大阪市における平成25年4月1日現在の待機児童等に関する情報が発表されました。
大阪市の保育所入所待機児童数について(平成25年4月1日現在)
大阪市では、変動する保育ニーズに対応するため、保育所を新設するほか、認定こども園、保育所分園など既存ストックを活用した整備を図るとともに、新たに個人実施型保育ママ事業を実施するなど、年度途中に発生する保育ニーズにも対応してまいりました。
その結果、平成24年度においては、新たに1,080人分の入所枠を確保し、保育所在籍児童数は前年度より828人増加し45,497人となり、平成25年4月1日現在における保育所入所待機児童数は、昨年度の同時期に比べ377人減少し、287人となりました。
大阪市が待機児童問題に積極的に取り組もうとしている動きは各種メディア等で取り上げられています。
しかしながら、まだまだ低年齢児を中心とする待機児童は少なくありません。
更に、この待機児童の中には「特定保育所を希望する」場合は含まれていません(市HPでは「待機児童から除外するもの」と記載)。
1 本市の待機児童数の推移(カッコ内は全体に占める0~2歳児の割合)
待機児童数は次のとおりです。
本市の待機児童数の推移 全体 うち低年齢児(0~2歳児) 平成21年4月 608 572 平成22年4月 205 187 平成23年4月 396 349 平成24年4月 664 574 平成25年4月 287 265
平成24年4月と比べ、待機児童数は360人ほど減少しています。
一方、うち低年齢児(0~2歳児)が占める割合は86パーセントから92パーセントへ上昇しています。
平成23年以前も概ね9割前後を推移している事から、待機児童問題はすなわち「低年齢児の受入問題」と言い換えられます。
ところでここで興味深い資料があります。
1.待機児童数
区分 平成25年4月 平成24年4月 新規入所申込者数(被該当者を除く)
13,642 13,571 新規入所児童数 10,572 10,597 入所保留児童数 3,070 2,974 内訳 転所希望 382 335 育休中 115 未把握 主に自宅で求職中 659 未把握 保育ママ・一時保育利用 176 131 特定保育所希望等 1,451 1,844 待機児童数 287 664 (参考)就学前児童数 128,099 128,184 (参考)保育所在籍児童数 45,497 44,669
昨年の基準通り、すなわち育休中及び自宅求職中を待機児童数から除外すると、待機児童数は1061人となります
表向きの待機児童数は287人と半減、しかしながら主たる要因は保育施設の新設ではなくて計算基準の変更・・・?
上記別添資料に掲載されている表は概ね全てHTML形式でHPに掲載されているのですが、何故かこの表だけは掲載されていません。
大阪市の保育所入所待機児童の状況について
2 保育所新規入所申込者数の推移(カッコ内は前年度からの増減数)
新規入所申込者数は13,642人で、昨年に比べて71人の増加となりました。
保育所新規入所申込者数の推移 0歳児 1歳児 2歳児 3~5歳児 合 計 平成21年4月 2605(+228) 4246(+415) 2632(+346) 3136(-211) 12,619 (+778) 平成22年4月 2812(+207) 4421(+175) 2806(+174) 3145(+9) 13,184 (+565) 平成23年4月 2777(-35) 4355(-66) 2646(-160) 3282(+137) 13,060 (-124) 平成24年4月 3026(+249) 4630(+275) 2650(+4) 3265( -17) 13,571 (+511) 平成25年4月 3050(+24) 4944(+314) 2724(+74) 2924(-341) 13,642 (+71)
平成24年4月時点では0歳児及び1歳児の新規入所申込者数が大きく伸びていました。
今年は3~5歳児の申込が落ち込む一方、1歳児の入所申込が昨年に続いて大きく伸びています。
0歳児クラスは原則として生後半年(4月~9月生まれ)以降でなければ入所できず、10月以降の出生児は原則として1歳児クラスから入所します。
3 保育所在籍児童数の推移(カッコ内は前年度からの増減数)
在籍児童数は45,497人で、昨年に比べて828人の増加となりました。
保育所在籍児童数の推移 保育所数 0歳児 1歳児 2歳児 3~5歳児 合計 平成21年4月 359 2313(+146) 5971(+243) 7495(+383) 25057(-354) 40,836(+418) 平成22年4月 382 2557(+244) 6608(+637) 8074(+579) 25391(+334) 42,630(+1,794) 平成23年4月 384 2584(+27) 6635(+27) 8335(+261) 26071(+680) 43,625(+995) 平成24年4月 388 2705(+121) 6815(+180) 8309(-26) 26840(+769) 44,669(+1,044) 平成25年4月 395 2773(+68) 7025(+210) 8528(+219) 27171(+331) 45,497(+828)
