一昨年8月に経営する認可外保育施設で預かっていた1歳児に対し、大量の食塩を摂取させ死に至らしめた事件の続報です。
傷害致死容疑で逮捕された後に釈放されていましたが、最終的に業務上過失致死罪で略式起訴されました。
1歳児の食塩中毒死、元経営者を略式起訴 業過致死罪
盛岡市の認可外保育施設で2015年8月、預かり保育中だった下坂彩心(したさかあこ)ちゃん(当時1)が食塩中毒で死亡した事件で、盛岡区検は23日、施設の吉田直子・元経営者(34)を業務上過失致死の罪で盛岡簡裁に略式起訴し、発表した。
起訴状によると、元経営者は乳幼児の食塩摂取量に関する注意義務を怠り、施設で預かっていた彩心ちゃんに、市販の乳幼児用イオン飲料に健康を害する量の食塩を加えて飲ませたとされる。彩心ちゃんは食塩中毒を発症し、搬送先の病院で死亡した。元経営者は昨年7月、傷害致死容疑で岩手県警に逮捕されたが、盛岡地検が処分保留で釈放していた。
同地検の河原克巳次席検事は「過失の程度など諸事情を考慮した」としている。
女児塩中毒死で略式起訴 業過致死罪で元経営者
盛岡市の認可外保育施設で平成27年8月、預かっていた下坂彩心ちゃん=当時(1)=に食塩入りの飲料を飲ませ、塩化ナトリウム中毒で死亡させたとして、盛岡区検は23日、業務上過失致死罪で、施設の吉田直子元経営者(34)=盛岡市=を略式起訴した。
元経営者は昨年7月に傷害致死容疑で逮捕されたが、同8月に処分保留で釈放された。両親は、食塩を無理やり飲ませられた可能性があるとして傷害致死罪の適用を求めたが、盛岡地検は傷害や暴行の故意は認められなかったとして、業務上過失致死罪とした。
起訴状によると、元経営者は、27年8月17日午前10時半ごろから同18日午前0時5分までの間、彩心ちゃんに食塩を加えた乳児用飲料を与え、中毒死させた。1歳児は腎臓が発達しておらず、食塩は与えないかごく少量にとどめるべき業務上の注意義務があったのに、怠ったとしている。
http://www.sankei.com/affairs/news/180123/afr1801230064-n1.html
事件直後の報道によると、吉田容疑者は保育士資格を有していなかったそうです。「1歳児に大量の食塩を与えてはならない」という知識がないままに、大量の食塩を与えたのでしょうか。無知が重大な結果を招きました。
略式起訴を行うには、(1)簡易裁判所の管轄に属する事件である、(2)100万円以下の罰金又は科料を科しうる事件である、(3)略式手続によることについて被疑者に異議がない、ことが求められています。吉田容疑者は事実関係等を認めていると推定されます。
少し引っかかったのは、1歳児が死に到ったという重大な結果が発生しているにも関わらず、100万円以下の罰金または科料しか科し得ない略式起訴が行われた点です。重大な結果と略式手続が見合っていない様に感じます。
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(3/19更新)
気づくのが送れました。やはり略式不相当となりました。事件は盛岡地裁へ移送されました。
岩手県盛岡市の保育施設で起きた、1歳の女の子の塩化ナトリウム中毒死事件で、盛岡簡易裁判所は元経営者の女の審理を、盛岡地方裁判所に移送し、公判は地裁で行われることになりました。
この事件は2015年8月、盛岡市内の認可外保育施設で、施設の元経営者、吉田直子被告が預かっていた下坂彩心ちゃん当時1歳に、食塩を混ぜたイオン飲料を飲ませて、塩化ナトリウム中毒死させたとして、盛岡区検察庁に業務上過失致死の罪で略式起訴されたものです。
盛岡簡易裁判所は今年1月、略式起訴を不相当として、公判で審理することを決めていました。盛岡地方裁判所によりますと、吉田被告の審理は今月8日、簡裁から地裁に移送され受理されました。簡裁は罰金以下の刑にあたる、比較的軽い罪の刑事事件を審理し通常、禁固以上の刑は科せません。刑事訴訟法では懲役を含む、禁固以上の刑を科するのが相当と認められる場合、審理を地裁に移送するとされています。
裁判所は罰金刑ではなく、禁固以上の刑を科するのが相当だと認めている様です。抵抗できない園児を死に至らしめたのであり、罰金刑は不相当でしょう。
なお、吉田被告に対し、園児の両親は6,270万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしています。
盛岡市の認可外保育所で2015年8月、下坂彩心(あこ)ちゃん=当時(1)=が食塩入りの飲み物を与えられ、塩化ナトリウム中毒で死亡した事件で、彩心ちゃんの両親は7日、元保育所経営の吉田直子被告(34)=盛岡市北飯岡、業務上過失致死罪で起訴=に6270万円の損害賠償を求める訴えを盛岡地裁に起こした。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180208_33042.html