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(12/3追記)
「高額の前払金」という指摘が当たりました。
同施設の学童保育に子どもを預けていた保護者が茨城新聞の取材に応じた。来年度分の学費50万円を既に支払っていたことを明かし、同施設に対し「返金と謝罪をしてほしい」と訴えた。
小学生の子どもを放課後の学童保育に預けていた母親によると、学童保育の費用は年払いのみ受け付けていた。この母親は今年5月に来年度分の振り込みを終えていた。市によると、同様の相談が市に寄せられている。
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16384436416851
学童保育の使用料は月払いが一般的です。年払いは極めて稀です。遅くとも今年5月には資金繰りに窮していたのでしょう。
どうしても通わせたい・通い続けている施設から高額の前払金を求められると、保護者は対応に困ってしまいます。払う意思はあるものの、万が一にも途中で閉園してしまった場合に返金される保証は何らありません。
もしも私はこうした事態に直面したら、監督権限を持つ自治体(都道府県や市町村)に相談します。
つくば市は運営事業者に届出する様に求めています。提出書類には「収支予算書及び事業計画書」があります。
放課後児童健全育成事業(児童クラブ)を実施する事業者の方へ
https://www.city.tsukuba.lg.jp/kosodate/kosodate/jidoukan/1001129.html
こうした書類と高額の前払金が整合しているか、また社会通念に適合しているか、自治体に確認を取ります。
もしも「問題ない」という返答があったら、「では○○市は高額の前払金を是認するわけですね」と追及するでしょう。
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(12/2追記)
運営会社は自己破産の申立てを予定しています。
茨城県つくば市の認可外保育施設「つくばインターナショナルナーサリースクール」が先月、突然閉鎖された問題で、ナーサリーの運営会社「ピアソン」(同市)が自己破産の申し立てを準備していることが分かった。同社の代理人弁護士が、債権者宛てに送った文書で、申し立てを担当することなどを明らかにしていた。
文書は11月24日付で、水戸地裁土浦支部に対するピアソンの自己破産申し立てについて、代理人弁護士が担当することを報告。ナーサリーの営業は「11月25日をもって終了」するとした。事業停止に伴う説明会は、新型コロナウイルス感染防止のため会場では開かず、12月中に書面で行うとしている。
ピアソンの登記簿によると、同社は2009年9月に設立された。民間信用調査会社の帝国データバンクによると、認可外保育施設の運営事業者で、幼児の英語教育に力を入れ、小学生らを対象にした「アフタースクール」も併設していたが、少子化や他施設との競合で収益が低迷。負債額は数千万円規模になる可能性があるという。(以下省略)
茨城県やつくば市の対応が後手後手に回っている一因は、認可外保育に関する権限が分散している点は無視できません。
県から市町村への権限移譲の状況によると、事業開始の届出受理等は茨城県へ行うのに対し、認可外保育施設に対する立入等はつくば市の権限とされています。
経営不安に関する情報が県や市へ届いていたかは分かりません。ただ、仮に届いていたとしても、権限が分散していると対応しにくくなります。
認可外保育が唐突に閉鎖する事態を事前に察知して防ぐのは極めて困難です。事実上、野放しです。
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茨城県つくば市にある認可外保育施設が唐突に閉鎖されました。
背景にはインターナショナルスクールの経営が難しい状況が続いている状況があります。子供の預け先がなくなった保護者からは悲鳴が聞こえてきます。
茨城県つくば市の認可外保育施設「つくばインターナショナルナーサリースクール」が突然閉鎖された。市などへの取材で分かった。市は25日、保護者からの連絡で事態を把握。子どもの預け先を失った保護者に別の保育施設を紹介するなど対応に追われている。