在籍児童数も年々伸びています。
保育園の新設や増築、保育ママの整備等によるものです。
5 待機児童数(区別・年齢別)
区別・年齢別保育所入所待機児童数 集計表 区名 0歳児 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児 計 H24.4からの増減 待機児童から除外するもの 入所
保留数(a) (b) (a)+(b) 1 北区 1 2 2 5 0 0 10 ▲ 30 166 176 2 都島区 0 15 15 1 0 0 31 ▲ 15 198 229 3 福島区 0 30 19 4 0 0 53 ▲ 27 154 207 4 此花区 2 15 2 1 0 0 20 9 119 139 5 中央区 0 7 3 0 0 0 10 ▲ 61 104 114 6 西区 6 21 20 4 0 0 51 ▲ 19 119 170 7 港区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 16 95 95 8 大正区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 26 42 42 9 天王寺区 0 16 3 0 0 0 19 ▲ 16 43 62 10 浪速区 0 7 5 0 0 0 12 ▲ 44 80 92 11 西淀川区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 1 128 128 12 淀川区 0 9 2 0 0 0 11 ▲ 1 189 200 13 東淀川区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 14 270 270 14 東成区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 12 42 42 15 生野区 0 0 0 0 0 0 0 0 76 76 16 旭区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 6 81 81 17 城東区 2 16 3 5 1 1 28 ▲ 39 123 151 18 鶴見区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 4 188 188 19 阿倍野区 2 10 11 0 0 0 23 4 104 127 20 住之江区 1 9 1 0 0 0 11 ▲ 24 110 121 21 住吉区 0 1 7 0 0 0 8 ▲ 27 116 124 22 東住吉区 0 0 0 0 0 0 0 0 44 44 23 平野区 0 0 0 0 0 0 0 0 123 123 24 西成区 0 0 0 0 0 0 0 ▲ 8 69 69 計 14 158 93 20 1 1 287 ▲ 377 2,783 3,070 H24.4からの増減 ▲ 53 ▲ 175 ▲ 81 ▲ 58 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 377
問題はこの待機児童数を表した表です。
平成24年から377人が減少して287人となったとありますが、その横には「待機児童数から除外するもの」、すなわち(自宅最寄だったり兄弟姉妹が通っている)希望保育所に入所できなかった児童等の数を集計した数字があります。
その数2783人、しばしば新聞等で取り上げられる待機児童数287人の10倍の数字です。
待機児童の年齢別内訳を見ると、1歳児が158人と、待機児童数287人の半分以上を占めています。
続いて2歳児が93人、全体の約3割となっています。
上記の資料から1歳児の状況をまとめると下記の通りとなります。
(1)平成24年4月の0歳児(=翌年は1歳児に持ち上がり)2705人
(2)平成25年の新規入所申込者4944人
(3)平成25年の在籍児童数7025人
(4)持ち上がり+新規申込者-在籍児童数=入所できなかった1歳児624人
(5)624/4944*100=12.6%
入所申し込みした1歳児の内、8人に1人は入所できなかった事になります。
続いて今度は2歳児の状況を。
(1)平成24年4月の1歳児(=翌年は2歳児に持ち上がり)6815人
(2)平成25年の新規入所申込者2724人
(3)平成25年の在籍児童数8528人
(4)持ち上がり+新規申込者-在籍児童数=入所できなかった2歳児1011人
(5)1011/2724*100=37.1%
入所申し込みした2歳児の内、3人に1人強は入所できなかった事になります。
働いている親からすると深刻です(´・ω・`)。
しかしながら、これには統計のマジックが隠されています。
大阪市内に住んでいる方はご存じでしょうが、各区・各学区によって子供の数や増減率に大きなバラツキがあります。
また、入所は「入所基準点数」によって諾否が定められる所、これも各保育園によってバラツキがあります。
続いて各区毎・各保育所毎のデータを基に、「入所するにはどの区・どの保育所でどれだけの点数があれば良いのか」を解析していきます(続きは後日)。