少し気になるニュースです。

認可保育園「入れない」 不服審査請求相次ぐ 半数近く選考漏れも 保護者ら窮状訴え /東京

 待機児童問題の解消が進まないなか、都内でも認可保育園に入園できなかった子どもの保護者らによる行政不服審査法に基づく審査請求が相次いでいる。

 武蔵野市では30日、認可保育園の拡充を求めて活動している保護者のグループ「保育園増やし隊@武蔵野」のメンバーが市役所を訪れ、18人が審査請求を行った。4月から市内の認可保育園に子どもを預けるため同市に申し込んだが、選考に漏れてしまったため、これを不服として処分の取り消しを求めている。メンバーらは「子を授かり、実際に保育園を探してみて、認可保育園が少ないことを実感した」などと市担当者に窮状を訴えた。

 市によると、4月からの認可保育園や小規模保育施設などの入所申込数は1186人で、うち第1次選考内定者は623人。半数近い563人が選考に漏れた。このグループによる集団審査請求は毎年続いており、この日参加した同市吉祥寺東町の女性(34)は「東町に今春開園の認可保育園が計画されていたのに、撤退が決まり落胆している。市は整備を進めてほしい」と話した。

 同市は最近5年間で認可、認証など保育園の定員を約1050人増やし、1・6倍の2800人にしたが、多数の選考漏れが生じる状況が続いている。

 大田区でも29日、認可保育園に入園できなかった子どもの保護者ら5人が区に審査請求した。区によると、4月入園に5132人の申し込みがあり、内定したのは3055人。4割に当たる2077人が選に漏れた。

 参加者らは保育ママ制度や無認可保育園などを利用し、4月から復職する。しかし、保育ママなど小規模保育事業では利用対象が3歳未満のため、数年後に再び「保活」に直面する。審査請求した会社員女性(33)は「来年入園できなければ仕事をやめなければいけないかもしれない」と不安をのぞかせる。

 参加者らは、こうした利用者の受け皿の整備や0歳児の受け入れ増加などを要望し、選考基準の明確化も求めた。同区保育サービス課の浜口和彦課長は、認可保育園を増設しても入園希望者が上回り、整備が追いつかない現状を説明。「一日でも早く待機児童をゼロにするため、できるだけやっていきたい」と応じた。

http://mainichi.jp/articles/20170331/ddl/k13/100/219000c

大阪市では西区・中央区・天王寺区と言った中心部で保育所等への入所が難しい状況が続いています。それと同程度、ないし大きく上回るのが首都圏です。

保育所等へ入所できなかった一部の保護者が、自治体への審査請求を通して不服を訴えているそうです。「行政庁の処分に不服がある者」(行政不服審査法第2条第1項)が審査請求できます。

たとえば大阪市の場合、保育所等への入所結果を伝える書面の片隅に「この処分に不服がある者は審査請求できます」という旨の記載(教示)があります。記事によると、保護者は入所不承諾という処分の取消しを求めているそうです。

こうした審査請求に対し、私はやや否定的なスタンスです。不服審査によって原処分が取消・変更されるケースは極めて少ないのが実情です。

それに加え、入所できなかったのは行政の処分(入所審査)に問題があったからではなく、「保育所等が著しく不足している」のが主たる理由だからです。

記事によると、武蔵野市のグループは集団での審査請求を毎年行っているそうです。入所審査の取消・変更を求めると同時に、自治体へ保育所等の新設を訴えるツールとして利用していると感じます。

審査請求は権利行使の一環であり、こうした方法も一つでしょう。一方、保育部署はただでさえ忙しいのに加え、審査請求に対する業務が重くのし掛かってしまう恐れがあります。

保育所等の新設や子育て環境の向上を願うのであれば、保育部署や政治家への陳情に加え、こうした団体・子育て世帯等から市議会へ議員を送り出すのも一つの方法でしょう。

自治体全域が単一選挙区である市議会であれば、子育て世帯の代表という形で議員を当選させる事も可能です。

反面、選挙区が細分化されている自治体(大阪市等)では困難です。選挙区毎の定数が少なく、既存政党の候補が占めてしまいます。

保育所等の新設に回り道はありません。世論の支持・議会の同意・用地・保育士・予算、どれが欠けても上手くいきません。地道な取組が重要でしょう。

それにしても1次調整で半数近くが入所出来ないとは、武蔵野市の保育所不足は深刻ですね。似たような状況は、阪神間の自治体で聞きます。未就学児童数に見合った保育所整備が必要です。