生後9ヶ月の女児が認可外保育施設で死亡した宇都宮といず事件、懲役10年を不服として木村久美子被告(元施設長)が東京高裁へ控訴していました。
控訴審判決が行われ、「1審判決の結論に誤りはない」として被告側控訴を棄却しました。
乳児死亡 元保育施設経営者に2審も懲役10年 東京高裁
2014年に宇都宮市の認可外保育施設「といず」(廃業)で体調が悪化した乳児を放置して死なせるなどしたとして、保護責任者遺棄致死と暴行の罪に問われた元施設経営者、木村久美子被告(60)に対する控訴審判決で、東京高裁は24日、懲役10年とした裁判員裁判の1審・宇都宮地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。朝山芳史裁判長は「罪の成立を認めた1審判決の結論に誤りはない」などと指摘した。
弁護側は1審同様、保護責任者遺棄致死について無罪を訴えていた。判決によると、14年7月、宿泊保育中だった同市の山口愛美利(えみり)ちゃん(当時9カ月)に下痢や発熱の症状があると知りながら、適切な処置を怠り熱中症で死亡させたほか、13年には別の乳幼児2人に毛布を巻き付け、ひもで縛った。
地裁判決から半年、事件から2年4ヶ月が経とうしています。最高裁へ上告しても、結論が変わる可能性は低いのではないでしょうか。
刑事事件は進展が見られる一方、民事事件は現在も継続している様子です。係争中の為、宇都宮市等は事件や保育の詳細を明らかにしていません。宇都宮市ウェブサイト・宇都宮市議会議事録から、関連する発言等を抜き出してみます。
保育行政について(平成28年2月)
意見:
平成28年1月22日発行の「あなたと市議会」を拝見させていただきました。5ページ目に福田久美子氏(共産党)が「安心して子どもを預けることができる保育行政を」として市内の認可外保育施設における乳児死亡事件について質問されていました。この質問内容について意見があり、投稿させていただきます。
この質問は、認可外保育施設といずでの事件のことだと思います。私も報道で知り、大変ショックを受けました。
質問1.では「複数回あった告発内容について、その後の立入調査では充分な事実確認がされたとは言えず、市の責任を認めるべき。」とありました。私も同感です。
私は、事前報告しなければ立入調査できないものなのかと思っていました。しかし、回答2.をみると「これまでも国の指針を踏まえ、事前通告なしの立入調査を行ってきており、」と記載がありました。
事前通告なしの立入調査は可能なのですね。では、なぜ認可外保育施設といずでは事前通告なしの立入調査をしなかったのでしょうか。子供がぐるぐる巻きにされた写真が保育課に届いたとの報道を目にしております。それを目にした保育課職員は、なぜ警察に届けなかったのでしょうか。
私も2人の子供を育てており、このような非道な行為を許すことはできません。虐待されている写真を目にしたにも関わらず、見てみないふりをしたような保育課の職員についても同様です。
今後このような事件が二度とおきないように、保育課は、保育施設の不審な情報が報告された場合は事前報告なしでの立入調査を実施する、また警察に報告するということを実施していただきたいと思います。
これからは、安心して子どもを預けることができる保育行政を整備し、監督していただきたいです。子どもを安心して育てられる宇都宮市であってほしいと思います。
回答:
市議会へご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。
担当課では、これまでも当該施設を含め、事前通告なしの立入調査を行ってきており、今後も適切に対応すると説明しておりますが、裁判で係争中であることから、今後の経緯を見守ってまいります。
また、市議会といたしましても、現在国において検討が進められている、保育施設での事故の再発防止ガイドラインなど、有識者による再発防止策の内容や、裁判の経緯を踏まえ、安心して子供を預けることができるよう保育行政を監督し、再発防止に取り組んでまいります。
(厚生常任委員会 中塚委員)
瑕疵があるかどうかというような質問もありまして,裁判の係争中ということで御答弁も難しかったようでしたが,平成26年5月,この施設のスタッフの知人を名乗る方から,子どもを毛布で無理やり巻いて動けないようにしているという通報があり,そして,市は予告した上で立ち入り調査をしたというようなことですが,この予告をして立ち入りということは法の趣旨にのっとってということで十分に理解できるところもあるんですが,このときはもちろん通告をした上で入っているわけですから,向こうがそういうことも隠すような意味で改善をして,立ち入りに備えて受けたということで,この当時は問題がなかったということを市のほうも判断をしていたようですが,それ以前にも,子どもの左手の人差し指の爪がはがされた,もしくははがれて帰ってきて虐待が疑われるような事案でもあるということで,市に報告をしたということもあったようですが,これらの,特に5月,問題がなかったということもおっしゃっておられるようですが,本当にこの段階で全く問題がないということで認識をされたのか,それとももう通告をした上で入ったので,ひょっとしたら問題の虐待行為があったのかもしれないという疑念は持ちながら,今後,何か対処をする予定があったのかということもお伺いしたいと思います。
そして,このといずに関する虐待をにおわせるような通報が市に何件ぐらい入っていたのかということも件数的にあれば教えていただければと思いますし,今回,瑕疵の問題についてお答えいただければありがたいのですが,これは裁判の問題もありますから,御回答はお任せいたしますが,この尊い,若い命がなくなったということは間違いのない事実ですので,この問題を受けてどのような改善を計画していっているのか,ぜひ御答弁をお願いいたします。(こども未来課長)
ただいまの御質問ですけれども,通告したかしないかという部分をひっくるめて今,裁判の係争中ですので,その中の考え方については裁判の中で御説明していくということで,こちらでは御遠慮させていただきたいということ。
あと,といずの通報が何件あったかということについては,2件でありました。
通報には至らない物の、保育に関する相談レベルの話は多数合ったのではないでしょうか。通報に対して真摯に対応し、事前通告なしの立入調査を行っていれば事件は防げた気がしてなりません。
元施設長に対する刑事責任はほぼ明確になっています。しかし、それを取り巻く行政・関係者等の責任の所在・あり方は不透明なままです。行政には保育施設に対する指導・監査を厳格に行う義務があります。監査を行わないのも裁量権の範囲であるとして許される話ではありません。
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