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(9/24追記)
第2審でも実刑が言い渡されました。

豊田三つ子暴行死、二審も懲役3年6月 控訴を棄却

愛知県豊田市で生後11カ月の三つ子の1人を床にたたきつけて死亡させたとして、傷害致死罪に問われた母親、松下園理被告(31)の控訴審判決が24日、名古屋高裁であった。高橋徹裁判長は、懲役3年6月の実刑とした一審・名古屋地裁岡崎支部の裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

控訴審判決によると、松下被告は2018年1月11日、泣きやまない次男、綾斗ちゃん(当時11カ月)にいら立ち、畳の上に2回たたきつけて脳損傷で死亡させた。

高橋裁判長は判決理由で「生後僅かで母親によって生命と将来を奪われた被害者の無念さは計り知れず、刑事責任は相当重い」と指摘した。

控訴審で弁護側は、「1人で三つ子の世話をする過酷な育児で重度のうつ病を発症していた」と主張。実刑は重すぎるとして執行猶予付きの判決を求めていたが、高橋裁判長は「善悪の判断能力や、行動を制御する能力が著しく減退していたとはいえない」として、一審の結論を維持した。

松下被告は妊娠後、多胎出産の不安を保健師に伝えていた。豊田市は6月、市側が被告の訴えを認識していたのに、関係機関の連携不足で支援ができなかったとする検証報告をまとめた。市は出産後に保健師が家庭訪問するなどの再発防止策を取っている。

弁護側は判決後、「母親だけに育児がのしかかる現実が事件を引き起こす原因となっていることを、司法が理解しなかったのは大変残念だ」とのコメントを出した

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50140320U9A920C1CN8000/

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昨年1月に生後11カ月の3つ子の内1人を床に叩き付け、傷害致死容疑で母親が逮捕される事件がありました。

そして今年3月、母親に懲役3年6カ月の実刑判決が言い渡されました。

乳児暴行死 母親に実刑判決「3つ子の育児 同情できるが…」

2019年3月15日 19時42分

愛知県豊田市で生後11か月の3つ子の1人に暴行を加えて死亡させた罪に問われた母親の裁判で、裁判所は「3つ子の育児を懸命に行ったことに同情はできる」とした一方、「執行猶予をつけるほど軽い事案ではない」として懲役6年の求刑に対し3年6か月の判決を言い渡しました。

愛知県豊田市の松下園理被告(30)は去年1月、自宅で生後11か月の3つ子のうち次男を床にたたきつけて死亡させたとして傷害致死の罪に問われました。

裁判で被告は「泣き声が耐えられなかった」と話し、弁護士は「周囲の支援がなく重度のうつ病だった」として執行猶予のついた判決を求めていました。一方、検察は「乳児が泣くのは当然で動機は身勝手だ」として懲役6年を求刑していました。

15日の判決で、名古屋地方裁判所岡崎支部の野村充裁判長は「無抵抗の乳児をたたきつけた犯行は危険で悪質と言うほかない」と指摘しました。そして「うつ病になる中、負担が大きい3つ子の育児を懸命に行ったことに同情はできる」とした一方、「執行猶予をつけるほど軽い事案とは評価できない」と述べ、懲役3年6か月を言い渡しました。

被告の弁護士は、刑が重過ぎるとして名古屋高等裁判所に控訴する考えを示しました。

裁判では、被告の育児の状況が明らかにされました。

出産後、3人の子どもに1日8回ずつ、3時間おきにミルクをあげ、睡眠時間は1時間程度だったとしています。

また、事件の8か月前、訪問してきた保健師に「次男が昼夜を問わず泣くので大変」と話していたほか、3か月健診の際、別の保健師に「長男と次男の口を塞いだことがある」と打ち明けていたということです。

被告の夫は育児休暇を取っていましたが、事件の2か月前に仕事に復帰していました。(以下省略)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190315/k10011849981000.html

これに対し、母親が住んでいた愛知県豊田市が検証報告書をまとめました。

3つ子虐待死で検証結果まとまる

報告書では、妊娠期から事件発生まで、行政が母親と接点を持った4つの段階ごとに問題点を検証していて、このうち、妊娠期については、母親が3つ子を出産することへの不安が解消されなないまま出産に至った経緯に触れ、双子や3つ子を妊娠した母親に対する行政の支援体制が欠如していたとしました。

また、3、4か月健診から育児休暇を取っていた父親が職場復帰するまでの期間について、母親が健診で「子どもの口をふさいだことがある」と申し出ていたのに具体的な対応につながらなかったのは、虐待の疑いに対して予防的に介入することへの認識が不足していたと指摘しました。

