先月8月に発生した、東海道新幹線の大混乱を踏まえた上での方針でしょう。
今年の年末年始から東海道・山陽新幹線のぞみ号は全席指定席として運行されます。具体的には2023年12月28日~2024年1月4日が対象期間となります。また、今後のお盆やGWも同様の措置が取られます。
大きな影響を受けるのは帰省客ばかりではありません。多くの方が旅行等に出掛けるGWも対象期間とされています。これまでの様にのぞみ号の自由席に並んで着席し、旅行に出掛ける事が出来なくなりました。
全席指定席として運行されるのは対象期間中の「のぞみ号」です。ひかり・こだま・みずほ・さくらは通常通りに自由席が設定されます。
また、自由席特急券を持っていれば、「のぞみ号」のデッキ等には乗車出来ます。着席はできませんが、乗車する事は可能です。
これらを踏まえると、必要な対策が見えてきます。
最も重要なのは早期予約です。必要なのはEXサービスです。指定席を割引料金で購入できるエクスプレス予約(年会費1,100円)、もしくはスマートEX(年会費無料)です。
インターネット上で新幹線特急券や乗車券を予約・変更等が出来ます。8月の豪雨による交通障害においても、このサービスを利用している方は窓口に並ばずとも予約変更や払い戻しが可能でした。子供と一緒に長蛇の列に並ぶのはひたすら苦痛です。
交通系ICカードと紐付ける事により、チケットレス乗車も可能です。子供用のICカードにも設定できます。小学生の子供がICカードで新幹線に乗車している姿を見て、「遂にこんな世の中になったんだ」と感動してしまいました。
2023年10月1日からはEXサービスにて1年先の指定席の予約が可能となります。10月1日の時点で今年の年末年始や来年のGW・お盆の指定席が予約できてしまいます。
不安なのは乗車直前での予定変更です。典型的なのは子供の体調不良です。以前は指定席から自由席に変更し、駅でならんで自由席に乗車・着席する事が可能でした。しかし「のぞみ号」は全席指定席となってしまいます。
ただ、特急券さえあれば「のぞみ号」のデッキには乗車出来ます。数時間も経ちっぱなしは辛いですが、新幹線に乗れずに途方に暮れる事と比べれば雲泥の差です。
また、とある時点で指定席が満席だったとしても、予約変更によって空きが出る事はあります。
更に満席となる列車ばかりとなると、臨時列車が増発されます。東京~博多駅間を運行するのぞみ号と比べると、東京~新大阪間で運行される臨時のぞみ号は空いています。予約も取りやすいです。
そして全席指定席として運行されるのは「のぞみ号」だけです。ひかり・こだま・さくら・みずはは自由席も設定されます。
とは言っても、のぞみ号の指定席を購入できなかった乗客が流れてくる事態が予想されます。これらの列車の自由席は混み合うかもしれません。
反対に混乱が予想されるのは、こうした情報に疎く、更にEXサービスを利用するのが難しい層です。端的に言うと「高齢者」です。
ネットリテラシーが決して高くない高齢者が自分でEXサービスに加入し、新幹線を予約し、自動券売機で切符を受け取る(もしくはチケットレス乗車)のはハードルが高いです。実家の祖父母は無理だと断言できます。
みどりの窓口は続々と閉鎖されています。指定席も購入できる自動券売機は使いにくいです。ネットで購入できる技術や手段を有していない高齢者等に対しては、事実上「超多客期はのぞみに乗車して欲しくない」という思惑さえ感じます。
また、観光等で訪れている外国人も難しいでしょう。超多客期に大きな荷物を持った外国人に乗車して欲しくないのが本音かもしれません。
超多客期における駅や新幹線の混雑緩和対策としての「のぞみ号の全席指定席」は理解できます。ただ、指定席は自由席より割高です(エクスプレス予約では割引額で購入可能)。「混乱回避を名目とした値上げ」という側面もあります。
年末年始の帰省を予定している方は、まずは10月1日に指定席を予約する様にして下さい。