昨日、大阪市会こども教育委員会において西船場幼稚園の廃園に関する質疑が行われました。

詳細は下記動画をご覧下さい。
https://youtube.com/watch?v=ZEJjzzgopcw%23t%3D4h10m06s

【西船場小学校・幼稚園に関する議論経過】

○永井委員(自民・西区選出)
西区は大規模校ばかり、いくら小学校があっても足りない
5月の同委員会で、児童数が急増している西船場小学校の教育環境へ不安を持っている保護者等の意見を聞き、早急に検討すべきではないかと質問した。
区役所等が近日中に意見交換の場を向け、論点を示し、意見等をいただき、対応策を決めるという答弁だった。
具体的なプランの策定には、地域の声を聞き、丁寧に対応して欲しいと要望した。
狭い敷地に校舎を建てるので、市政改革プランの概念にとらわれる事無く、地域事情を踏まえて検討を進めて欲しいと要望した。

○施設整備担当課長
区役所等のプロジェクトチームで検討した。
丁寧に地域・保護者等の関係者の声を聞いた。
西船場小学校の周辺には学校に適した用地がない為、校区調整・校舎増築・幼稚園の廃園の3案を示した。
協議の場の意見を踏まえ、各案のメリット等を示した。
意見を聞いたのは、当該地域の代表者・PTA・幼小の学校関係者等を中心に集まっていただき、5/31を皮切りに説明会を計4回開催した。
その後、連合町会・小学校等の保護者対象の説明会を開催し、意見交換を進めてきた。
4回目の説明会で、行政として西船場幼稚園の機能を靫幼稚園へ移管する改善策を示した。

○永井委員
協議を始めたのは5/31
限られた方々しか意見を聞かず、わずか4回の説明会でとりまとめたと言われても、廃園ありき
現保護者・将来の保護者・西船場小学校へ通わせたいと考えている保護者の理解は到底得られていない
意見を聞く場を設けたのは評価する
が、わずか3ヶ月で廃園案を飲み込めというのは無理がある
昨年から今年にかけて堀江幼稚園の廃園話があり、苦渋の決断をした
4回の説明会でまとめて良い話ではない

併設園の良さは保護者が理解している、理解無くして進めるのは如何なものかと
地域事情を踏まえて欲しいと要望したが、機能移管にはどういった配慮をしたのか

○施設整備担当課長
敷地内に校舎を増築する場合は幼稚園を閉園する事となり、改革プランでは幼稚園ニーズは民間にお願いする事が基本となる。
しかし同地域での幼稚園ニーズは高く、近隣に幼稚園として活用できる土地もなく、靫幼稚園の学級数増で対応すると検討してきた。

○永井委員
だから概念にとらわれないで
ニーズが強く、土地がないことは分かっている
他で受入枠を作ったから良いでしょ、上から目線に聞こえる
他の考えはなかったのか

○幼稚園運営担当課長
幼稚園は廃園となるが、靫幼稚園の学級数を増加することで対応すると検討してきた

○永井委員
靫幼稚園の学級数増は、明治小学校・本田小学校のニーズを考えると当然のこと
説明会の案内文を入手した
「改善案を取りまとめるに至りました」と書いてある
最初から決まっているという印象を与える
意図を教えて欲しい

○西区役所教育担当課長
小学校・両幼稚園の保護者への案内文には説明会の趣旨を説明し、決定事項ではなく今後議会に諮って決定する必要があり、現在検討している行政として実現可能な改善策案として、丁寧な説明に努めた

○永井委員
こんな文章で丁寧な説明、信じられない
どう見てももう決まった、形だけでもいいから聞きに来て、と書いてあるのと一緒
もっと良い言い方・書き方がある、だって未だその段階でしょ
誰だってこの文章を読んだから決定事項だと思う、配慮に欠けている
次からはしっかり配慮して欲しい

改善策の策定に関してどの様な議論を行ったのか、幼小連携の良さが失われてしまう、市民の寄付によって設立された、長い歴史と伝統が失われてしまう等、廃園反対の声・メールが事務所へ毎日届く。
地域や保護者に対してどの様な説明会を行ってきたのか教えて欲しい

○施設整備担当課長
現在の校地内での校舎増築・校区調整も検討した
最終的に南側に隣接する西船場公園の活用案と、幼稚園用地の活用案について議論を進めた
連合町会の役員・民間の保育園事業者・公園を常時活用している方の意見も聞いた
幼稚園の歴史・伝統を軽んじるわけではないが、小学校の校舎配置・公園の存在意義を考慮すると、幼稚園を靫へ持っていくのはやむを得ない、公園利用に多くの方の理解を得るのは困難ではないか、公園を日常的に利用している幼稚園事業者・ゲートボール等の利用者から現在の形での公園存続を求めているとの意見が合った
一方で長い歴史と伝統を備え、幼小連携の良さがなくなる、公園用地を活用すべきとの意見も多く頂いた
保護者からは両幼稚園共に3歳児入園枠が足らないので増やして欲しい、幼稚園の上に校舎を建てられないのか、安全対策、廃園を目的としているのではないか、といった意見を頂いた
今後も地域や保護者の意見を聞いていきたい、より丁寧な説明に努めたい

○永井委員
今後の説明会でも幼稚園廃園案に終始するのか

○施設整備担当課長
説明会参加者の理解は得られていない
今後の意見を十分検討し、可能な案は取り入れ、不可能な物は理由を示し、丁寧に説明していきたい

○永井委員
考える余地はあるよね、こども青少年局?

