とんでもない話です。

わいせつ教員の対策を強化へ
文科省、免許再取得制限を5年に

 教員による児童生徒への性暴力が深刻化していることから、文部科学省が、わいせつ行為で教員免許を失っても3年が経過すれば再取得可能としている教育職員免許法を改正し、制限期間を5年に延長する規制強化案を検討していることが31日、関係者への取材で分かった。

 萩生田光一文科相は7月の衆院文科委員会で「非常に重要な問題」と述べ、速やかな見直しを表明。憲法が保障する職業選択の自由との兼ね合いから再取得を不可能とせず、制限期間を延長する案としている。被害者や保護者から、より厳しい規制を求める声が上がることも想定され、国会への法案提出の時期も含めて慎重に検討を進めている。

https://this.kiji.is/673134088395326561

強い非難の声が上がっています。当然です。

中学生時代に教員からの性暴力被害に遭い、性被害でPTSDを発症したとして札幌市教育委員会と教員に対し2019年2月に東京地裁に提訴した石田郁子さん(42)は、5年への延長案についてこう語る。

「本質的には現行法と変わらず、効果を想像しにくいです。教師による生徒への性暴力は、教師の立場や信頼を利用して行われる、つまり教員免許が犯罪に利用されているわけです。子どもの安全を第一に考えれば、再取得を不可能にするのは当然のことだと思います。

職業選択の自由を理由に再取得の制限をためらうのは、加害者に比重が置かれており、筋が違います」

https://www.fnn.jp/articles/-/80350

現行法を確認します。

第五条 普通免許状は、別表第一、別表第二若しくは別表第二の二に定める基礎資格を有し、かつ、大学若しくは文部科学大臣の指定する養護教諭養成機関において別表第一、別表第二若しくは別表第二の二に定める単位を修得した者又はその免許状を授与するため行う教育職員検定に合格した者に授与する。ただし、次の各号のいずれかに該当する者には、授与しない。
一 十八歳未満の者
二 高等学校を卒業しない者(通常の課程以外の課程におけるこれに相当するものを修了しない者を含む。)。ただし、文部科学大臣において高等学校を卒業した者と同等以上の資格を有すると認めた者を除く。
三 禁錮以上の刑に処せられた者
四 第十条第一項第二号又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者
五 第十一条第一項から第三項までの規定により免許状取上げの処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

第十条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う。
一 第五条第一項第三号又は第六号に該当するに至つたとき。
二 公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき。
三 公立学校の教員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十九条の二第一項各号に掲げる者に該当する者を除く。)であつて同法第二十八条第一項第一号又は第三号に該当するとして分限免職の処分を受けたとき。

教育職員免許法

文部科学省内で検討されている改正案は、同法第5条第1項第4号の「三年を経過しない者」を「五年を経過しない者」と改める内容でしょう。

これによると、懲戒免職処分を受けて免許状が効力を失っても、5年が経過すると再び授与される事となります。

同法をよく見ると、免許状を失効するに至った懲戒免職の理由は考慮していません。交通事故でも猥褻行為でも、懲戒免職であればいずれも「3年間は失効(再取得不可)」です。

猥褻行為、特に児童生徒や子供への性犯罪等を行った教員は、二度と教壇に立たせるべきではありません。

更に初等中等教育に特有の理由として、「子供が先生を選べない」という物があります。

児童生徒に教員選択の自由がない以上、免職された元教員の「職業選択の自由」を重視するのはバランス感覚を欠いています。児童生徒が安心して授業を受けられる環境こそが「公共の福祉」です。

再取得までの要する期間は現状維持(3年)ないし5年へ延長し、性犯罪や児童生徒への猥褻行為等によって懲戒免職された者に対しては免許状を再取得できない措置が妥当ではないでしょうか。

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(9/3追記)
文部科学大臣の記者会見での質疑応答を追加します。

記者)
 2点伺わせてください。1つは、教員のわいせつ事案に関する対処なんですけれども、本日報道でですね、教員免許法を改正して現状再取得まで3年というのを5年に延ばすという案を軸に検討されているというような報道がなされていますけれども、この辺の事実関係とですね、それから、事実であれば、3年間から5年というのは、ちょっと個人的な見解になりますが、それほど実効性があるように感じられない部分もあるんですけども、大臣としてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 私も報道を見てですね、ちょっとびっくりしました。担当局の方で色んなシミュレーションをしているのは事実でありますけれども、過日、国会でも申し上げましたように、厳格化を速やかに進めていきたいというのは私の思いでございますので、3年が5年でいい制度に変えることができるんだったら、それは一つの案だと思うんですけれど、私、その詳細な中身についてまだ詳しく承知をしておりません。児童生徒を守り育てる立場にある教師が、児童生徒に対してわいせつ行為を行うなどということは、断じてあってはならないことだと思っています。今の仕組みでは、例えば、教員が児童生徒へのわいせつ行為により、懲戒免職処分を受け免許状が失効しても、3年を経過すると、再度、免許状を取得することが可能となるなどの課題があります。しかし、こうした被害から子供たちを守るには、より抜本的な仕組みの見直しが必要と考えており、現在、法改正に向けて、法制上の課題や他の制度との関係等も含め、検討を進めているところです。一部の報道にあった欠格期間の延長等も検討課題の一つとして考えられる事項ではありますが、それだけでは足りるものでは全くないと思っておりまして、より幅広い視点から、実効性のある方策を検討し、できる限り速やかに国会に法案を提出できるように準備を進めていきたいと考えています。

https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00087.html

3年→5年は一つの検討課題とした上で、これだけでは足りるものでは全くないと考えているそうです。当然ですね。

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(9/16追記)

文部科学省が実質的な対応を打ち出しました。「処分閲覧歴の長期化」です。

教員の処分歴閲覧40年に大幅延長 わいせつによる懲戒処分増加で

 児童や生徒らへのわいせつ行為などで懲戒免職となった教員の処分歴について、文部科学省は教育委員会などが閲覧できる期間を現行の3年から40年に大幅に延長することを明らかにしました。

 現在、懲戒免職で免許が失効となった教員は、その後、3年間は再取得ができず、処分が官報に掲載されます。

 文科省は、これらの情報について閲覧できるシステムを教員の採用を行う教育委員会などに提供していますが、検索可能な情報の期間を現行の3年から40年に大幅に延長することを明らかにしました。今年11月から過去5年分の情報を、来年2月中には過去40年分の情報を閲覧できるようにするということです。

 ただ、処分の理由がわいせつ行為によるものかどうかは明記されていないため、文科省は「この情報をきっかけに十分な確認をとるなどし、採用選考に活用して欲しい」としています。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4078385.html

事実上、教員志望者の過去の懲戒免職歴を全て調べられます。

処分理由は面接や処分を行った教委等に訊ねて確認するのでしょう。児童への猥褻犯は採用しない、財産犯は面接や筆記試験等を総合考慮する、といった対策ができます。

法改正には時間が掛かります。しかし、処分歴の閲覧期間の長期化により、ほぼ同等の効果が得られます。

よく出来た対策だと感じました。