都市部で生活する子育て世帯にとって欠かせないアイテムの一つが「電動アシスト自転車」でしょう。
以前は昔ながらの幼児1人・2人乗せ自転車が大半を占めていたのですが、年を追う毎に電動アシスト自転車を保育所の送迎に利用している方が多く見かける様になりました。
何度か試しに乗せて頂いた事があるのですが、バッテリーから生み出される推進力の大きさに驚いてしまいました。重たい子供を乗せていても、スイスイと漕ぎ出せる訳です。
同時に気づいたのは「重さ」です。何かの弾みで倒れてしまったら、自分1人の力で立て直す自信はありません。また、バッテリーが切れてしまったら重くて動かせそうにありません。
電動アシスト自転車の普及に伴い、事故も増加しています。東京消防庁の調べによると、幼児同乗中の自転車単独事故で幼児1,443人が緊急搬送されています(2011年1月~2017年12月)。
そこで、消費者安全調査委員会が子供を乗せて走行するタイプの自転車の実地調査を行い、様々なリスク等を調査しました。
消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書
—幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故—(消費者安全調査委員会)https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_016/
報告書は主に「幼児同乗中の停車中の転倒」と「幼児同乗中の走行中の転倒」に注意を促しています。それぞれの点につき、報告書からご紹介します。
「幼児同乗中の停車中の転倒」
・幼児を1人同乗させる場合:後座席に同乗させる方が、ハンドルのふらつきが小さいため、後ろ乗せタイプの自転車の選択が望ましい。
・幼児を2人同乗させる場合:ハンドルのふらつきが小さく、運転もしやすいため、前乗せタイプの自転車を選択し、後座席を後付けで設置することが望ましい
・諸事情により後ろ乗せタイプを選択する場合は、後付けで前座席を設置しても運転席のスペースに余裕のある製品を選ぶことが望ましい。
・電動アシスト自転車を選択する方が望ましい。
・BAAマーク又はSGマーク、及び幼児2人同乗基準適合車マークが貼付された自転車を選ぶことが推奨される
・後座席の幼児乗せ降ろしが停車中自転車の転倒のきっかけになって前座席の幼児が被災する事例が多い
・「前座席に幼児を乗せたまま後座席の幼児の乗せ降ろしをしない」ことが転倒事故を抑制する
・停車時は僅かな傾斜でも転倒事故につながる危険性があり、傾斜の影響を受けづらい角度で駐輪するのが望ましい
・「幼児又は荷物の乗せ降ろし」「駐輪場所の緩やかな傾斜」「ハンドルへの荷物のぶらさげ」「子どもの動き」「運転者(保護者)が自転車(幼児)から目を離したこと」に注意が必要
「幼児同乗中の走行中の転倒」
・歩道の車両乗り入れ部の段差5cm の走行は極力回避すべきである
・やむを得ずこの段差を乗り越えて歩道に移動する場合は、速度を落として大きな進入角度で走行すべきである
・オーバーランをせずに目標位置に確実に停まるために、前後のブレーキが共に確実に効く状態を保ち、両ブレーキを効果的に使用する
・前後両方のブレーキの点検・保守が非常に重要である
利便性と危険性は裏返し
子供と一緒に街中を歩いていても、ここで紹介された様な自転車をしばしば見かけます。
特に子供だけを自転車に乗せたままにして大人が離れている光景は非常に危険だと感じています。「危ないなあ」と思いながらも、何も出来ずに通り過ぎるだけです。
同じ様な行動が全国各地で行われ、一部では自転車が倒れてしまい、子供が大きなケガを負う事もあるのでしょう。
生活に欠かせない電動アシスト自転車、正しく安全に利用したいですね。