幼児教育・保育無償化によって、3~5歳児の保育料は無償化されました。

その反面、0~2歳児の保育料は従前のままです。ほぼ全ての3~5歳児は幼稚園や保育所等を利用していますが、0~2歳児は家庭で保育を行っている世帯が多く、ここを無償化するのは不公平だと説明されています。

実はより大きな「不公平」が温存されているのはご存じでしょうか。

ほぼ全ての自治体の保育料は「第2子が半額、第3子は無償」とされています。しかし、ここでいう「第2子」「第3子」とは、「同時に保育所等に在籍している児童のみを数え上げる」とされています。

たとえば5歳児クラスと2歳児クラスに通うきょうだいがいる場合、5歳児保育料は無償・2歳児は半額とされます。が、小4と2歳児クラスのきょうだいがいる場合は、2歳児保育料は満額が課されます。

きょうだいの年齢差によって保育料に極めて大きな違いが生じてしまうのが実情です。

多子世帯の保育料負担を軽減するという観点からは、何ら合理性がありません。不平等・不公平・法の下の平等を欠くと言わざるを得ません。

特に0-2歳児保育料は非常に高く、大阪市は年間で約85万円となる世帯もあります。「少しの額だから構わない」と見過ごせる金額ではありません。

しかしながら、一部の自治体では見直す動きが行われています。石川県金沢市が一例です。

保育料第2子半額 金沢市 所得制限なし、第3子以降無料
2021年度 金沢市予算案

 金沢市は新年度、保育料を見直し、第2子は半額、第3子以降は無料とする。所得制限などの条件も設けない。4月には、こども未来部を「局」に格上げし、次代を担う子どもや子育て世帯向けの施策を強化する。少子化に悩む能登の自治体で同様の保育料制度を設ける動きはあるが、人口減少が比較的緩やかな県都金沢市も将来を見据え、対策に本腰を入れざるを得なくなった。

 保育料見直しの対象となるのは、市内の保育所に通う0~2歳児。全体で約5350人おり、新たに半額・無料となるのは約400人と見込まれる。これにより、保護者が支払う保育料は総額で年間1億2千万円減る。3歳以上はすでに無償化されている。

 見直しは9月に実施する。現在は第2子や第3子以降が同時に保育所に通う場合は減免措置があるほか、同時入所している園児がいない場合でも条件によっては減免されるケースがあり、分かりにくかった。

 9月以降は同時入所の有無にかかわらず、第2子は半額、第3子以降は無料とする。減免される世帯を増やし、制度を簡略化する。

 同様の制度は石川県内では輪島、羽咋、能登の3市町で実施されている。金沢市が導入することで、周辺の市町にも広がる可能性がある。(以下省略)

https://www.hokkoku.co.jp/articles/tym/338941

金沢市ウェブサイトにはまだ掲載されていません。令和3年度(2021年度)当初予算に記載されているのみでした。

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/data/open/cnt/3/4895/1/13juuminhutan.pdf?20210222134714

保育料が切り替わる令和3年度9月から実施する予定とされています。初年度は9カ月分が対象となるので、年間減免予定額約1.2億円*(7/12)=7176.4万円が予算計上されています。

多子世帯の家計を下支えすると共に、きょうだいの年齢差によって負担額に大きな違いが生じる不合理な現行制度を改められます。金沢市の判断は極めて合理的です。

金沢市に留まらず、同じ様な制度設計が他自治体にも広がって欲しいです。