「赤ちゃん・子ども連れはなぜ美術館難民に?」という記事が目に止まりました。

赤ちゃん・子ども連れはなぜ美術館難民に? その背景を専門家に直撃!【「お静かに」の風潮はいつから?】
https://lee.hpplus.jp/kurashinohint/2071763/

ここで専門家の飯田りえさんが答えている内容と私自身の経験が大いに重なり合いました。幾つかご紹介します。

子供が産まれて以来、美術館や博物館からは本当に足が遠のいてしまいました。

観に行きたい展示があっても、横にいる子供の様子を見ながら断念した事は数えられません。

意を決して子供と一緒に観に行った事もあったのですが、周囲の冷たい視線や子供の「面白くないから帰りたいアピール」に疲労困憊してしまったのを覚えています。

本コラムを投稿された飯田さんも同じ様な体験を綴られています。

つい先日も、美術館(子どもむけに作られた企画でない)の展示で、肩身の狭い思いをすることがありました。
空いてそうな日時で予約をして、大人しく子どもと鑑賞していたのですが、触れるつもりもないのに監視員さんに注意されたり、小声で感想を少しでも話すと周囲から厳しい視線を感じたり。美術館としては子ども連れを歓迎してくれていても、鑑賞時の雰囲気に気疲れてしまい、観たかった作品を観られた喜びが感じられないことも…。

最も辛かったのは、監視員からの絶えない視線や何度も何度も注意された事でした。関西のとある公立施設です。

確かに室内で騒いで小走りするのを注意するのは理解できます。でも、子供1人で展示物の前で眺めているだけでも「親が近くにいて手を繋いで下さい!」と厳しく注意するのは余りに理不尽でした。

子供が手を伸ばして展示物に触ろうとしたのなら分かります。でも、子供(小学校低学年)は落ち着いて展示物をじーっと見ていました。私は数メートルほど離れた場所で見ていて、何かあったらすぐに駆け寄れる場所にいました。

それでも注意されてしまったら、子供と一緒に美術館や博物館なんて行けません。

子連れを嫌がるなら、はっきりと「子連れはご遠慮下さい」と明記して欲しかったです。それなら初めから観に行かない、もしくは設置主体へ子連れ客への対応を求める事ができました。

乳児だった頃は、外出先に博物館や美術館が候補に挙がる事すらありませんでした。無意識の内に「これはない」と消し去っていました。

今となって考えると、赤ちゃんが泣いたら迷惑が掛かってしまうのでしょうか。率直な疑問というか迷いです。

音楽鑑賞なら分かります。泣いたら聞こえません。でも、美術館や博物館で子供が泣いても、鑑賞自体に大きな支障はないのでは、と考え直しています。

内海:一番、不安だったのは美術館で求められる「お静かに」という雰囲気です。とにかく、館内は静かにしないといけない空間。でも、赤ちゃんは泣くしぐずりますし、静かにしていられません。それが「許容されない」ことに、子連れという存在の社会的立場の弱さを認識しました。「子どもに合わせた企画しか行けない」「子連れだと気軽に行けない」ということは、社会の構造上何か問題があるのでは、と考えたのがきっかけです。

「社会の構造上何か問題があるのでは」というのは同感です。子連れの社会的立場は本当に弱いですね。どこでも遠慮ばかりしています。

静かに鑑賞したい気持ちは分かります。私も近くで見知らぬ子供が泣いていたら、集中力を削がれてしまいます。

しかし、だからといって、赤ちゃんが泣くから鑑賞を遠慮してもらうのもおかしな話かもしれません。そこまで主張する権利があるのでしょうか。

とは言っても、走り回るのは問題ですね。ぶつかったらケガをしてしまいますし、展示物を破損してしまうかもしれません。

「子供向けの企画を観に行けば良い」というのも一方的な意見です。こうした展示も見に行きますし、大人向けの展示も見に行きたいです。

__「子どもが好きそう」ではなく、「自分が観たい」という文脈で展覧会を選んでいいということですか?

内海:もちろんです! 以前「親子が美術館に行きたければ、夏休みなどの子ども企画に行けばいい」と言われたことがありました。しかし、「個人」としての親の気持ちにもまったく寄り添っていないし、「親」としての学びのアップデートの機会も奪っています。この記事を読まれている「あなた」が「観たい」と思える展示であれば、子育て中だからといって我慢したり諦めたりせず、一人の人として楽しんでほしい。

子連れの親にも興味関心がある展示を観に行く権利はあります。大人をメインターゲットとした展示であっても、親子連れを排除しないで欲しいのです。

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