平成31年度保育所等一斉入所申込状況分析、第15回は一斉入所変更手続終了後の感想をまとめてみました。

保育所等の新設が相次ぐ都心部は、入所保留児童の減少傾向が鮮明に

ここ数年(特に吉村市長の就任後)、都心部を中心に数多くの保育所等が新設され続けてきました。これにより、非常に多くの入所希望者が入所できる様になりました。

入所倍率も急低下しました。例えば北区では入所倍率1.86倍(H25)→1.19倍(H31、以下同じ)、西区は1.59倍→0.93倍、天王寺区は1.93倍→0.87倍へと推移しています。未だ1歳児中心に入所しにくい地域等はあるものの、数年前と比べると都心部は雲泥の差です。

手薄になった周縁部(特に淀川3区)

その反面、保育所等の新設が一定数に留まった、もしくは殆ど新設されなかった地域の一部では、入所保留児童の減少が止まり、逆に増加に転じつつあります。典型的なのは東淀川区・淀川区・西淀川区(淀川3区)です。

各区はここ数年、概ね年間1-2箇所のペースで保育所が新設されています。しかし、子育て世帯から保育需要が高まったのか、入所倍率・入所保留児童は横ばい乃至上昇傾向にあります。

特に1歳児は悲惨です。H31一斉入所では、淀川3区で併せて400人前後の1歳児が入所できない見通しです。都心部での保育所等の新設に注力する余り、それ以外の地域への手当が薄くなった感は否めません。

6年保育(特に地域の中心部・駅チカ)の保育所へ第1希望が集中

これは数年前から同じ傾向です。0-5歳までの6年保育を行う保育所、とりわけ地域の中心部や駅に近接した施設に第1希望が集中しています。

忙しい共働き世帯の視点に立つと、当然の選択です。利用する駅に近ければ登降園に掛かる時間が短縮できます。6年保育ならば途中に転所する必要もなく、第2子以降もきょうだい加点によってスムーズに入所できます。

入所するには事実上、フルタイム共働きが前提となっている保育所もあります。結果として、共働きしている中高所得世帯の児童が多く入所しているでしょう。点数制によって就労時間が短い、そして世帯所得が低い家庭が弾き出されてしまっています。

保育士等優先入所は活発に利用

H31一斉入所に置いて、保育士等優先枠を利用して申し込んだ児童は239人でした。全体の約1.6%を占めています。200人以上の保育士の子供の入所が早々に内定し、保育士の雇用が促進されています。

一方、優先枠を利用した申込みも一部保育所等に偏っています。特に募集予定数が1名の保育所等・年齢に保育士が申し込むと、それ以外の申込者は全く入所できません。

中には複数人を募集しながら、全てが保育士で埋まった保育所もあります。優先枠の利用に上限を設ける必要があるかもしれません。

開所延期が相次ぐ

例年以上に開所を延期する保育所が相次ぎました。

【H31新設保育所紹介】(番外)建築資材不足で2保育所が開所延期、今後も続出する恐れ、自然災害が原因

東京オリンピック等の影響によって職人や資材が集まりにくい状況は想定されていました。今年は自然災害が多発し、不足感に拍車を掛けました。

延期が発表されて保育所も安心できません。今後、唐突に開所延期が公表される危険は否定できません。

浸透していない送迎ステーション

3-5歳児を送迎ステーション(西区)から保育所(中央区森ノ宮)へバスで送迎する事業が始まり、H31一斉入所から募集が始まりました。

【H31新設保育所紹介・訂正あり】(10)なにわのもり保育園(中央区、西区から送迎バス有、城東区・東成区も近い)

しかしながら、保護者の間にはあまり浸透していない様子です。西区で第1希望としたのは、募集人数21人に対して2人のみでした。これは開所延期が公表される前の数字であり、第1希望者が更に減少している可能性もあります。

保育その物は一般的な保育所と同じ様に行われるでしょう。しかし、近所の保育所と比べると様々な面で勝手が違うと考えられます。

集合時間が制約される、日常的な保育の様子が見られない、園や保育士とのコミュニケーションに不安が残る、行事参観に一手間掛かる、卒園と同時に縁が切れやすい等、心配事は山積みです。

期間限定保育が始まります(1-2歳児限定の2年保育)

保育所の空き保育室等を利用した、期間限定保育が始まります。2次調整で募集が行われる予定です。

【11/5追記】「大阪市期間限定保育」は利用保留児のみが対象(=2次調整から)、大阪市内に勤務する市外在住保育士も申込可能(パブコメ実施中)

事業者の募集も始まりました。

大阪市「期間限定保育」実施事業者の募集について
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000452965.html

あくまで期間限定保育は暫定的、かつ過渡期的な措置です。保護者が望むのは6年保育の保育所新設です。

この制度、入所してからも大変です。

実施する大半の保育所では、期間限定保育と通常保育の児童を分け隔て無く保育を行うでしょう。しかし、3歳児クラスへ進級する際、期間限定保育の児童は退所を余儀なくされます(3歳児入所申請で内定した場合を除く)。

入所時の取り決めとは言え、非人道的な扱いとの指摘を受けかねず、トラブルが生じる施設もあるでしょう。3歳児入所枠の拡大を促す等、希望する児童が同じ保育所で継続して保育されて欲しいです。

今後の予定&お願い

リクエストに応じ、今後も申込状況等の情報を掲載していきます。今年の内容はH31申込分析、昨年の内容はH30申込分析からご覧下さい。

「○○区の情報を詳しく知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。多少のお時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい。

次回以降は東住吉区・平野区を掲載する予定です。

同時に、皆様に運営支援へのご協力をお願いしています。

ウェブサイト上にamazonリンク・サーチボックス等を掲載しています。ご家庭で使われる育児・生活用品・家電製品・消耗品等がありましたら、サイト上のamazonリンク等を経由して購入して頂ければ幸いです。

また、あらかじめAmazonギフト券(チャージタイプ)Amazonギフト券(Eメールタイプ)からギフト券を購入し、ご利用中のアカウントへチャージされると便利です。クレジットカードの使用履歴がamazonで埋まらずに済みます。