父親が職場に復帰して以降については、父母の本当のニーズが把握できるほど十分な関わりができておらず、多胎家庭の視点に立った問題意識が希薄だったとしました。

報告書では最後に、虐待を防ぐため、妊娠期から、支援を必要とする家庭を把握するとともに、相談体制の強化と職員の資質の向上が必要だとし、妊娠期からの切れ目のない支援の仕組み作りを求めました。

記者会見した、検証委員会の委員長を務める日本福祉大学の渡邊忍教授は「今回の事件は多胎児支援への課題を示した。行政の情報の共有が不十分で、適切な時期に対応がなされなかったことが、母親が孤立し、疲弊した育児につながったと言え、行政側は重く受け止めるべきだ」と述べました。

豊田市子ども家庭課の塚田知宏課長は「市として事件後にとった対応策は事件の前にもできたものだと真摯に受け止めたい。多胎家庭には公的な支援が必要だという認識を持ち改善策につなげたい」と話しました。

https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20190617/0005234.html

豊田市ウェブサイトに報告書が掲載されています(全文は記事末尾に)。

Download (PDF, 738KB)

1人の乳幼児を育児するだけでも本当に本当に大変です。

双子であれば、想像を絶する育児となるでしょう。手間暇が2倍(以上)となり、親が休む間が全く無いと聞きます。

双子でさえ厳しい多胎育児、それが3つ子となれば更に大変なのは言うまでもありません。行政が力強い支援を行わなければ、育児が行き詰まってしまうリスクが非常に高いでしょう。

しかし、報告書等を読む限り、豊田市は十分な支援を行った形跡が見当たりません。普通の家庭と同じ様な支援のみを行っていました。多胎育児の大変さを全く認識していなかった様子です。

同時に、虐待へ繋がりかねない行動も見逃していました。

健康診査の問診にて、母親は「子供の口をふさいだ事がある」という項目にチェックを入れていました。しかし、担当者は「口に手を当てた程度」と聞き取り、リスクに気づきませんでした。感度が低いと言わざるを得ません。

概要版だからかもしれませんが、報告書は当然の内容しか書かれていません。豊田市の子育て支援部門はすべき事を行わず、孤立化する3つ子と母親を見殺しにしました。

私が頼ったのは保育所やママ友、役所に相談しても無駄だった

我が家は多胎家庭ではありません。それでも、行政(市役所・区役所)の支援は非常に手薄いと感じています。

以前に子育てで重大な悩みを抱き、区役所の担当部署へ相談しに行った事があります。

10分ほど話をしたところ、渡されたのは区内の病院リストでした。

「区役所ではよく分からないので、病院へ行って下さい。どこも混んでいるので、受診まで半年ほど掛かると聞いていますが。」と告げられました。

この反応に私は「区役所に相談しても無駄だった」と絶望しました。それ以降、区役所に相談する事はありませんでした。

頼りになったのは保育所の保育士やそこで知り合ったママ友でした。

保育士やママ友に普段の様子を教えてもらいつつ悩みを聞いてもらい、様々な対応方法や口コミ情報を教えてもらいました。

最終的には豊富な専門知識を有する小児科医に辿り着き、定期的に受診しています。

中には市役所や区役所で何度も相談し、適切な対応方法を紹介してもらえた方もいるでしょう。

ただ、こちらからアポイントメントを取って訪問して相談しても、こちらの状況や意図が本当に伝わるのかは疑問です。

それよりも、毎日の様に顔を合わせている保育士やママ友の方が遙かに力強いと感じました。

孤立は辛い

豊田市の報告書を読む限り、同市の担当者と産後の保護者が接触したのは保健師の家庭訪問(生後3カ月?)・3-4カ月健康診査だけでした。

同市からの接触が通り一遍で終わっていました。半年以上に渡り、同市と保護者が何らかの関係を有する事が無かったと推測されます。

子育てでとても重要なのは「愚痴や相談をこぼせる相手」です。身内・保育士・友人・医者等、相手は誰でも良いでしょう。

しかし、外出すらままならない3つ子の母親は徐々に孤立化していきました。

日中は大人1人、そして言葉も何も通じない乳児を育てるのは本当に辛いです。ましてや3つ子なら尚更です。

当然ながら床に叩き付ける行為は許されません。が、追い込まれて咄嗟にしてしまった行動は理解できます。

(追記)
中日新聞社のウェブサイトに全文が掲載されていました。

平成29年度児童虐待死亡事例検証報告書
https://www.chunichi.co.jp/ee/feature/toyotagyakutai2019/1.pdf

詳しく読み込んでみようと思います。