H28保育所等一斉入所結果分析、地域編です。第7回は中央区を取り上げます。なお、同区に関する過去の分析記事は、「検索:中央区 分析」からご覧下さい。
分析精度の向上の為、今年から各保育所・年齢(0-2歳児)毎の「推定入所最低点」(以下「最低点」とします。)を掲載します(地図は後日追記する予定です)。
市内中心部のビジネス街・官庁街・繁華街が多くを占める中央区では、事業所跡地等に大型マンションが続々と建築されています。職住近接の利便性を求めてか、子育て世帯の転入・出産が増加している様子です。
中央区を初めとする大阪市内の中心部では、ここ数年、未就学児は4-5%ほど増加し続けています。保育所を初めとする保育・教育施設の逼迫感が徐々に高まっているでしょう。
いわゆる「大人向け」の街だった中央区は保育所が極めて少ない地域でした。平成20年前後から急増し、今も毎年1-2カ所のペースで新設されています。平成28年ではあゆみ東保育園・あいあい保育園長堀橋園が開所しています。
しかし、地価が高い同区で、園庭(特に地上園庭)がある保育所を新設するのは容易ではありません。その為、近年はビル園舎(屋上に園庭)・オフィステナント型(ビルの1-2フロアを保育所として占有)・マンションの1室を利用した小規模保育施設が増えています。
中央区は大阪市内で最も都市化が進んでいる地域でしょう。保育所等の不足が深刻な同区において、入所するには何点が必要でしょうか。
6年保育を実施する保育所に第1希望が集中
中央区での保育所等を探す際に見落とせないのは「保育を行う年齢」です。一般的に保育所は0-5歳児の保育を行いますが、中央区では「0-2歳児の保育」のみを行う保育所が少なくありません。たとえば大手前保育園・蓮美幼児学園まつやまちナーサリーが当てはまります。
これには中央区の地域事情が絡んでいると推測されます。地価の関係から大規模な保育所を新設するのが容易ではありません。また、3歳児以降は幼稚園という選択があります。その為、保育年齢を限定した保育所を設置したのではないでしょうか。現在であれば地域型保育事業という形式がありますが、当時はありませんでした。
しかし、こうした保育所等は、残念ながら保護者に避けられがちです。3歳児以降に別の保育所へ移らなければならない為でしょう。地域型保育事業も同様です。忙しい共働き世帯にとっては尚更です。
こうした事情からか、中央区(他区でも同じですが)での第1希望は6年保育を実施する保育所へ集中しています。0歳児入所最低点が200点以上、もしくは1歳児入所最低点が201点以上となっているのは、全て6年保育を行っている保育所です。
保育内容云々ではなく、現実的には「6年保育が最優先」というのが保育所選びの実態です。
中央区東部は市内屈指の激戦区
地域毎に見ていきます。まずは毎日の様に街が変わっている中央区東部(東横堀川以東)です。上町台地上に多くの官公庁が建ち並び、それを取り囲むかの様に大型マンションが増えています。
やや落ち着いた地域柄が共働きの子育て世帯に好まれているのでしょうか。この地域の保育所は極めて入所しにくい状況となっています。
6年保育を行う保育所では、0歳児最低点は大半で200点となっています。フルタイム共働きであれば希望順位が高い保育所のいずれかには入所できる、という見通しです。点数がやや劣る方は、2歳児までの保育所や地域型保育事業という選択肢が中心となります。
南大江保育所の0歳児は要注意
0歳児最低点が201点と高かったのは南大江保育所でした。中央区唯一の公立保育所です。長い歴史があるので、入所希望者の両親・兄姉が卒園児という家庭が少なくないでしょう。
最大の理由は「総定員に対する0歳児定員の少なさ」です。保育所基本情報によると同保育所の総定員は113人、内0歳児は6人です。
当たり前の話ですが、総定員が多くなるにつれ、兄姉が在籍している児童の入所希望者は多くなります。同保育所の0歳児入所希望者の内、多くは在籍園児の弟妹でしょう。フルタイム共働き+きょうだい加点=207点だと推測されます。
募集枠の一定割合を207点児童が占める結果、入所最低点は跳ね上がってしまいます。同保育所へ入所した児童の内、201点以上だったのは14人に上ります(全体の半分以上)。0歳児といえども、200点で入所するのは困難だと考えられます。
東部の1-2歳児は加点前提
1-2歳児はより深刻になります。殆どの保育所において、1歳児で入所するには何らかの加点が求められるという結果となっています。200点で入所できる可能性がある保育所は半数もなく、実際には所得の多少で線が引かれるでしょう。200点未満は極めて困難です。
特に厳しいのはゆめ中央保育園・もりのみやナーサリー・あゆみ保育園です。中間発表時の3保育所の1歳児入所倍率は7倍を超えています。あまりの高さに、他園へ変更した方も少なくないでしょう。
入所倍率が高い原因は「1歳児入所枠の少なさ」です。2-6人しかいません。いずれも0歳児入所枠の3分の1以下です。あまりに少ないので、兄姉が在籍している児童であっても入所できないケースが発生した可能性があります。
それ以外の保育所も厳しい状況です。上町みどり保育園・南大江保育所の1歳児最低点は201点となっています。しかし、来年は更に上がる可能性が高いでしょう。今年はあゆみ東保育園の新設により、この地域の1歳児募集数が一時的に増えた為です。
やや入所しやすいのは、冒頭で紹介したとおり、2歳児までの保育のみを行っている保育所・地域型保育です。200点で何とか・・・・という状況でしょう。
実は市内各地で0歳児と1歳児入所枠の不均衡が生じています。0歳児なら入れるのに1歳児だと入れない、という事例です。保育所の利用を検討している家庭では、出産月を0歳児入所が可能な4-9月とする動きもあります。
2歳児も入所は困難です。そもそも2歳児は募集枠がある保育所が極めて少ないのが実情です。募集予定がない保育所を敢えて希望し、退所者の発生を待つという方法があるぐらいです。
2歳児での入所希望者の殆どは既に認可外保育施設を利用しているでしょう。一方、きょうだい加点がある児童の多くは0-1歳児で入所済みだと考えられます。とは言え、200点での入所は決して容易ではないでしょう。
新設のあゆみ東保育園は希望者が殺到・来年はより厳しく
大阪医療センターのすぐ南にある旧官舎跡地に、あゆみ保育園を母体とするあゆみ東保育園が新設されました。
保育内容は母体園が参考になる・新しい園舎・広い敷地・食品スーパー近くという事情からか、極めて多くの第1希望を集めました。1-2歳児は募集枠の倍程度の方が第1希望としています。
全定員を一括して募集したにも関わらず、入所最低点は高めでした。0歳児は200点、1-2歳児は201点だったと考えられます。
各年齢の定員の差から、平成29年度一斉募集の1歳児募集数が3人、2歳児も3人だと考えられます。これか極めて狭き門です。きょうだい加点、もしくは認可外加点がなければ極めて厳しいと推測されます。
また、来年は他保育所で反動が生じます。上町みどり保育園・もりのみやナーサリー・南大江保育所・あゆみ保育園等は、より一段と入所が困難になるのではないでしょうか。