平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第16回は此花区を取り上げます。

なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:此花区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。

※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。

入所倍率は市内最低水準、新設園で募集増

此花区の入所倍率はH28の1.06倍から大きく下降して0.86倍となりました。市内最低水準の入所倍率です。大きな要因は1歳児・3歳児募集数の増加です。

1歳児は申込数が13人増えて169人、そして募集数は26人増えて144人となりました。入所倍率は1.17倍です。H26が2.04倍だった事を踏まえると、急激に入所しやすくなっています。

また、3歳児は申込数が8人増えて67人に、募集数は23人増えて66人となりました。ほぼ全ての入所希望者がいずれかの保育所等へ入所できる水準です。

これ以外の年齢も入所倍率が下がり、入りやすくなっています。1歳児・3歳児を除く全ての年齢で入所倍率が1倍を割っています。

この様になった最大の理由は、しおん大谷保育園本園の新設です。新設初年度という特殊事情があるとは言え、全体で79人の園児を募集しています。他の年齢と比べて入所倍率がやや高かった1-3歳児の募集数が大幅に増えています。

それ以外の施設でも募集数を増やしたクラスが散在しています。天使保育園の1歳児、れんげ保育園・無憂園の2歳児・北港学園保育所の3歳児等です。こうした事情が積み重なっています。

島屋地区はしんが保育園希望者が激減、しおん大谷へ移転か

地域別に見ていきます。まずは島屋地域です。新設のしおん大谷保育園(本園)、深刻な待機児童問題が生じているユニバーサルティ駅を含んでいます。

ユニバーサルティ駅の周辺地域には、保育施設は1箇所しかありません。しんが保育園です。同保育園を第1希望としながらも、入所できない児童は島屋保育所・西九条駅周辺の保育所等へ登園するケースが少なくないと聞いています。

同保育園の入所倍率は異常な高さでした。しかしH25の7.25倍から徐々に低下し、H28は3.27倍、そしてH29一斉入所では1.73倍へと劇的に低下しました。

募集数は昨年と同じ15人です。しかし、申込数が49人から26人へと半減しています。全ての年齢で入所しやすくなっています。

大きな理由の一つは、しおん大谷保育園の新設です。入所しにくいしんが保育園ではなく、しおん大谷保育園を第1希望とした方が少なくないのでしょう。

しおん大谷保育園の第1希望申込数は28人です。しんが保育園の申込減少数と近似しています。一定規模の転移が生じたのは間違いないでしょう。

新設のしおん大谷保育園、年齢別に見えると1歳児の申込数が多くなっています。募集数10人に対して14人が第1希望としていましす。とはいえ、フルタイム共働きに満たない点数でも入所できる可能性が高いと感じられます。

ただ、両保育園や島屋保育所等を含めても、島屋地区全体の1歳児は申込数が募集数を上回っています。1歳児の一部は地域内の保育所等へ入所できない見通しです。

要注意なのは島屋保育所の0歳児と北港学園保育所の1歳児です。両クラスとも募集数が少なく、かつ入所倍率が高くなっています。こうしたケースでは入所者の大半をきょうだい加点のある児童が占めてしまいがちです。フルタイム共働きでも入所できない可能性が高くなります。

依然として厳しい高見地域、0-1・3歳児は半数以上が地域内入所できず

次は高見地域です。同地域は数多くの市営住宅・マンション等が立ち並ぶ一方、保育所は著しく不足しています。H29一斉入所も厳しい状況が続いています。

特に厳しいのは高見町保育所です。募集数28人に対して52人が第1希望としています。入所倍率1.86倍は区内で2番目に高い値です(1位は秀野保育園)。

全ての年齢で募集が行われていますが、0歳児・1歳児・3歳児の入所倍率が著しく高くなっています。

0-1歳児は募集数が少なく、入所倍率は4倍前後です。フルタイム共働きでも入所できない児童が生じる可能性が高いでしょう。何らかの加点がなければ厳しい状況です。

また、3歳児入所倍率は何と6倍です。実は高見地区内に幼稚園はありません(最寄は伝法駅前の市立伝法幼稚園)。3歳児からの施設入所希望者が集中する構図です。

しかし、4-5歳児の入所倍率は1倍を大きく下回っています。何らかの形で3歳児募集数を増やすことは出来ないのでしょうか。

同地域内にある無憂園も入所しにくい状況です。H28から一気に厳しくなったのは1歳児です。募集数18人に対して第1希望者が29人となっています。10人以上の1歳児が入所できない見通しです。

高見地域の保育所不足は、両保育所への申込状況を合算するとより明らかになります。0歳児は10人・1歳児は24人・2歳児は2人・3歳児は12人、合わせて48人の児童が地域内の保育所へ入所できない見通しです。0-1歳児・3歳児は半数以上が入所できない見通しです。

同地域内は高速道路・阪神なんば線で他の地域と分かれており、かつ隣接した地域の保育所は何れも遠い場所にあります。地域内の保育所へ入れない場合、地域外の保育所等へ登園するのが容易ではないと感じられます。

区役所周辺・西九条地域は概ね入所できる見通し

入所が困難な島屋地域・高見地域と比べ、入所しやすいのは区役所周辺・西九条地域です。

区役所周辺(春日出・酉島等)は保育所数が極めて多く、かつ密に設置されています。多くの保育所で募集数と申込数が見合っており、第1希望者の多くはすんなり入所できるでしょう。仮に第1希望で入所できなくとも、第2希望以下で入所できる可能性が高いです。

同地域は秀野保育園を第1希望とする児童がやや多く、それが徐々に南東へ影響していく構図がうかがえます。

西九条地域も同様です。西九条保育所を第1希望とする児童が多い(特に1歳児)のですが、勢至学園西九条園・西九条おはな保育園・ぬくもりのおうち保育梅香園を合算すれば、申込数と募集数は見合っています。

島屋地域等からの第2希望以下で入所を希望している児童が一部いるとはいえ、大勢に大きな影響はないでしょう。

今後の予定&お願い

今後は住吉区、港区(特に波除地域)、旭区、東住吉区、西淀川区に関する内容を掲載する予定としています。

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