特別定額給付金(10万円)の給付、大阪市は著しく停滞しています。7月3日時点では主要政令市で最も遅れています。

 神戸市が給付金を届けるのは約76万世帯。給付率は6月26日に9割を超え、7月3日には93%に達した。主な大都市の3日現在の給付率は、大阪市17・6%、京都市58・3%、横浜市(2日現在)47・0%、名古屋市29・7%、福岡市73・3%などだ。

https://digital.asahi.com/articles/ASN74729BN6YPIHB03T.html

7月1日に行われた大阪市長会見では、松井市長が記者から厳しい質問を浴びました。中には事業者に責任を転嫁するかの様な発言もありました。

市長や担当職員の発言(弁解)をいくつかご紹介します。

課題については、これは我々側も慣れていないということです。まず組織としてね。それから、事業者の方も慣れない事業者であった。それから、先程も申し上げたけども、作業する場所の環境は、先程申し上げたように、そういうスキャナーがそれほど電力を使うというのも、これも、要は知識なかったということです。

神戸、なぜ早いのと、そこも検証させました。神戸の方は、やはり前回リーマンの時に1万2,000円の給付やった、その慣れた事業者が神戸でそのまま事業されたということです。

我々は事業者を決定する時に、前回の1万2,000円の給付を経験した事業者と、それから2年前かな、商品券を配布をいたしました、その時の事業者と、商品券の配布事業者の方を選んでしまったと。これは商品券とは全く、現金、キャッシュですから、別ものだったもので、今回の事業者については、その辺の給付作業においてのスキルがちょっと十分ではなかったなと、こういうことです。

https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000499036.html(以下同じ)

神戸市の事例は朝日新聞が取り上げています。

全国でも早かった10万円給付 神戸市職員の機転光る
https://digital.asahi.com/articles/ASN74729BN6YPIHB03T.html

担当者は「初動が早かったことと、民間企業とうまく連携できたことが、今回うまくいった要因」と指摘しています。

市民の皆さんが。今回はコロナでやっぱり所得が減った、または雇い止めとか、仕事そのものを失ったということで、非常に切羽詰まった方々が非常に多いわけでね、市民からの問合せについてもですね、プレミアム商品券の時とは差にならない数の問合せが来ています。

どうもコールセンターには苦情が殺到している様子ですね。当ウェブサイトにも憤懣やるかたない苦情の声が相次いで寄せられています。

【10万円・7/13追記】オンライン照会が可能に、5月申請→7/5支給、6/1→7/12、6/2→7/13~19、6/3-9→7/20~26を予定

我々は、そら、1日100万件やってほしいという、1日で150万件やってほしいと思うけど、ただ、無尽蔵にあるわけではないのでね、それはできませんから、5万件であれば30日でやれるかなという判断をした。

先程の定額給付金担当の体制の数でございますが、5月1日が12名、6月1日が18名、7月1日、19名となってございます。

大阪市の場合は、約、非課税世帯が3割です、大阪市は。3割強が非課税の世帯。やっぱりこの世帯が一番厳しいわけですよ。

1日5万件で30日間、という判断が甘すぎました。一般的な申請と異なり、10万円が支給される申請書が30日間に渡って均等に届く筈がありません。

マンパワーは日々増強されました。申請遅れに対するクレームが殺到し、重い腰がようやく上がりました。

大阪市民の内、3割強が非課税世帯だそうです。かなり高い割合ですね。特に低所得世帯にとっては10万円は大金です。しかし、大阪市役所は市民の金銭感覚や懐事情を理解していないのでは、と感じました。

当初のやっぱりオンラインの状況で、これはなかなかうまくいきませんでした、オンラインは。要は、入力間違いが多数あって。まずオンラインを全て終わらせようというところで、そちら側にちょっと人を、マンパワーを集めてやったわけですけど、結果、オンラインが、申請の半分が、入力等の間違い等があって、結局、審査した半分が給付できなかったと。

一定時期来て、オンラインはやめとくということで中断をして書類に切り替えたわけですけど、オンライン部分に注力したところ、力入れてた部分がなかなか給付に至らず、再申請、再申請という形になって、再申請に至っても指導とかしないと駄目なので、ここが間違ってますよと、そういうところにやっぱり人が取られたのは大きかったと思います。

オンラインの申請は半数近く不備がございました。ただ、添付書類で口座の情報とかが確認できるものは事務局の方で補填をいたしまして、それでも補填でき切れないものはご本人さんにお返しするという事務手続を取っております。

オンライン入力にマンパワーが取られた、と弁解しています。確かに全国各地で申請ミスが多発しています。それにしても、半数に何らかの入力ミスがあるとは多すぎですね。

しかし、こうした状況は他の自治体も同じです。オンラインに責任を転嫁するのは筋違いです。

スタートも10日間遅れてますから。施設、例えば給付するための場所についても、先程申し上げたように、電力不足なんていうのは、もうこれ、ちょっと考えが及ばなかったというところはあります。だから、初期対応のところで、やはりちょっと作業に対して認識甘かったと。この作業自体を、作業の中身が大変な手間がいるということをしっかり最初に把握できていなかったというのは、我々、反省すべき点だと、こう思ってます。

途中から応援職員というか、兼務職員を入れました際に、定額給付金、過去の経験者を1名入れております。あと、最初の時に場所探しを一生懸命いたしました。広い場所が必要だということで。いろんなところにあたりましたけれども、この都市部におきまして広い場所というのが、あと、住民票を検索したりとかするシステムを早く入れられるようなところ、そういった目線でも探しました結果、そんなに広いところは見つけられなかった、電力が足りてるところが見つからなかったということもございます。恐れ入ります。

大阪市の支給遅れについて、この部分が大きな要因を占めているでしょう。事前準備や段取りの悪さです。

支給事務に際して、担当部門は技師の配属や助言等を求めていなかったのではないでしょうか。

支給事務は膨大な事務作業の積み重ねです。が、事前にワークフローを入念に検討していれば、必要なオフィススペース・回線数・電力に気づけた筈です。

申請書が届いて、それを開封したりとか審査をしたりとか、あと、それから給付データをつくったり、そういったことは全て凸版さんです。コールセンターについて、途中までJTBさんだったんですけれども、途中から凸版さんに引継ぎがされています。総括はJTBさんがされておられます。

当初延べ約300人でスタートし、6月下旬に延べ約630人へ増強

民間事業者の責任も無視できません。大阪市役所からの要件定義に応じた態勢を構築したのでしょうが、そもそもの定義内容が甘すぎました。

事前に事業者側から「見積が甘すぎませんか?」と指摘できれば良かったのですが、力関係や事業者の力量から言い出しにくかったのかもしれません。

僕は行政のスピード感というのは非常に重要ということはずっと言ってますけど、言っても無尽蔵に人もお金もあるわけではありませんから、自分が持ってる、役所が持ってる、組織が持ってるスキルの範囲で、これをね、どのような施策についてもスピード感を持って市民の皆さんに届けたい

必要なのは「スピード感」ではありません。「スピード」です。弁解ではなく、いち早い支給です。