今回は保育関係から少し外れ、多くの大阪市民が利用している「大阪メトロ(地下鉄)」について気になった記事をお伝えします。

大阪市営地下鉄事業を引き継ぎ、2018年4月1日から運営しているのが大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)です。

万博誘致決定を受けて、大阪メトロが主要駅の大改装・夢洲の駅タワービル構想を公表しました。

 大阪メトロは20日、御堂筋線と中央線の計15駅を、2024年度までに順次、大改装する計画も発表した。300億円を投じ、各駅を地域の特色に合うイメージにつくり変える。

 対象となる駅は、御堂筋線の9駅と中央線の6駅。例えば、新大阪駅のコンセプトは「近未来の大阪」、淀屋橋駅は「歴史」、心斎橋駅は「テキスタイル」、動物園前駅は「アニマル」、弁天町駅は「弁財天」などと設定した。

 各駅を個性的なデザインで彩り、谷町四丁目駅は近くにある大阪城の金の茶室に見立てて、内装を金色に施す。梅田駅には、ホームに大画面のデジタルサイネージ(電子広告)を設置。ニュースなどの情報を多言語で表示し、世界とのつながりを感じられる駅にするという。

 河井英明社長は「地下鉄に乗ることが目的となる、にぎわい空間をつくる」と話した。

https://www.asahi.com/articles/ASLDN5535LDNPLFA00F.html

 大阪メトロは20日、2025年に大阪万博が開催される人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)に開業する新駅の構想を発表した。高さ250メートル超のタワービルが一体となった施設で、総工費は1千億円を超える見込みだという。カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を前提として、24年度中の開業をめざす。

 タワービルは地下1階、地上55階建て程度を想定。商業施設やエンターテインメント関連の施設、オフィス、ホテルなどが入る予定だ。最上階には展望台も備える。夢洲までの地下トンネルにはLEDライトを組み込むなどし、「未来につながるような空間にする」(河井英明社長)。大阪メトロによる高層ビルの建設は、旧市営地下鉄時代を通じても初めてだという。

https://www.asahi.com/articles/ASLDN53V5LDNPLFA009.html

これらの詳しい内容は下記の動画・PDF資料に掲載されています。

https://www.youtube.com/watch?v=xGI9bVIJTLM

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大規模改装は御堂筋線・中央線の15駅を予定

改装を予定しているのは、御堂筋線新大阪駅・中津駅・梅田駅・淀屋橋駅・本町駅・心斎橋駅・大国町・動物園前・天王寺駅と、中央線大阪港駅・弁天町駅・堺筋本町駅・谷町四丁目駅・森ノ宮駅です。

常日頃から地下鉄を利用している一市民として、利便性を向上させる改装には賛成です。数年前と比べてトイレや駅ナカ店舗が充実し、利用しやすくなったと感じています。

一方、上記の動画で紹介されている主要駅の大規模改装には違和感を覚えます。中には悪趣味とさえ感じるデザインもあります。

改装予定図を一つずつ見ていきましょう(デザインやコメントは、大阪メトロが提供した朝日新聞web版に掲載されている物です)。


(2020年度の改装後の心斎橋駅のイメージ。コンセプトは「テキスタイル」。ファッションの発信地として、織物に包まれている雰囲気を出すという)


(2024年度の改装後の谷町四丁目駅のイメージ。大阪城に近いため、コンセプトは「大阪城・金の茶室」)


(2021年度の改装後の堺筋本町駅のイメージ。コンセプトは「船場町人文化」。町人文化が栄えていた時代を感じるかたちにした)


(2024年度の改装後の天王寺駅のイメージ。コンセプトは「空」。「あべのハルカス」などがあり、高い天井で開放感を出すという)


(2024年度の改装後の森ノ宮駅のイメージ。コンセプトは「森」。大阪城公園が近く、緑を感じてゆったりと過ごせるような雰囲気にする)


(2024年度の改装後の大国町駅のイメージ。コンセプトは「列車が一番かっこよく見える駅」)


(2021年度の改装後の新大阪駅のイメージ。コンセプトは「近未来の大阪」という)


(2020年度の改装後の梅田駅のイメージ。コンセプトは「インフォメーション・ターミナル」。情報が集まり、世界とのつながる駅をめざす)


(2019年度の改装後の中津駅のイメージ。コンセプトは「プレゼンテーション」。新しい企業が集まるなど活気があることにもとづくという)


(2024年度の改装後の淀屋橋駅のイメージ。コンセプトは「歴史」。歴史的建造物が多く、近代大阪の中心地だったためという)


(2024年度の改装後の本町駅のイメージ。コンセプトは「クロスオーバー・ポイント」。御堂筋線と中央線が交差することにちなんだ)


(2024年度の改装後の大阪港駅のイメージ。コンセプトは「船」。駅舎を船に見立て、夕日を楽しめるようにもする)


(2022年度の改修後の弁天町駅のイメージ。コンセプトは近くにまつられている「弁財天」)

全体として「これが大阪???」と感じる物が多いです。無理に策定したコンセプトやデザインが目立ちます。

特に本町駅「クロスオーバー・ポイント」は失笑物です。ただの乗換駅ですし、四つ橋筋線が無視されています。

公表されたデザイン案を見て思い浮かんだのは、東京オリンピックのエンブレムを巡る騒動です。あたかも出来レースの様に選定されたエンブレムに対し、多くの批判が殺到しました。

大阪メトロは民営化された株式会社であり、自社設備の更新等は自律的に決定できる権能があるでしょう。

しかし同社の前身は大阪市営地下鉄、そして大株主は大阪市です。

デザインを一方的に決めるのではなく、一定のコンセプト等に従った案を市民等から広く募集できなかったのでしょうか。公営企業や発注先が定めた案よりも、より良い案が示されるでしょう。

夢洲に55階建タワー駅ビルを建設か

万博会場・IR予定地の最寄駅となる夢洲駅の構想図も公表されています。

55階建のタワービルと聞き、何かを思い出した方が多いでしょう。私もその1人です。大阪南港にそびえ立つ、WTC(大阪ワールドトレードセンタービルディング/大阪府先島庁舎)とATC(アジア太平洋トレードセンター)です。


Wikipedia:大阪府咲洲庁舎


Wikipedia:アジア太平洋トレードセンター

2つの高層ビルは長きに渡って「大阪の負の遺産」とされてきました。現在はアウトレットショップ・チェーン店・ホテル・役所の事務局等が入居し、テナントを埋めています。

夢洲タワービルも二の舞とならないでしょうか。非常に心配です。