登記簿によると、ナーサリーは、施設の住所と同じ同市鬼ケ窪にある「株式会社ピアソン」が運営。事業目的の欄には乳幼児の保育や幼児の英語教育などと記されている。市によると、2003年7月、県に設置を届けた認可外保育施設で、30~40人程度の未就学児が在籍していたとみられる。
市役所には25日、保護者から「ナーサリーがなくなる」などという連絡が入った。市によると、「25日で(事業を)終了し、26日以降は施設に立ち入れなくなる」という内容の郵便物が24日、ナーサリー側から保護者宅に届いたという。
市側は「事業の終了は事前に知らされていなかった」と困惑する。25日以降、幼児保育課には「子どもの預け先がなくなってしまう。明日からどうしたらいいのか」などの相談が、電話と対面合わせて約20件寄せられている。市によると、29日時点で、園長らと連絡が取れない状態という。
また、市と県は今年3月、ナーサリーの定期監査をし、「施設内で保育サービス内容を利用者に掲示していない」などと指摘。改善状況の報告を園側に求めたが、「園長らが不在」などの理由で拒まれ、返答は得られていない。
唐突に閉鎖されたつくばインターナショナルナーサリースクールは、茨城県つくば市鬼ケ窪にあります。運営会社たる「株式会社ピアソン」と同じ住所です。広々とした、羨ましい環境です。
同園は2003年に開園しました。小学生も対象とした英語の一貫教育を行っています。つくば市は教育熱心な家庭が多く、英語教育に強いニーズがあります。
TinsとはTsukuba International Nursery School つくばインターナショナルナーサリースクールの略称です。
創立時(2003年)より「ティンズ」と皆様から呼ばれております。 Tinsは2003年4月に創立・開園し、2020年4月で17年目です。これまで200人の 園児が卒園しました。卒園生の多くの生徒が引き続きTinsアフタースクールに通 い、英語の習得を継続しております。0歳児から12歳まで12年間続けられる英語の 一貫教育を行い、「話せる英語教育」を行なっております。
子どもたちの自主性を尊重し、豊かな情操と国際性を育むことがTINSの保育方針です。さまざまな国の教師や友達とふれあうなかで、国際社会へスムーズにとけこめる心の基礎を形成し、一人ひとりの将来をふくらませたいと願っています。
私たちは、保護者の皆様と対話を重ねながら、子どもたちにとって最適の保育環境を共に考え、実践してまいります。
つくばインターナショナルナーサリースクール
園長 中村 恵美子
園のブログは昨年10月をもって更新されていません。
インスタグラムの更新は続いていました。
https://tins.amebaownd.com/pages/4328065/instagramAlbum#&gid=1&pid=1
ツイッターアカウントは削除されています。
https://twitter.com/tinsjp
唐突な閉鎖に至った事情には何があったのでしょうか。
実は現在、英語教育に重きを置いたプレスクールやインターナショナルスクールの一部で経営が厳しくなっているという話を聞いています。
まずは児童の減少です。保育料が相対的に低くて明確な安全基準が確立されている認可保育所の新設が続いています。インターナショナルスクールに限らず、認可外保育全般が児童減少の嵐に直面しています。
英語教育に対する保護者のニーズも減少しています。海外との往来が厳しく規制されており、学んだ英語を活用できる場面が著しく減少しています。いつ回復するのか、今は見通しが立ちません。
教職員の採用にも苦労していると聞きました。コロナ禍以降、外国人の入国に高いハードルが設けられています。奇しくも今日11月30日からは外国人の新規入国が再び全面的に停止されました。
児童減少・保護者のニーズ減少・外国人入国規制、インターナショナルスクールの運営には暴風が吹き荒れています。
一方、閉鎖によって保育の場所が失われた保護者や児童への影響は甚大です。慣れた環境が突然に失われた衝撃は計り知れません。
中には高額の前払金や入園料を支払っている家庭もあるかもしれません。持ち逃げされたかのような格好です。
つくば市の保育事業に関する情報は有していませんが、様々な研究機関が集中して東京都内にも通勤できる地域なので、保育所等へのニーズは非常に強いものがあるでしょう。
閉鎖後の新たな保育先を見つけるのも容易ではないと感じました。退職を迫られる家庭もあるかもしれません。泣き寝入りです。