認可保育所に入れない児童の数を示す「待機児童数」が注目を集めている。

昨年4月に「ゼロ」となり、脚光を浴びた横浜市では、転入者らの入所申し込みが急増し、半年後に231人となった。一方、884人で全国最多とされた東京都世田谷区は「数え方が一律でないのはおかしい」と反論している。こうした待機児童数の上下に、子供を預ける親が翻弄されている。

横浜市港北区には同5月以降、「待機児童ゼロだから転入したのに、入れる保育所がない」という苦情が寄せられた。市内の認可保育所の申込者数は同10月1日現在、前年同期比3794人増の5万2589人で、待機児童数は231人になり、中でも同区は、その3分の1以上にあたる88人だった。同区では0~5歳の人口が増えており、担当者は「待機児童ゼロを発表した後に転入した人が多くいたようだ」と話す。

厚生労働省によると、昨年4月現在、首都圏と近畿圏の7都府県と、全国の政令市、中核市の待機児童数は1万8000人に上り、全国の約8割を占める。最も多かったのが東京都世田谷区の884人で、次いで福岡市の695人、東京都練馬区の578人だった。世田谷区の担当者は「横浜市などは育児休業中の入所申込者などを数えていない。横浜市と同じ数え方ならば半分くらいになるはずだ」と不満を打ち明ける。

同省は待機児童数を年2回、調査する際、「認可保育所に入所申し込みが提出され、入所要件に該当しているが入所できていない」児童数を数えるとしている。しかし認可保育所に入れず、やむなく親が退職した家庭の扱いなど、自治体の判断はまちまちだ。同省保育課は「入所要件や子育ての環境が異なるため、数え方は各自治体に任せている」と説明する。横浜市も「国の指針に基づいて行っている」としている。
(2014年1月20日08時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140119-OYT1T00853.htm

記事で指摘されているとおり、各自治体によって「待機児童」の定義は微妙に異なっています。
たとえば大阪市の場合は下記の様になっています。

区分平成25年4月平成24年4月
新規入所申込者数(被該当者を除く)13,64213,571
新規入所児童数10,57210,597
入所保留児童数3,0702,974
内訳転所希望382335
育休中115未把握
主に自宅で求職中659未把握
保育ママ・一時保育利用176131
特定保育所希望等1,4511,844
待機児童数287664
(参考)就学前児童数128,099128,184
(参考)保育所在籍児童数45,49744,669

別添資料:大阪市の保育所待機児童の状況等について (pdf, 179.35KB)

入所承諾が保留された(=入所できなかった)児童全てが待機児童として計上されているわけではありません。
例えば平成25年4月の場合は、入所保留児童から転所希望・保育ママや一時保育を利用中・特定保育所希望等の児童を控除した数字を待機児童として算出しています。
平成26年4月の場合、更に育休中や主に自宅で求職中の場合も待機児童に含めないとし、結果的に待機児童数の大幅な減少に至っています。

親の感覚としては、自宅近くの特定の保育所を希望しても入所できなかったり、入所できなくて保育ママ等を利用している場合は待機児童と同じ状態だと受け止められるでしょう。
また、自宅から遠かったり兄姉と異なる、希望順位が決して高くない保育所に入所した後に転所希望を申し込んでも保留されてしまった場合も同感でしょう(どこにも入所できなかった児童より幾分良いかもしれませんが)。
(話を聞く限り、年度途中に希望順位が低い保育所で空き枠が発生して入所したものの、やはり希望順位が高い保育所への転所を希望されるケースが多い様子です。)

また、各自治体が発表している待機児童数は各年4月1日時点での数字が専らで、その後の推移状況はなかなか発表されていません。
一般的に待機児童数は4月1日で最小となり、その後は途中入所希望者が積み増されて増加していきます。

また、待機児童の大小は各区・学区単位でも大きく異なっています。
大阪市内ではっきりしている一例は港区です。
弁天町駅周辺の東部地域の入所倍率は2倍、一方で大阪港に近い西部地域は1倍弱となっており、違いが歴然としています。

結果として「各自治体が発表している待機児童数はあくまで参考に過ぎない」となっているのが現状です。
保育所へ入所できるか否かは地域・各世帯の状況・児童の年齢・保育所の定員等によって大きく異なります。

「待機児童がゼロないし少ないから転入したのに・・・・」という状況を避けるにはどうしたら良いのか。
簡単な方法は役所に訊く事です。
過去の入所状況や世帯の状況等を基に、入所できそうか無理そうなのか、一定の含みを持たせつつもあれこれ教えてくれます。
待機児童が極めて多い自治体であっても、地域や年齢によってはスムーズに入所できる場合もあります。
また、大阪市内に関しては当HPでも一定の情報が蓄積されています。
何らかの参考になれば幸いです。