企業主導型保育への助成金を詐取した疑いで、株式会社WINカンパニーの経営者が再逮捕されました。

同社は企業主導型保育事業の申請・運営代行事業を行うと共に、企業主導型保育「キッズランド(KIDSLAND)」の運営も行っています。

https://www.youtube.com/watch?v=eG–BcR1FRE

 東京地検特捜部は23日、企業主導型保育所の設置を巡り、国の助成金2億円余りをだまし取ったとして、詐欺容疑で福岡市のコンサルタント会社「WINカンパニー」社長川崎大資容疑者(51)を再逮捕した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190723-00000052-kyodonews-soci

国の助成金詐欺容疑で再逮捕へ 企業保育所開設、2億円か

 企業主導型保育所を設置する名目で金融機関から融資金をだまし取ったとされる事件で、国の助成金もだまし取った疑いが強まったとして、東京地検特捜部が来週にも、福岡市のコンサルティング会社「WINカンパニー」社長、川崎大資容疑者(51)を詐欺容疑で再逮捕する方針を固めた模様だ。関係者への取材で判明した。

 企業が従業員向けに設置する企業主導型保育所は、国が整備費の75%を助成する仕組みがあり、国の委託を受けた公益財団法人「児童育成協会」が審査する。

 関係者によると、川崎容疑者は主にコンサルタント名目で20件以上の助成申請に関わり、十数件で助成決定を受けたとされる。このうち、いずれも2017年11月に助成決定が出た「KIDSLAND法華西町」(名古屋市中川区)と「KIDSLAND天神」(福岡市中央区)について、川崎容疑者が助成金計約2億円をだまし取った可能性があるという。

 両施設は18年2~3月に運営開始とされていたが、現在も開園しておらず、児童育成協会は助成金の返還請求や取り消しを決めている。

 川崎容疑者は、横浜幸銀信用組合(横浜市)に18年10月、企業主導型保育所設置に対する助成金の支出が決まったとする偽の通知書を送付し、開設資金名目で融資させた約1億990万円をだまし取ったとして今月3日に詐欺容疑で逮捕された。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190720-00000001-mai-soci

虚偽の事業計画を提出し、国の委託を受けた財団法人「児童育成協会」からの助成金をだまし取った構図です。

自治体による厳密な審査等が行われる認可保育所・地域型保育事業とは異なり、企業主導型保育は児童育成協会による審査によって助成が決定されます。

同協会の職員は数十人しかおらず、全国各地から山の様に寄せられる助成申請を適切に処理するマンパワーが足りないと聞いています(一部はパソナ等へ外注)。

元々の審査基準が保育所より緩く、そして人手不足によって不十分な審査で助成が決定される状態であり、そこを犯罪集団につけ込まれたのでしょう。

経営者が逮捕されたWINカンパニーは、首都圏や九州等で「KIDSLAND」を運営しています。掲載されている各施設は実際に運営されている様子です。

しかし、WINカンパニーが介在して助成を申請した園の一部は全く建設されず、建設に要する助成金が闇に消えてしまいました。

立派な建設予想図、現況は雑草地

その一つは「KIDSLAND柳瀬(福岡市南区)」です。

本来はこうした立派な保育園が建設される予定でした。


http://www.arc-design.biz/kids-land-%e6%9f%b3%e7%80%ac-%e7%a6%8f%e5%86%88/?lang=zh-hans

上記画像は1年半前のものです。しかし、現在も同じ状況であり、保育園が建設される雰囲気は皆無だそうです。

この保育施設を設置するのはWINカンパニーではなく、福岡で太陽光発電システム・蓄電池・オール電化事業等を営む他社でした。WINカンパニーはコンサルタントとして関わったのでしょう。

詐欺目的による申請は、児童育成協会によって助成が取り消されました。

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WINカンパニーが直営する企業主導型保育への影響も避けられないでしょう。

乱立する企業主導型保育、保育士不足はますます深刻に

都市部を中心に、今も保育施設は大きく不足しています。

大阪市内でも数多くの企業主導型保育が設置されています。

保育所等が不足、かつ設置しづらい場所へピンポイントで新設されている企業主導型保育もある一方、保育所や幼稚園がふんだんにある住宅地へ設置されているケースもあります。

開設当初は児童が集まるかもしれませんが、数年後は果たしてと感じます。近隣の保育所や幼稚園と児童を奪い合い、共に消耗していく気がしてなりません。

また、多くの保護者が希望しているのは企業主導型保育への入所ではありません。「6年保育を行う認可保育所への入所」です。

国や自治体は認可保育所以上に、地域型保育事業(小規模保育)や企業主導型保育の新設に力を入れています。

その結果、保育所で保育士が著しく不足し、縮小運営を余儀なくされるという笑えない減少が生じています。

お世話になっている保育所でも保育士不足が深刻です。園長先生から「○○さん、お友達で離職している保育士はいませんか?」と訊かれる事もしばしばです。

多くの子育て世帯の願う物と、実際に実行される物が大きく違い、当惑するケースが続いています。難しい問題です。