一定水準以下の世帯を対象とした、5歳児の幼稚園・保育所の費用を無償とする案が検討されているそうです。

年収360万未満家庭の5歳児、幼児教育無償化
2014年07月15日 12時36分

 幼児教育の段階的無償化について文部科学省がまとめた原案について、下村文部科学相は15日の閣議後記者会見で、来年度から年収が360万円未満の家庭の5歳児を対象としたい考えを表明した。

 5歳児の約2割が対象になり、年250億円程度の財源が必要となる見通しだ。

 下村文科相は、「親の負担が少しでも軽減されるよう施策をぜひ進めていきたい」と、第2子の3、4歳児の無償化についても実現を目指す考えを示した。

 今後、下村文科相と森少子化相、田村厚労相の3大臣や与党内で調整し、財務省と協議する。

 同省によると、親の年収が360万円未満の5歳児は全体の23%程度で、約22万人が対象になる見通し。5歳児全員の幼稚園、保育所にかかる費用を無償化した場合、年約2600億円が必要となる。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140715-OYT1T50107.html

報道によると、世帯年収が360万円未満の家庭における5歳児を対象とする見通しとなっています。
夫の年収が260万円、妻の年収が100万円(=夫の配偶者控除対象)と仮定すると、世帯所得税額が約45000円というのが一定の目安となりそうです(所得控除額等によって変わってくるので、あくまで目安です)。
大阪市保育料表によると、A~D6階層(一部)が対象となりそうです。
つまり「5歳児の保育料として月額20600円以下を支払っている世帯(一部を除く)」が無償化の対象となる可能性があります。

また、いわゆる「小1プロブレム」の解消を理由として、5歳児の義務教育化も検討されています(詳細はこちら)。
年収制限が撤廃されるのは義務教育化の導入と同じタイミングとなるのでしょうか。

幼児教育の無償化自体は大歓迎です。
ただ、細かな点で多くの疑問が残ります。
・年収360万円以上となると途端に負担が増える(大阪市保育所の場合は年額24万円の違い、境界事例)
・5歳児からの入所・入園希望者と空き定員とのミスマッチ(5歳児における在園児率は100%に近くなるでしょう)
・認可外保育施設を対象とするのか
・園によって授業料等が大きく異なる私立幼稚園も一律無償とするのか

こうした点の多くは具体的に制度設計を行う段階で解消されるのでしょう。
5歳児の限定無償化、そして続く義務教育化は上手くいくのでしょうか。

———————-
(7/24追記)
政府・与党連絡会議が開かれ、無償とする範囲を来年度の予算編成において調整することとなりました。

5歳児の保育料無償化 範囲を調整へ
7月23日 18時11分

幼児教育の無償化に関する政府・与党の連絡会議が開かれ、5歳の子どもが幼稚園や保育所に通う際の保育料を段階的に無償化していく方針を改めて確認したうえで、来年度から無償とする範囲については、来年度の予算編成過程で調整することになりました。

23日に開かれた政府・与党の連絡会議には、下村文部科学大臣と田村厚生労働大臣、森少子化担当大臣、それに与党側の担当者らが出席しました。
会議では、幼児教育の充実に向けて、まずは5歳の子どもが幼稚園や保育所に通う際の保育料を段階的に無償化していく方針を改めて確認しました。
そのうえで来年度から無償とする範囲について、下村大臣が「必要な財源を確保して、最低でも全体の20%程度に当たる年収360万円未満の世帯を無償とすべきだ」と述べたのに対し、田村大臣は「来年度から始まる子ども・子育て支援新制度とあわせて、しっかりと財源を確保し、検討していくべきだ」と述べ、来年度の予算編成過程で調整することになりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140723/k10013232091000.html