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(亡くなった山口愛美利ちゃん)

5年前、栃木県宇都宮市の認可外保育施設「トイズ」にて山口愛美利ちゃん(9カ月)が死亡した事件が発生しました。

【映像あり】認可外保育施設「トイズ」(栃木県宇都宮市)で日常的に紐で縛る等の虐待が行われていた疑い

【宇都宮トイズ】新たな虐待写真が公開&民事訴訟が始まりました。

民事訴訟の一審判決でにて、宇都宮地方裁判所は運営会社・元経営者(受刑中)・宇都宮市へ約6300万円の支払いを命じました。

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(6/22追記)
当時行われていた保育の内容等について、改めてまとめられています。

グルグル巻きの虐待が日常だった…宇都宮市認可外保育施設乳児死亡事件の悲劇(猪熊 弘子)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73461

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(6/18追記)
宇都宮市が控訴しました。

宇都宮市が控訴 乳児死亡訴訟

 2014年、宇都宮市の認可外保育施設「といず」で、当時9ヵ月だった山口 愛美利ちゃんが宿泊保育中に死亡した事件を巡る訴訟で、宇都宮市は市の過失を認定し賠償を命じた宇都宮地方裁判所の判決を不服として控訴しました。

 この訴訟は愛美利ちゃんの両親が、宇都宮市が認可外保育施設への指導監督責任を怠ったなどとして、市や施設側におよそ1億1300万円の損害賠償を求めたものです。

 宇都宮地方裁判所は今月3日、市が指導監督権限に基づく注意義務を果たしていれば事故が起きなかった可能性が高く、市の対応は「虐待的保育を防止するうえで極めて不十分」と指摘し、施設側におよそ6300万円の支払いを命じ、このうち最大でおよそ2100万円については市に連帯して支払うよう命じました

 判決を受けて宇都宮市は、今月12日の市議会で「判決には事実誤認や判断の根拠が明確でない部分があり、上級審の判断を仰ぎたい」と控訴する理由を説明し、この議案は賛成多数で可決し、16日に控訴しました。

 市の控訴について愛美利ちゃんの両親は「理解が得られず残念。判決は上級審で覆ることがないと信じています」とコメントしています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3e5112e62c0c70e9850a1473ef1250d7df544ba5

非常に残念です。

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(6/13追記)
宇都宮市は控訴するそうです。

宇都宮市、控訴へ 市議会、賛成多数で可決 「といず」賠償訴訟

宇都宮市内の認可外保育施設「といず」(廃止)で2014年7月、宿泊保育中の同市、山口愛美利(やまぐちえみり)ちゃん=当時9カ月=が死亡した事件に関する訴訟を巡り、宇都宮市議会は12日、市の過失を認定し賠償を命じた宇都宮地裁判決を不服として、市の控訴を認める議案を29対15の賛成多数で可決した。市は近く控訴の手続きをする見通し。

 市は議案の提案理由で「裁判所と市の認識に開きがあり、事実誤認や、判断根拠が明確でない部分がある」などと述べた。

 会派ごとの賛否は次の通り。【賛成】自民党(20人)、公明党(6人)、青心会、こころの会、新風(各1人)【反対】市民連合(8人)、未来、共産党(各3人)、緑(1人)

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/322594

この訴えについて裁判所は今月3日、医師の診断や治療を受けさせる義務を怠った元施設長の過失と、虐待の通報を受けた市が事前通告して調査を行ったため、虐待的保育を防げなかった責任を認め、双方に対し、総額6300万円余りを、一部は連帯して支払うよう命じる判決を言い渡しました。

これについて、被告の宇都宮市は「事前通告では調査目的を伝えておらず、適切な対応だった。判決と市の認識に開きがあり、上級審の判断を判断を仰ぎたい」として控訴する方針を固め、12日の市議会の採決を経て決定しました。

宇都宮市の調査の問題を認定した判決を評価するとしていた愛美利ちゃんの両親は、宇都宮市の控訴の方針について「とても残念です。判決は覆ることはないと信じています」とコメントしています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20200612/1090007056.html

