平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第5回は淀川区を取り上げます。
なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:淀川区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析やH28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。
※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます
大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。
新設なし・0歳児申込が急増
10月28日に公表された資料では、あい保育園西三国の募集数に誤りがありました(詳細はこちら)。新設初年度たるH28の募集数をそのまま掲載してしまった様子です(5歳児を除く)。本記事では11月4日に公表された、訂正後の数字を用いています。
淀川区では多くの年齢で入所しにくくなる見通しです。主な理由は「募集数の減少」です。
申込数はH28の900人から927人へと増加しました。1歳児は昨年とほぼ同数・3歳児が減少したものの、0歳児が大きく増加しています。
募集数は866人から753人へと急減しました。H27一斉募集と同水準です。昨年はあい保育園西三国や多くの地域型保育事業が開所した一方、H29一斉募集と同時に開所する施設はありません。開所1年目の一括募集に相当する募集数が減少してしまいました。
年齢別に見ると2歳児の厳しさが目立ちます。入所倍率は1.24倍から1.71倍へと急上昇しました。上記の理由によって募集数が減少したのに加え、昨年に入所できなかった1歳児が多い為でしょう。
また、0歳児は倍率が1.07倍へ達しました。市内で6番目に高い倍率、上昇幅は市内2位です(1位は阿倍野区)。
入所を希望している0歳児の大半は入所できる見通しです。しかし、5月以降の入所を検討している年度後半生まれの乳児は著しく厳しくなりそうです。殆どの施設は4-5月で0歳児定員を満たしてしまうでしょう。
大きな影響はH30の1歳児入所に現れます。新たな施設ができない限り、1歳児入所倍率は2倍前後となる可能性があります。淀川区内で平成28年10月以降に出産される方には試練かもしれません。
倍率が高い施設は区北東部に集中
淀川区内で入所倍率が高い保育所は、区北東部に集中しています。入所倍率が最も高かったのは、ひじり幼稚園・ひじり保育園(認定こども園)の2.93倍でした。特に2歳児は募集予定数6人に対し、16人が第1希望としています。
同こども園は新大阪駅・地下鉄東三国駅・JR東淀川駅の中間地点にあります。「淀川区内で新大阪駅に最も近い保育施設」というのが特徴的です。
認定こども園は一般的な保育所とは異なる部分が数多くあります。入所を希望される方は必ず施設を見学し、担当者から詳しい説明を受けて下さい。入所内定・入所してから「こんな筈じゃなかった」という話を耳にします。
次に入所倍率が高かったのは、開所3年目を迎えるクオリスキッズ三国本町保育園です。募集数18人に対して第1希望は50人、入所倍率は2.78倍となりました。
年齢別では1歳児・3歳児が3倍を超えています。何らかの加点がなければ入所するのは難しそうです。3歳児の多くは、近くにある小規模保育園育三国園の卒園児が占めるのではないでしょうか。
また、2歳児は募集数0人に対して9人が第1希望としています。主に木川第2保育所・三国保育所へ変更するのではないでしょうか。淀川区の2歳児問題は、各施設で如実に表れています。
阪急三国駅前にあるメリーポピンズこども園も高倍率です。昨年・一昨年はほぼ2倍だったのですが、今年は2.65倍へ上昇しました。0歳児・2歳児の第1希望申込数が急増している為です。
申込数以上に厳しいのが倍率の高さです。1歳児は6倍、そして2歳児は9倍です。きょうだいが在籍している等、大きめの加点が必要になるのではないでしょうか。みくにひじり保育園・第1希望が半減している三国保育所が変更候補となりそうです。
この地域では、他にみくにひじり保育園・あい保育園西三国・ポラリスこども園の入所倍率が2倍前後となっています。
あい保育園西三国は今年4月に開所したばかりの新しい保育所です。ここも2歳児の募集数がありません。ポラリスこども園は区内最多の97人が第1希望としています。2歳児募集数は1人にも関わらず、11人が第1希望としています。
三国・宮原地域の1-2歳児は倍率2倍越え
ここまで書いてふと気づきました。「淀川区の三国・宮原地域(主に三国中学校・宮原中学校校区)の入所倍率はいったい?」という点です。
そこで、上記地域内にある保育所・こども園(計7施設)の第1希望申込数・募集数を合算してみることにしました。
年齢 | 申込数 | 募集数 | 倍率 |
0歳児 | 94 | 64 | 1.47 |
1歳児 | 122 | 59 | 2.07 |
2歳児 | 69 | 34 | 2.03 |
やはり厳しい数字が出ました。1-2歳児は入所倍率が2倍を超えました。保育所・こども園を第1希望とする子供のうち、入所できるのは半数未満という見通しです。
この地域は再開発が行われており、今後も多くのマンションや住宅が建設される予定です。保育施設は大きく不足しており、更に厳しくなる可能性があるでしょう。
ふたば未来園・塚本くすのき保育園も2倍弱
区北東部以外にも入所するのが難しい保育所があります。代表例は新高にあるふたば未来園です。近隣の保育所が母体となって、2年半前に開所した新しい保育所です。
入所倍率は1.94倍です。多くの年齢で第1希望が集まっており、1-4歳児の倍率は2倍を超えています。少なくともフルタイム共働きに相当する点数が、できれば加点も必要となるでしょう。
この地域では大阪市立新高幼稚園の廃園計画が議会で審議に掛けられ、否決された過去があります(詳細はこちら)。保育需要の高まりのみならず、「幼稚園から保育所へのスライド」というローカルな動きが3-4歳児希望者に感じられます。
区西部では塚本くすのき保育園(旧塚本保育所)も多くの第1希望を集めています。特に1歳児は募集数11人に対して34人が第1希望としています。1歳児入所倍率は3.09倍となりました。
同保育所は塚本駅の少し北側にあります。塚本駅を利用する方にとっては、登園しやすい場所にあります。西淀川区からの入所希望者も少なくないでしょう。
区北西部・南東部は昨年通り
区北西部や南東部、及びここまでで掲載していない保育所等は昨年から大きな変動はない見通しです。フルタイム共働きなら入所できそうな一方、それを下回る点数だとケースバイケースとなるパターンが多そうです。
梅田への利便性を考えると、十三駅・南方駅周辺にある保育所等はより入所しにくくなっても不思議ではありません。しかし、入所倍率は1-1.5倍という保育所が多くを占めています。
これらの地域は住宅街というよりも繁華街という性格が強く感じられます。子育て世帯も決して多くないのでしょう。南方駅の周辺には保育所すらありません(地域型保育事業・東淀川区内の保育所はあります)。
今後の予定&お願い
今後はリクエストを頂いた阿倍野区(特に桃ヶ池・南部の区境付近)、都島区、中央区、天王寺区、福島区、東淀川区、西区(堀江敬愛)、此花区(特に高見・伝法東部)、住吉区、港区(特に波除地域)、城東区(中央区に近い地域)、住之江区に関する内容を掲載する予定としています。
個別の問い合わせは、記事に先立って今週中にお返事をお送りする予定としています。記事を掲載した段階で、改めてフォロー等ができればと考えています。
いわゆる「3歳の壁」に関するメールも多数頂いています。小規模保育が増える一方、卒園後の保育の場が見つかるかと不安に感じる様子が伝わってきます。
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