吹田市で交番が襲われた事件は、17日早朝に被疑者が逮捕されました。
偶然ですが、1年前の今日は大阪北部地震が起きました。2年続いて同じ日が休校となる可能性がありました。
大阪市の子育て世帯の間でも、昨日はこの話で持ちきりでした。「逮捕されて良かった」という安堵感は共通でした。
が、それぞれの家庭で複雑な事情があった様子です。幾つかご紹介します。
・日曜日はとても怖かった。厳重に戸締まりし、終日外出しなかった。
・日曜夜はスマホのLINE通知が鳴り止まなかった。
・唐突に休校と言われて困った。月曜日は子供だけで留守番させざるを得なかった。
・(小規模)保育園からは家庭保育を要請された。小さな子供と一緒に在宅で仕事するのは大変。
・保育園は休園予定だった。仕事を休まずに済んでよかった。
・明日は休校だと思ってウキウキ気分で寝た息子、翌朝に「学校あるよ」と起こされて不機嫌だった。
悲喜交々がありました。こうした話が出来るのも、被疑者が逮捕されたからでしょう。
決定は迅速に、検討中なら「検討中」と発表すべき
一方、未だにもやもやしている事があります「緊急時の休校判断」です。
大阪市は「明日は休校する予定」とする旨を19時40分にウェブサイトに掲載し、その2時間後にツイートしました。
報道発表資料 吹田市で発生した事案に伴う学校園の臨時休業措置等について
令和元年6月16日 19時40分発表(以下省略)https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000473408.html
子供が通っている学校からは日中に「気をつけて登校する様に」というメールが届き、「吹田市等とは違い、大阪市は通常通りに開校する」と認識していました。
これと180度異なる判断が夜遅くに示されました。前触れは皆無でした(強いて言えば松井市長の不在)。接近するのが分かっている台風とは違います。
気づいた家庭は大混乱です。LINE等で他の家庭と共有し、皆で「どうしよう・・・・」と困り果てました。
大阪市が発表するのが余りに遅すぎました。吹田市や近隣他市が昼から夕方に発表したのと比べ、異常な遅さでした。
何らかの理由により、すぐに決断・発表できない事情もあるかもしれません。その場合でも、「休校も含めて検討している」と公表できました。
休校する可能性が伝えられれば、万が一に備えて保護者も準備が出来ます。
しかしながら、大阪市の発表はいずれにも反したものでした。市民を軽視していませんか?
親が休めない子供も
拳銃を奪った被疑者が逃走しているという事実を鑑みると、休校・休園する判断が不合理とは言い難いです。
ただ、全ての家庭が月曜日の仕事を休み、子供と自宅で過ごせられるわけではありません。
「仕事が休めない、子供は1人で過ごしてもらう(予定だった)」「小さい子供と一緒に出社せざるを得ない」と言う話も聞きました。
休校・休園して子供が外出しなければ、拳銃を用いた犯罪から逃れられるでしょう。
しかし、子供を放置して仕事せざるを得ない家庭もあります。唐突な休校決定には、こうした家庭を思いやる心が感じられませんでした。
「在宅学習・自宅保育を要請、難しい家庭のみ登校園する」という考え方も
では、どうすれば良かったのでしょうか。
一つの考え方は「在宅学習の要請」です。一部の保育所が行った「家庭保育の要請」と同じものです。
「授業は中止する。原則として保護者と一緒に自宅で学習して過ごして欲しい。難しい家庭は、保護者と一緒に気をつけて登下校して欲しい。」と要請するものです。
こうした要請であれば、児童の安全と仕事を休めない保護者の都合を両立させられるでしょう。
本来は家庭の事情に応じて柔軟に仕事を休める制度や運用が望まれます。吹田市長も同様のお願いをしています。
「社会全体で対応をする意味で、企業の皆様にお願いしたい。明日、保育所が一斉に閉鎖する可能性が高く、その時に働きに行けないお父さん・お母さんがいらっしゃるだろう。何卒、非常事態だということをご理解いただいて、企業の皆様に特別な対応・措置をお願いしたいと思う」
しかし、現実は違います。各家庭を取り巻く事情を、もう少し認識して欲しいと感じました。