一方、愛美利ちゃんの両親は、代理人の弁護士を通じて「議員に要望書を提出し、控訴議案否決への理解を求めてきましたが、理解が得られず、とても残念です。判決は上級審において覆ることはないと信じています。市は裁判実施中を理由にこれ以上、検証委員会の実施を引き延ばすのはやめて、早期に検証委員会を開いてほしい。風化させないでほしい。そして娘の死を無駄にしないでほしい」とのコメントを発表しました。

http://www.crt-radio.co.jp/news/3407

控訴理由の一端が宇都宮市議会の厚生常任委員会委員長報告に掲載されています。

 厚生常任委員会に付託されました議案第109号訴えの提起について、審査の経過と結果を報告いたします。

 この議案は、認可外保育施設において発生した事件について当該施設長ら及び本市に損害賠償が請求された訴訟に関し、本市に対する請求の棄却等を求めるため、控訴を提起しようとするものであります。

 この議案につきましては、「特別立入調査について、事前に訪問の連絡をすれば、見られてはよくない保育の状況を隠そうと心理が働くことは当然のことであり、裁判所の判断は妥当であると考えることから、控訴に反対である」などの意見がありましたが、「判決文では、保育士等の専門的知見を有する者を立入調査班に加えることなく実行されたと書かれているが、明らかに事実と異なる。市の控訴は妥当であり、議会としては賛成せざるを得ない」などの意見が多く、起立採決の結果、原案のとおり可決いたしました。

https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/gikai/kaigi/kekka/1024713/1024717/1024719.html

仮に「保育士等の専門的知見を有する者を立入調査班に加えることなく実行されたと書かれているが、明らかに事実と異なる。」という部分が事実誤認であった(=専門的知見を有する物も立入に加わった)のであれば、専門家が確認すべき項目を確認しなかったという点でより深刻となります。

この部分が控訴を要するほどの、重大な事実誤認とは考えにくいです。

宇都宮市は控訴するのでは無く、検証委員会を設置して原因を究明し、こうした事件が二度と起こらない為の対策に全力を傾けるべきではないでしょうか。

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 認可外保育施設で乳児死亡 市などに賠償命じる判決 宇都宮地裁

平成26年に、宇都宮市にある認可外保育施設で、生後9か月だった赤ちゃんが死亡したのは、市や施設が適切な対応を取らなかったことが原因だとして、両親が市と施設側に損害賠償を求めていた裁判で、宇都宮地方裁判所は、市の責任も認め、総額で6300万円余りを支払うよう命じる判決を言い渡しました。

平成26年7月、宇都宮市にある認可外保育施設「託児室といず」に預けられていた、生後9か月の山口愛美利ちゃんが、熱中症で死亡しました。

両親は、施設が体調を崩した子どもに医療措置を行わなかったほか、施設内で虐待が行われていると通報を受けていた市が、適切な調査や指導を行わなかったなどとして、市と施設側に対し合わせて、およそ1億1400万円の損害賠償を求めていました。

3日の判決で宇都宮地方裁判所の伊良原恵吾裁判長は、愛美利ちゃんが下痢や発熱の症状があったのに対し「元施設長は、水分補給などや医師の診断や治療を受けさせる義務を怠った」と施設側の責任を指摘しました。

そして、市については施設内で虐待が行われていると複数の通報を受けて行った立ち入り調査を、事前通告せずにできたのに、事前通告したことに対して、「虐待的保育を防止するうえで極めて不十分だったといわざるをえない。適切な調査が行われていれば、熱中症死は発生しなかった蓋然性が高い」として、宇都宮市の責任も認め、6300万円余りを一部は市も連帯して支払うよう命じる判決を言い渡しました。

