危機的な大阪府の医療状況、そして大阪府の一部幹部職員の「本音」を現している様に感じました。

大阪府健康医療部医療監が大阪府内の保健所長に対し、「少ない病床を有効に利用するためにも年齢の高い方につきましては入院の優先順位を下げざるを得ない」と記したメールを送信していました。

【独自】「高齢者は入院の優先順位下げる」大阪府幹部が保健所にメール…府は撤回

 大阪府で新型コロナウイルス感染者の入院調整を行う部局の医療系技術職トップが、各保健所に対し「府の方針として、高齢者は入院の優先順位を下げざるを得ない」とするメールを送信していたことがわかった。送信日は19日。府健康医療部は「府の方針とは全く異なる」としており、29日に各保健所に内容の撤回と、謝罪する旨を連絡した。

 府によると、メールを送ったのは府健康医療部の医療監(次長級)。健康医療部は保健所からの依頼で入院先を調整する「入院フォローアップセンター」を所管し、医療監は医師の資格を持つ医療系技術職の責任者になる。メールは公用アドレスから送られ、送信先は府と政令市、中核市が設置する府内の全18保健所の所長だった。

 件名に「入院調整依頼に関するお願い」とあり、文面で「当面の方針として、少ない病床を有効に利用するためにも、年齢の高い方については入院の優先順位を下げざるを得ない」と記していた。

 加えて、心停止などの場合に蘇生措置拒否(DNAR)の意思を示している高齢者施設の入所者について、「(施設での)看取りも含めて対応をご検討いただきたい」と記載していた。

 府によると現在、65歳以上の感染者については無症状、軽症でなければ原則、入院させる方針を設けている。蘇生拒否の意思を示している患者も治療の可能性があれば入院の措置を取っている。

 29日に読売新聞の取材に応じた医療監は「(文面は)完全な過ちで、府の方針とは全く違う」と釈明。当時、府では、高齢者施設で感染者が出た場合、施設の医師で対応可能なら施設内で治療するよう求めるべきとの議論があり、「施設での対応力を上げてもらいたいという趣旨だった。誤解を招く文面で深く反省している」と話した。

 問題のメールについて藤井睦子・府健康医療部長は、「府の方針を通知する場合、医療監ではなく部長名で送られる」とし、「高齢を理由に入院の優先順位を下げるなどの対応は一切ない」と話した。29日に医療監を厳重注意し、メールの撤回・謝罪の連絡をしたという。

 一方、メールが保健所の判断に影響したかについては、送信後の20~28日の9日間で入院調整をした患者に占める70歳以上の割合は49・8%と、送信前の9日間より5ポイント上昇しており、藤井部長は「影響はなかった」と述べた。(以下省略)

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210429-OYT1T50212/

大阪府によりますと、健康医療部の次長級の幹部で医師の森脇俊医療監が4月19日、府内に18あるすべての保健所の所長にあてて、新型コロナの感染拡大で病床がひっ迫し、以前にも増して入院調整が厳しくなっているとして「当面の方針として、少ない病床を有効に利用するためにも年齢が高い方につきましては、入院の優先順位を下げざるをえない」とするメールを送りました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210430/k10013005951000.html

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF303CR0Q1A430C2000000/

大阪府健康医療部では今年4月に一部の人事異動が行われました。該当部分を抜粋します。

【次長級】(中略)

▽医療監・監察医事務所長事務取扱(和泉保健所長)森脇俊▽福祉部子ども室長(福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課長)永尾光年▽健康医療部副理事森ノ宮事業・法人管理担当(教育庁教育振興室高校再編整備課長)大武基▽健康医療部保健医療室長(健康医療部保健医療室副理事)酒井伸一郎▽健康医療部保健医療室副理事地域保健・入院調整担当(健康医療部保健医療室地域保健課長兼同参事)浅田留美子▽健康医療部健康推進室長(健康医療部健康医療総務課長)清田正彰▽

https://www.sankei.com/region/news/210401/rgn2104010008-n1.html

健康医療部保健医療室副理事地域保健・入院調整担当に就任した浅田氏は、大阪府フォローアップセンターの担当として何度もメディアに出演された覚えがあります。

メールを送信した医療監は「施設での対応力を上げてもらいたいという趣旨だった。誤解を招く文面で深く反省している」と釈明しているそうです。

が、こうした趣旨は全く読み取れません。どう読めば「施設での対応力を上げて欲しい」と読めるのでしょうか。そう解釈してしまう事こそが「誤解」です。

一方、このメールには全く驚きませんでした。と言うのも、こうした取り扱いを示唆する情報が溢れかえっていた為です。

医療崩壊に瀕した大阪、トリアージの議論が必要に
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00278/042600007/

「80代以上は受け入れ拒否」大阪の病院で起きる“命の選択”
https://news.yahoo.co.jp/articles/27108fa02ab79f3dd8771b367d4f916000b0fba4

「命の選別」が始まったコロナ緊急事態……高齢だから治療を諦めるよう求められたら!
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210428-OYTET50020/

吉村知事「医療崩壊」に語気荒らげ反論「厳しい医療体制とは申し上げた」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202104230001270.html

昨日4月29日には、新型コロナウイルス感染症によって大阪府内で44人が死亡したと発表されました。殆どの死亡者は70歳代~100歳代でした。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23711/00376026/0429.pdf

亡くなられた方がどういった治療を受けたかは分かりません。ただ、高齢者を含む重症者がこれだけ増えてしまうと、全ての重症患者に十分な治療を行うのは難しいでしょう。

何らかの形で入院させる優先順位を決定するとしたら、その一基準として「年齢」「(年齢と強い相関がある)回復する可能性」が含まれるのは「仕方ない」と感じました。

どこまで重症者が増えてしまうのか、一大阪府民としては不安です。大阪府は重症者は5月5日にピークに達する(427人)とするシミュレーションを公表しています。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00393224/1-3_ryouyoushasu_0423.pdf

このシミュレーション(想定1)は既に公表された感染者や重症者数と似たカーブを辿っています。

大阪府はこのピークに照準を定め、重症病床等を拡充しています。大学病院への要請はこの一環ですね。

大阪府 府内5大学病院に大型連休中の重症病床確保要請
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210428/2000044826.html

大阪府の緊急事態宣言は5月末まで延長?

緊急事態宣言後、大阪市内の繁華街の人流は大きく低下しています。

https://corporate-web.agoop.net/pdf/covid-19/agoop_analysis_downtown_night.pdf

大阪府シミュレーションや人流を見る限り、5月下旬にはステージ4を下回り、6月上旬にはステージ3を下回る見通しです。

政府分科会の尾身会長が指摘した解除条件に照らすと、大阪府がこれを満たすのは「5月末」が目安となりそうです。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は28日の衆院内閣委員会で、4都府県に発令中の緊急事態宣言の解除条件に関し「新規感染者数がかなり下がるか、下げ止まりの期間を長く維持することを考慮すべきだ」と指摘した。

 下げ止まりの例は感染状況を示す4段階で下から2番目の「ステージ2(漸増)」や「ステージ3(感染急増)」の境界付近だと説明。「下げ止まりの時期をなるべく長くすることも感染再拡大を避ける」と語った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d9258709359ebc60ee5dafc0b140d7aaf4a2a61f

不要不急の外出自粛、そしてハイリスク行動(非同居家族との飲食やカラオケ)を控え、感染しない様に心がけていきたいですね。