による非違行為がない児童への暴力行為への処分規定を「重く」見直しました。

大阪市教委 処分規定を改定
12月09日 19時44分

大阪市教育委員会は教師が児童・生徒に体罰や暴力行為をした場合の処分規定を改定し、子どもに非がないのに暴力をふるった教師への処分を重くすることにしました。
大阪市教育委員会は、市立桜宮高校でおととし、クラブ活動の顧問から暴力を受けていた生徒が自殺したことを受け、処分の規定の見直しを行い、9日の会議で決定しました。
これまでの基準では、教師の児童・生徒に対する体罰や暴力行為については、けがの程度や行為の頻度などに基づいて「校長指導」から「減給1か月」までの5段階にしていましたが、新たに「子どもに非がある場合」と「ない場合」に基準を分けることにしました。
▼「非がある場合」はこれまでどおりですが、▼「非がない場合」には処分をより重くし、「戒告」から「停職1か月」までの5段階にします。
非がない場合の例として▼部活動の練習中に指示どおりのプレーが出来ないケースや▼授業で、問題を解くことが出来ないケースなどをあげています。
大阪市の大森不二雄教育委員長は「あらかじめ明記したルールを公平に適用していく。一貫した対応をとることで学校を子どもたちが安心して学べる場にしていくことが大切だ」と述べました。
改定された基準は9日、各学校の教職員に伝えられたということです。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20141209/3716421.html

新たな基準は「体罰・暴力行為に対する処分等の基準」に掲載されています。
PDFで少し見にくいので、基準部分を下記に書き起こしました。

基準区分処分基準
 ①傷害がなく、児童生徒の非違行為に対する行為が1回のみで、被害児童生徒が1人の場合校長指導
 ②傷害がなく、児童生徒の非違行為に対する行為が1回のみで、被害児童生徒が複数の場合口頭注意
 ③傷害がなく、児童生徒の非違行為に対する行為が複数回の場合文書訓告
 ④児童生徒の非違行為に対する行為、傷害がある場合(傷害が軽微な場合)戒告
 ⑤児童生徒の非違行為に対する行為、傷害がある場合減給1月
 新⑥傷害がなく、非違行為のない児童生徒に対する行為が1回のみで、被害児童生徒が1人の場合戒告
 新⑦傷害がなく、非違行為のない児童生徒に対する行為が1回のみで、被害児童生徒が複数の場合減給1月
 新⑧傷害がなく、非違行為のない児童生徒に対する行為が複数回の場合減給3月
 新⑨非違行為のない児童生徒に対する行為で、傷害がある場合(傷害が軽微な場合)減給6月
 新⑩非違行為のない児童生徒に対する行為で、傷害がある場合停職1月
加重基準 加重
a.過去に体罰・暴力行為による校長指導や行政措置を受けている場合 +1
b.過去に体罰・暴力行為による懲戒処分を受けている場合 +2
c.当該教職員の事案未申告 +1
d.当該教職員が管理職の場合 +1

また、下記の様な補足説明が掲載されています。

◇「非違行為のない児童生徒」とは、例えば部活動の練習中に指示通りにプレイできない、ミスをする児童生徒や、授業中の問題を解くことができない児童生徒等のことを表しています。以上は例示にすぎず、様々なケースが考えられます。
◇上記表を基準とし、当該事案の場面の状況や背景、体罰・暴力行為の態様等、必要に応じて加重又は軽減し、個別の事案ごとに総合的に判断して処分等の量定を決定します。
◇「正当防衛又は正当行為」と考えられる事案については、上記基準は適用しません。

従来は児童の非違行為による区別がありませんでしたが、新基準では非違行為の有無によって処分基準が分かれています。
幾つか気になる点があったので、大阪市教育委員会に電話で問い合わせました。

Q:基準の対象となるのは大阪市立の小学校・中学校・高等学校のみ?
A:大阪市教育委員会が人事発令する教職員が対象となる。特別支援学校・保育所・幼稚園も含む。

→大阪市立幼稚園・保育所における行為も対象となるそうです。

Q:一般市民社会と比較すると、新基準であっても緩いのではないか?
A:あくまで基準。事案によって軽減・加重等は行われる。適切に対処・運用していく。

→掲載されている処分内容等はあくまで「基準」だそうです。具体的な処分内容等は人事委員会等で決められるのでしょう。

Q:処分後に告訴等が行われて刑事処分となった場合、改めて処分を行い直すのか?
A:刑事処分の内容に応じて処分を行い直す場合もあり得る。

→当初の処分内容が最終的な内容とならない場合もあるそうです。

市教育委員会が桜宮高校の事件を重く受け止めている様子が伝わってきます。
処分対象となる事案がないのが一番です。