この問題をめぐっては、施設の元施設長が、保護責任者遺棄致死などの罪で起訴され、4年前に懲役10年の判決が確定しています。

宇都宮市長「判決文の内容を精査したうえで検討」

判決を受けて宇都宮市の佐藤栄一市長は「今後の対応については、判決文の内容を精査したうえで、検討していきたい」というコメントを出しました。

両親「市の調査が不十分と認めてくれ 評価」

原告の山口愛美利ちゃんの両親は、判決を受けて宇都宮市内で会見しました。

この中で、愛美利ちゃんの父親は「裁判所が、市の調査が不十分だと認めてくれたことは評価したい。『といず』のような施設が生まれた責任は宇都宮市にあると思っているので、これからの日本のためによき判例にしてほしい」と話していました。

また、愛美利ちゃんの母親は「市の責任が認められたことは、私たちの気持ちをくみ取ってくれた判決だと思うので、うれしく思います。悪質な施設を見つける仕組みを作って、少子化の中でも、安心して子育てできる世の中になってほしい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456961000.html

 宇都宮市の認可外保育施設「といず」で当時9カ月だった山口愛美利(えみり)ちゃんが死亡した事件をめぐり、両親が運営会社や市に損害賠償を求めた訴訟。3日の宇都宮地裁判決が市の過失を認めて賠償を命じたことに対し、県庁で会見した父親(54)は「市の調査が不十分だったことを認めた判決は評価したい。愛美利の死は無駄ではなかったとほめてやりたい」と評価した。

 愛美利ちゃんの遺影とともに会見に臨んだ父親は、「行政の非を認めてくれてうれしい。といずのような施設を生み出した責任の半分は市にある」と指摘。「まともな調査をしていたら、愛美利が死ぬことはなかった。市の怠慢だ。事件後の対応も誠実さを感じなかった」と現在まで事件の検証委員会を開催していない市の対応を疑問視する。

 事件の翌年の平成27年に民事訴訟を起こし、約5年半をかけて地裁判決に至った。母親(42)は「1回ごとの審理の進み方がゆっくりで心が持たなかった」と吐露。一方、「私たちの証言をしっかり聞いて判決を出してくれたのがわかり、聞いたときは涙が出そうになった。これを機に、安心して子育てができるような世の中になってほしい」とも話した。

 判決を受けて、佐藤栄一市長は「今後の対応については、判決文の内容を精査した上で検討していきたい」とコメントを出した。

https://www.sankei.com/region/news/200604/rgn2006040008-n1.html

こうした事件において、行政の監督責任が認められるのは極めて稀です。原告も敗訴用のコメントを準備していたそうです。

判決当日までに父親が用意した記者会見用のコメントは、敗訴を想定していたという。一転、主張が認められ、手書きで加筆したコメントを読み上げた。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/319053?top

裁判所が宇都宮市の過失を認めたのは、死亡事件が発生する前に虐待を窺わせる複数の情報が宇都宮市に寄せられていながら、同市が適切な対応を行わなかったという事実を認定した為でしょう。

また、愛美利ちゃんの両親の元には、別の元施設関係者からも複数の子どもが縛られている写真が届いた。両親は写っていた子どものうち1人の親と連絡を取り、撮影されているのが自分の子どもであることや、撮影日時の13年4月に施設に預けていたことが確認されたという。

愛美利ちゃんが死亡する2カ月前には、宇都宮市に「子どもを毛布でまき、ひもでぐるぐる巻きにして動けないようにしている。虐待ではないか」などと不適切な保育状況を訴える匿名の電話が寄せられていた。市は当時、施設に通告した上で立ち入り調査し、問題はなかったと判断していた。

https://yodokikaku.net/?p=5952

仮に宇都宮市が立入調査等で十分な証拠を入手して適切な指導監督等を行えていれば、山口愛美利ちゃんが死亡する事件は発生しなかったでしょう。

判決前、ご両親が怒りのコメントを公開しています。

といずのような虐待託児所が生まれた責任の一端は、宇都宮市役所にあると言えます。

といず施設長の父、木村茳は元栃木県議会議員そして県の要職を歴任してきた権力者でした。託児室といずには、様々な違反がありました。違法な増築工事。認可外保育施設指導監督基準違反にあたる2方向避難路の欠如、屋外階段の代わりに赤ちゃんには不適な緩降機。必要な消防設備の不設置等々。

