「小1プロブレム」の解消に繋げるべく、0-5歳児を対象とした「就学前教育カリキュラム(案)」がまとまったそうです。
◇「学校なじめぬ小1」減らそう 「知徳体」に具体目標、全幼保へ来年度配布
大阪市教委は、市内の幼稚園や保育園と協力し、0~5歳の乳幼児を対象にした「就学前教育カリキュラム(案)」をまとめた。成長ごとに身につけておきたい力を示し、指導法を具体的に解説しており、入学間もない児童が集団生活になじめない「小1プロブレム」の解消につなげたい考えだ。今年度はモデル校で試行し、来春にも私立を含む市内全園に配布する。
幼稚園には文部科学省の「幼稚園教育要領」、保育園には厚生労働省の「保育所保育指針」があり、言葉の学習や他者との関係を育むよう明記されている。
しかし、乳幼児期は、遊びを通した取り組みが中心で、教科学習を重視する小学校との違いが、小1プロブレムの一因とされる。
このため、大阪市教委などは、より学びに軸足を置いた具体的な指導の手引が必要と判断。昨年5月、市教委や市立幼稚園、市私立保育園連盟などが協議会をつくり、素案を作った。
カリキュラムは「知(学ぶ意欲)・徳(規律)・体(体力向上)」の分野ごとに解説。幼稚園・保育園に通う3~5歳児については、各年齢をさらに五つの時期に分け、習得させたい能力や導き方を定めている。
例えば、3歳の1期(4~5月)の「知」は、身近な人や物に関心を持たせることを目標に設定。そのために、友だちの名前を知らせて関心を持たせたり、砂や水を使って遊ばせ、感触を楽しませたりするよう求めている。
他には▽4歳の3期(9~10月)の「徳」は、優しさや思いやりを持てるよう、高齢者らとふれあう機会をつくる▽5歳の5期(1~3月)の「体」は、遊具、用具を使った全身運動をする――などとしている。
0~2歳は、九つの期間に分け、▽興味の芽生えを大切に(9か月頃)▽やりたい気持ちを大切に(1歳3か月~2歳未満)――などと注意を促している。経験させたいこととして、ティッシュペーパーの引っ張り出しや、手押し車の活用などをそれぞれ挙げている。
現在、市立の5幼稚園と6保育所をモデルに、素案に沿った指導がなされており、協議会は成果や課題を踏まえ、今年度中にカリキュラムを完成させる予定。
協議会関係者は「遊びの中にある教育的意図をわかりやすく例示した。指導力向上の助けになれば」と話している。
◇小1プロブレム 小学校に入学したばかりの子供が教員の話を聞かずに騒いだり歩き回ったりして授業が成立しない状態。2000年頃から注目され始め、全国的な問題になっている。文部科学省は10年、幼稚園・保育所と小学校の交流を増やすよう提言した。
http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20140627-OYTNT50056.html
カリキュラム案そのものは未だ公開されていない様子ですが、叩き台となる「幼児教育の改革のための基本的な考え方」が公開されています。
幼児教育の改革のための基本的な考え方
大阪市教育委員会
これによると、新たな幼児教育カリキュラムは以下の原則に沿って編成・実施される事とされています(上記「基本的な考え方」より引用)。
(1)幼児の学習への誘導を重視し、幼稚園教諭・保育士の意図的な教育的働きかけを、幼児教育カリキュラムに必須の構成要素とする。
(2)知性、道徳心・社会性、体力の基礎を培うため、幼児に適した学習活動を設計(デザイン)する。
(3)知性の基盤となる言語力と数を含む概念や空間認識を育成する。
(4)自尊心・自己規律をはぐくみ、普遍的な規範を明確化して指導する。
お世話になっている保育所で自分や他の家庭の子供を見ていると、当然ながら発達の程度や考え方に違いはあります。
遊びを通じた取り組みが多くの時間を占める(と思われる)保育所と違い、小学校は主として座学による集団教育が行われます。
子供は6歳の4月を境に異世界へ放り込まれた様な感覚を持つかもしれません。
保育所での子供達の自由奔放な姿を見る度に「小学校で学級崩壊を引き起こさないだろうか」と心配になります。
カリキュラムは来春に大阪市内の全保育所へ配布される予定とされています。
ただ、本カリキュラムがどれだけの拘束力を有し、保育現場で活用されるかは未知数の部分がある様に感じます。
一方、小学校入学前の児童に対し、家庭や保育所でどの様な生活習慣や知識を身につけるべきか、見えない部分もあります。
小学校への入学前に必要な事柄があれば、小学校教諭が保育所や幼稚園を訪れ、保育士・幼稚園教諭や園児・保護者達に話をするのも一つの方法でしょう。
また、就学前の児童・保護者を対象として、小学校の公開授業等も実施して欲しいです。
多くの保護者は自分が小学生だった数十年前の知識や経験のままで、今の小学校で何が行われていて、入学前の子供に何を身につけさせるべきかを具体的に認識できていない恐れがあります。
詰まる所、入学前児童・保護者・保育所・幼稚園からは小学校の姿が、小学校からは入学前児童等の姿がよく分からないのが問題の根底にあるのでしょう。
カリキュラムも去る事ながら、「小学校の積極的な公開」をより期待したいです。