大阪市立小中学校におけるオンライン授業と通常授業の併用は、約1か月ほど続けられました。
松井市長によるトップダウンで決定されたこの方針に対し、現場を預かる学校長から不満が噴出しています。前代未聞です。
幾つかご紹介します。
市立大国小(大阪市浪速区)は26日にオンライン授業を選択した児童は全体の2割強だった。意向調査で多くの家庭が対面授業を希望したからだ。
同校で2年生の娘(7)を持つ母親は自宅での授業はプリント学習が主なため、登校する児童と比べて勉強への意欲が低下することや、朝起きられなくなることが心配という。「先生と相談しながら登校するかどうか検討したい」と話した。
岡田治美校長は「児童や保護者が混乱しないようなやり方を探りたい」と話す。自宅でオンライン授業を受ける児童についても登校時に様子を聞き取りながら、授業の理解に遅れが出ないよう気を配っていく考えを示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF2618X0W1A420C2000000/
オンライン授業について、学校現場からは戸惑いの声も上がる。市立墨江丘(すみえがおか)中学校(大阪市住吉区)の林憲治郎校長は「学校によってはハード面もソフト面も整っておらず、格差が生じる」と懸念を示す。
同校には全校生徒分のパソコンが配備されたが、アダプターは1学年分しかなく家庭では充電できない。林校長は「約500人の生徒に一斉に動画配信できる回線も整っていない」と指摘する。昨年の臨時休校中と同様、必要な生徒には端末を貸与。学習には民間が提供する授業動画を活用し、ホームルームをオンラインで行う方針という。
市立大国小学校(同市浪速区)では、他校のアクセスが集中しがちな午前を避け、毎日午後の1コマ程度をオンラインでつなぐ形を想定。授業が長時間になれば児童の集中力が途切れがちになるため、プリント学習が主体となる。
岡田治美校長は「市長が方針を表明した以上、学校が『できない』というのは保護者に説明がつかない」と話し、オンライン授業開始後も「ネットにつながらないなどトラブルがあれば教員が家庭訪問する。そのくらいの細やかな対応が求められる」とみる。
https://www.sankei.com/life/news/210420/lif2104200051-n1.html
ICTを活用した教育に力を入れる市立本田小(同市西区)は、全学年で双方向型のオンライン授業を実施中。「保護者の協力もあり、ネット環境が改善された」と銭本三千宏校長は手応えを語るが、別の小学校の校長は「双方向のオンライン授業ができているのは一部の先進校だけ」と明かす。
https://www.sankei.com/life/news/210510/lif2105100045-n1.html
https://youtu.be/qsqD7Ygtni8?t=55
住之江区の住吉川小学校では、プリントなどを使った対面で授業が行われました。
市教委の方針が示されてから、通信状況の確認などの準備を行いましたが、音声が途切れるなどのトラブルが相次ぎ、オンライン学習は断念することになりました。
また、生徒に配布されているパソコンの充電器の一部が18日に届くなど、機材が揃っている状態ではありませんでした。
【大阪市立住吉川小学校 福崎真広 校長】
「パソコンに長けてる支援員さんが常駐してくれないと賄いきれないとかということは、多々あったんで。現場はわかってるんだけど、行政的なところで目に見えてないところがあって、もっと融通きいた理解を示して欲しかったというのはありますね」
また、福崎校長は、自宅での学習による、児童の生活への影響も懸念しています。
【大阪市立住吉川小学校 福崎真広 校長】
「小学校ができるところっていうのは、子供たちが来て、生活リズムを整えて、学習に頑張ってもらうっていうことが事実なので。学校でしか今子供たちが経験できないことっていうのを大事にしたい」
小学校長が大阪市長に批判書面