宇都宮市は、これらの違反を何年も放置してきました。これらは、他の保育施設と比較して特別扱いと言えるものです。

そんな中で、託児室といずでの、子どもを縛る・閉じ込めるなどの虐待通報がえみりの事件の2か月前にあったのに、宇都宮市保育課の立入り調査は、事前に施設に連絡をしたうえに、たった30分、見学のみで終わりにしています。

抜き打ちの調査をしていない、保育に使っているという情報があった4階を調査しない、調査後担当者は危機感を持っていたのに継続調査をしない、などずさんな対応をおこなっていました。

なぜ内部スタッフからの詳細な虐待内容の通報があったのに、弱い幼い子供の命がかかっているのに、安全であるという確証を得ず、危機感を持っていたのに継続して調査をしなかったのか、保身と怠慢としか言いようがない。子供の命にかかわる部署という認識がないのだろうか、自分の子に置き換えて考えたら、そんな判断にはなっていなかったのではないでしょうか。

宇都宮市がまともな調査、対応をしていたら、えみりは間違いなく亡くなっていません。

私たちの娘、山口愛美利がなぜ虐待保育から見殺しにされたのか。

事件後、宇都宮市は一貫して責任を否定し続けていました。ご両親の訴えに耳を貸さず、事件が風化するのを待っているかの様な対応でした。

ご両親が「検証委員会の設置」を求める署名運動を実施中

ご両親は宇都宮市の責任を追及すると共に、「第三者によって構成される検証委員会の立ち上げ」を求める署名運動を行っています。

事件後の宇都宮市の対応は、自分たちの保身第一でまったく誠実さを感じることができません。宇都宮市は人が一人死んでも、保身のために、一度担当責任者と約束した検証委員会実施の約束は反故にし、検証すらしません。

私たちは真実を明らかにしたく、何年も鋭意調査し奔走してきました。各部署文書の開示請求、元といずスタッフや元宇都宮市保育課OB、元といず利用者、市内保育施設の聴き取り、さらに木村茳が協力を要請した市会議員などの聴き取り、政治献金の流れの調査など。しかしながら一民間人が調査するには限界があります。

えみりの死を無駄にせず、これからの日本の子供たちの未来のために、虐待通報を受けた行政機関が、何をしなければならないのか、どうすれば保育施設での虐待死を防ぐことができるのか、第三者によって構成される検証委員会を立ち上げ、公正な調査を行い、真実を明らかにし、虐待保育を他人事のように見過ごす行政担当者を無くす世の中にしたいと考えます。

それには皆さんのご協力が必要です。どうか力を貸してください。よろしくお願いします。

私たちの娘、山口愛美利がなぜ虐待保育から見殺しにされたのか。

行政自身が保育事故等を調査検証する場合、どうしても身内に甘くなってしまいます。また、様々な保育事業者と行政は古くからの付き合いがあるので、これも調査を甘くしてしまいます

適切な調査を行って事故の発生を防ぐには、行政から一定程度独立して調査を行う組織が不可欠でしょう。身内の調査ではお手盛りが起きます。

たとえば大阪市では、様々な有識者で構成された委員会が設けられています。

こども・子育て支援会議 教育・保育施設等事故検証部会
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000364024.html

会議で配布された資料や議事録等も公表されています。透明性が高く、客観的な検証が行われています。

特に発生した事故から導き出される「再発防止策の提言」は重要視されています。各園にフィードバックされ、事故防止に貢献しています。

大阪市たんぽぽの国保育事故調査報告書【概要版】
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000364/364024/houkokusyo-gaiyo.pdf

保育施設による不適切保育や虐待が未だに起こり続けています。これを少しでも減らす為には、起きてしまった事故の原因究明と再発防止策の検討が不可欠です。

恐らく判決文では、宇都宮市が検証委員会等を設置せずに事件を闇に葬り悟ろうとして点を厳しく指摘している部分もあるでしょう。

宇都宮市の責任は極めて重大です。