○幼稚園運営担当課長
取り入れるべき物は取り入れていきたい

○永井委員
お願いします。

靫幼稚園への機能移管に関する表記が3歳児募集要項に書かれていない
しかし、西船場幼稚園前の張り紙には追記してある
矛盾しないか

○幼稚園運営担当課長
平成30年度末に閉園する予定、希望者は靫幼稚園へ転園できる見込み
ポスターには追記したが、募集要項にも追記すべきだったと反省している
今後配布する願書には記載する

○永井委員
中途半端だから不安になる、悩ましい事は止めて欲しい
非常に多くの関係者から幼稚園に対する熱い想いを聞いている

幼稚園保護者が特に心配しているのは、タイトなスケジュールで廃園が決定されようとしている事
児童数が急増する西船場小学校の増築が喫緊の課題であるのは承知している
何度の説明会等を開いたことも知っている

しかし、案内文に「改善案を取りまとめるに至った」と書かれては、結論が決まっている受け止めざるを得ない
理解を求めるだけの説明会、非常に戸惑っているのが実情
区長は決定事項ではないと発言したらしいが、きちんと多くの方の意見や想いを聞いて欲しい
議案提出前なのでこのあたりで留めておくが、今後もこの場できっちり確認していく

廃園&校舎増築でも適正規模は大きく越える

教育こども委員会で永井委員が市役所・区役所の担当者へ議論経過を訊ねると同時に、地域事情を踏まえて欲しい・3ヶ月はあまりに急すぎる・意見をしっかり聞いて欲しい、といった旨の質疑を行いました。

指摘したいのは、仮に廃園・校舎増築を行っても西船場小学校の教育環境は不十分なままではないか、という点です。下記資料の2ページ目、「西区の現状と今後の推計」というページをご覧下さい。

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平成32年度には西船場小学校の規模は適正規模(12-24クラス)を越え、平成33年度には28クラスへ達する見込みです(更に上を行くのが堀江小学校・日吉小学校です)。校舎を増築しても児童数は変わりません。

適正規模を大きく越える小学校では、学校活動に多くの支障が生じると聞いています。例えば運動場・特別教室等を利用しにくい、学外行事を数グループに分けざるを得ない、児童数が多すぎて教師の目が届かない等です。

また、西区では本田小学校も適正規模の上限に近づいています。上記グラフには江之子島の阿波座ライズタワーズ(565戸!)が考慮されていません。居住人口・子供数から推計するに、タワーマンションだけで1小学校が必要なぐらいです。本田小学校も数年度には適正規模を大きく越えるでしょう。

根本的な解決方法は「校区調整」、具体的には小学校の新設しかないでしょう。

候補地は靫テニスセンターしかない?

上記答弁では「付近に適切な土地がない」と述べています。しかし、土地はあります。靫テニスセンターです。

西船場小学校・幼稚園とテニスコート5面分の敷地面積はほぼ同一です。

靫テニスセンターは西船場小学校・本田小学校のちょうど中間地点にあります。仮にここへ小学校を新設できれば、西区北東部の教育環境は大きく改善されるでしょう。西船場幼稚園を廃園する必要性も乏しくなります。

なお、両小学校から進学する花乃井中学校の狭隘化も心配されます。同中学校をテニスセンターへ移転し、中学校跡地を新設小学校として利用する方法もあるでしょう。以前は江戸堀尋常小学校があった場所なので、先祖返りする形となります。

ただ、決して簡単な話ではないでしょう。利便性が高い靫テニスセンターでは数々の大きな大会が行われています。また、学校の新築には多額の費用(30-50億円?)が掛かります。しかし、子供の教育環境には代えられません。

人口が急増している西区では、この様に教育環境の狭隘化が急激に進行しています。保育所も幼稚園も小中学校も足りません。子育てに適しているとは決して言えないのが実情です(私立小中学校へ通えば関係ないかもしれませんが)。

大阪市では子供の減少によって教育・保育施設の統廃合が行われている地域と、反対に急増による対応に追われている地域が存在します。両極端な状況が同時に進行しています。

西区の教育環境・西船場幼稚園の廃園等は今後も市会で取り上げられるでしょう。市政に強い意見等がある方は、西区選出・教育こども委員会所属の永井議員にご連絡下さい(なお、私は同議員と何ら関係がありません)。