一体何が起きていたのでしょうか。とある大阪市立小学校において、児童1人が保護者同意・報告を行わず教室外にて個別指導を受けていました。それどころか、学習支援を行う非常勤嘱託職員から馬乗りになって暴行を受けていました。

【独自】児童1人を1年半にわたり別室で指導 保護者同意なし 「伝わっていると思って…」 大阪市立小

大阪市の小学校が、保護者に伝えないまま、1年半にわたり児童を別室で個別指導していたことが関西テレビの取材でわかりました。

大阪市立小学校に通う6年の児童は、おととし10月からことし4月までの間、教室とは別の部屋で個別指導を受けていました。

児童をめぐっては、小学2年のときから同級生によるいじめがあり、学校は特別支援学級に入ることを保護者に提案していました。

児童に知的な障害はなく、保護者は提案を断っていましたが、学校は保護者の同意を得ないまま、普通学級のなかで、1年半にわたり児童に別室で個別指導を続けていました。

この小学校の校長は取材に対し以下のように述べました。
「当然、日々の学校生活についても(児童から)伝わっているのかなと思っていた。(父親は)全く知らなかった、僕自身も驚いたんですけどね」(以下省略)

https://www.ktv.jp/news/articles/89245367_e421_46b6_8f57_dcf7af5b6c54.html

隔離授業の男児に馬乗り暴行 大阪市教育委「不適切な行為」

保護者の同意なく児童を別室に隔離していた問題で、児童が大阪市の教育委員会の職員から暴行を受けていたことがわかった。

大阪市教育委員会などによると、2019年、大阪市立の小学校で元職員の男性(60代)が指導の名目で児童(当時小学3年)に馬乗りになる暴行を加えたという。

元職員は、市教委から学習支援のために派遣されていた非常勤嘱託職員で、校長や教頭の制止を聞き入れず、暴行は5分間にわたり続いたという。

小学校の教頭「(元職員が)黙っといて、僕が指導してるねんから」、「辞めてくれと言っても全然聞かないんです」

市教委は、「不適切な行為だった」と認めたが、公表していなかった。(以下省略)

https://www.fnn.jp/articles/-/362950

余りに情報量が多すぎて、処理するのが難しいぐらいです。問題と感じた箇所を、抽出して整理しました。

(1)(いじめの被害を免れるべく)知的障害等がないにも関わらず、特別支援学級に入る事を保護者に提案した。保護者は拒否(2年生)
(2)非常勤嘱託職員が児童に5分間も馬乗りになって暴行を加えた(3年生)。
(3)保護者の同意がないまま、1年半に渡って別室指導を行っていた(4年生~6年生)。

「学校としての体を為していない」が率直な感想です。

まずはいじめ問題です。どの様な理由があろうとも、いじめは加害者に責任があります。「やられる方にも原因がある」というのは、いじめを肯定する発言です。

本来は加害者に適切な指導を行い、被害者が教室で平穏に授業を受けられる様に講ずべきでした。しかし同校は被害者に特別支援学級入りを提案する形で、いじめを無かった物にしようとしました。保護者が拒否するのは当然です。

ここで同校は「特別支援学級とは別の場所に隔離すれば良い」と考えたのでしょうか。被害者を普通教室とは異なる別の部屋(保健室?)にて個別指導を行う事にしました。

保護者の同意は当然ながらありません。しかも1年半という長期間に渡って行われました。異常な長さであり、取り返しがつかない期間です。

どうして保護者は気付かなかったのでしょうか。学校長は「当然、日々の学校生活についても(児童から)伝わっているのかなと思っていた。」とコメントしています。無責任な発言に驚きました。嫌な扱いをされている事実を、子供は親に正しく伝えるとは限りません。誰だって言いにくい事はあります。

実は一昨年10月から今年4月という期間は、コロナ禍と完全に重複しています。保護者が学校に出向く機会は極めて限られ、授業参観等も殆ど行われませんでした。学校での子供の様子から気づく事は難しかったです。

私自身もこの2年間は学校や先生と上手くコミュニケーションが取れず、何度もヤキモキさせられました。学校の中の様子や子供の姿が見えないのは、親としては不安に駆られます。

馬乗り事件は別室指導が行われる前の3年生の時に発生しました。大阪市教委は各校支援すべく、様々な人材を派遣していました。教員を志望する若手、教員免許保持者、学校OB等、様々な人間が入り乱れていたと聞きます。

馬乗りになったのは元職員の60代男性です。校長や教頭の制止を振り切ったとあるので、恐らくは元校長でしょう。「不適切指導」ではなく「暴行」です。犯罪です。いじめも含め、加害者に極めて甘い学校なのでしょうか。

大阪市教委の対応も「弱腰」です。動画には「非常勤講師(契約社員)だから処分の対象にならない」「馬乗り後に退職したから処分できない」などの言い訳を繰り返しています。処分を行いたくないのが本音なのでしょう。

しかし、子供の視点では、学校にいる教職員は全てが「先生」です。そこには雇用形態や職掌の違いはありません。「非常勤だから」というのは内向きの弁解です。

この様な様々な大問題がどうして今になって明らかになってきたのでしょうか。本件は関西テレビの報道番組が取り上げたのが切っ掛けとなって明るみに出ました。あくまで推測となりますが、保護者がカンテレに相談したのかもしれません。

学校内での問題は学校内で解決できるとは限りません。特に校長や教頭が非協力的であれば、著しく困難です。

こうした場合は「外部の第三者」に相談するのがベターでしょう。地元選出の市会議員、在阪の報道機関、捜査機関や弁護士(法的問題を証明できそうな証拠等がある場合)、幾つかの方法が思い浮かびます。

所帯が大きいので仕方ないかもしれませんが、大阪市立学校に関係する不祥事等は毎月の様に報じられています。「またか」や「いつもの事か」という気持ちが交錯しています。