オンライン学習で現場混乱と新型コロナウイルス緊急事態宣言に伴い、大阪市が小中学校で「原則実施」を求めたオンライン学習に関し、大阪市立木川南小の久保敬校長(59)は18日、端末の配備や通信環境の整備が不十分なまま導入し現場を混乱させたと批判する書面を、松井一郎市長宛てに送付したと明らかにした。
書面では「場当たり的な計画で学校現場は混乱を極め、児童、生徒や保護者に大きな負担がかかっている。子どもの安全・安心も学ぶ権利も保障されない」としている。
木川南小では対面授業を続けているという。久保校長は保護者アンケートでは感染対策を徹底した上での対面授業に肯定的な意見が多かったと主張した。
学校サイドの不満として、「場当たり的な計画で混乱した」「子供や家庭に大きな負担が掛かった」「ハードもソフトも足りない」「家庭毎に通信環境の差がある」「カリキュラムが進んでいない」「ICT支援員がいない」「登校して生活リズムを整える事が大切」が指摘されています。
いずれも当然の内容です。
露呈したのは「そもそも大阪市はオンライン授業に対応できる態勢が全く整っていなかった」という事実です。
1人1台端末は配布されましたが、年度初めという事もあり、児童が操作するのに慣れる時間は全くありませんでした。入学したばかりの1年生は学校生活に慣れるので精一杯の時期でした。
大阪市教委の責任が重大だったのは、「学校と市教委間の通信環境の未整備」です。
どうも各家庭と学校間とのオンライン授業等は市教委を経由する方式らしく、経由する部分で多くの目詰まりが発生しました。
あげくには「オンライン授業を行えるのは、各校1時間のみ」という制限が設けられました。
全校がオンライン授業を実施する状況を想定していませんでした。
これは一斉休校という事態を検討していなかった事と同じです。いわば学校のBCP(事業継続計画)を全く考えていませんでした。
松井市長のこれまでの言動を見ていれば、唐突な指示(無茶ぶり)が行われる事態を危惧できた筈です。指示に抗えず、児童生徒への対応を学校へ丸投げした形です。
オンライン授業に対する不満や悩み等は、各家庭から学校へ向きました。家庭と市教委との板挟みとなった学校は、さぞ対応に苦慮したでしょう。
我が家にも非常に大きな負担が掛かりました。子供の在宅時間が非常に長くなりました。子供の生活リズムも狂いやすく、早寝早起きを維持するのが本当に大変でした。
子供関係の雑事に時間を取られ、親の仕事や作業は進みません。オンライン授業の補助も必要です。学校から配布されたプリントの内容もあれこれ訊かれます。
私自身も集中できず、効率が著しく低下したのを実感しています。でも、大阪市は何の補償も行わないでしょう。
カリキュラムも進んでいません。松井市長は「オンライン授業も授業時数に算入する」と繰り返し発言していますが、オンライン授業はたかだか週1時間の話です。
問題の本質はそこにありません。約1か月弱に渡って通常授業が殆ど行えず、カリキュラムは進んでいません。プリント学習で学んだと見做したら、理解不足で放置される子供が増えるだけです。
夏期休業の短縮や平日授業の時間数増で補いきれるのでしょうか。
今回の件で痛感したのは「政治に対する大阪市教委の弱さ」です。(準備不足に対する責任はあるとしても)「無理なものは無理」と拒絶して欲しかったです。
教育委員会制度における「首長からの独立性」が風前の灯火です。
大阪市内の小学校二年の保護者です。今回の時短登校でオンライン授業が行われたかのように報道などされており、難しかった、や今後に活かすなど様々な方が意見をされています。
しかし、双方のやりとりができるオンラインなど全く行われなかった学校があることは、全く報道されていません。
私の子供が通う学校では、NHKの動画を見て、感想を書く課題が2回あっただけです。
オンライン授業とは程遠い内容でした。
teamsを使う授業を行うためのサーバー割り振り日があると配布物はありましたが、それは使わずでした。同じ大阪市立学校でかなりの格差があることを訴えていくほうがいいのでは?と思うのですが、どのような方法があるのでしょうか?悩ましいです。