子供が悪い事をした時に、ついついお尻を叩いてしまう方もいると思います。しかし「しつけとして逆効果」という研究結果が発表されています。

お尻ペンペン逆効果 日米チーム調査 幼児、問題行動リスク高く

悪いことをしたときにお尻をたたく幼児への体罰は、約束を守れないなどの問題行動につながり、しつけとして逆効果-。そんな研究結果を藤原武男・東京医科歯科大教授(公衆衛生学)やイチロー・カワチ米ハーバード大教授らの研究チームが、国際子ども虐待防止学会の学会誌に発表した。

虐待には至らない程度の、しつけとしての体罰が成長に悪影響を及ぼすかどうかを巡っては議論があるが、今回の結果は問題行動につながる可能性を示すものとして注目される。

チームは、厚生労働省が子育て支援策などへの活用を目的に二〇〇一年生まれの人を追跡している「二十一世紀出生児縦断調査」のデータ約二万九千人分を使い、三歳半の時にお尻をたたくなどの体罰の有無が、五歳半に成長した時の行動にどう影響しているか分析した。

その結果、三歳半の時に保護者から体罰を受けていた子どもは、全く受けていなかった子どもに比べ、五歳半の時に「落ち着いて話を聞けない」という行動のリスクが約一・六倍、「約束を守れない」という行動のリスクが約一・五倍になるなど、問題行動のリスクが高いことが分かった。体罰が頻繁に行われるほど、リスクは高くなっていた。

分析では、家庭環境や本人の性格の影響が出ないように統計学的な調整をした。

家庭での子どもへの体罰はスウェーデンなど約五十カ国で法的に禁止されている。藤原教授は「お尻をたたくことは日本では社会的に許容されている部分があるが、今回の結果からは、問題行動につながる行為だと言える。大人が一時的な感情を子どもにぶつけているだけで、しつけにはなっていない」と語る。

<体罰の悪影響明確>

西澤哲・山梨県立大教授(臨床心理学)の話 虐待に至らない程度の体罰が子どもに悪影響を及ぼすことを明確に示した非常に重要な研究だ。低頻度でも影響があるという結果にも注目したい。しつけは子どもが自分で自己調整能力を高めるための支援であり、恐怖で行動を制御しようとする体罰は逆効果だ。子どもが悪いことをしたら、親はその理由を理解し、どう支援するか考えてほしい。

http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=477467&comment_sub_id=0&category_id=112

研究結果によると、保護者から体罰を受けていた子供は「落ち着きがない・約束を守れない・集中できない・我慢できない・集団行動できない」といったリスクが1.5倍ほど生じやすくなるそうです。

活発な子供を育てている子育て家庭は、日々の育児にさぞ苦労しているでしょう。初めの内は優しく言い聞かせていても仏の顔も三度まで、徐々に口調が厳しくなって手が出てしまう事もあります。

研究結果には合点がいく部分もある一方、「問題行動があるからお尻を叩かざるを得ないのでは無いか?」という疑問もあります。

問題行動を頻繁に起こす子供に対して、保護者はどの様に対応すれば良いのでしょうか。「問題行動を起こしがちな子供を育てている保護者を支援する方法」が極めて重要です。