いよいよ4月1日から新年度です。我が家でも新しい持ち物の準備や名前書きに追われています。持ち物の紛失を防ぐ&保育士の業務負担を軽減する観点から、持ち物にしっかり記名するのは本当に重要です。皆様も今一度ご確認下さい。なお、【入所準備】子供服等に記名する名前ペン・スタンプは必須ですもご覧下さい。

さて、大阪市では平成28年度から「実費徴収にかかる補足給付事業」が始まります。

「実費徴収にかかる補足給付事業」とは

「実費徴収にかかる補足給付事業」とは、幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育事業所で使用する日用品・文房具等の購入に要する費用、遠足等の行事への参加に要する費用及び食事の提供に要する費用等について、市の定める利用者負担額(保育料)とは別に、各施設等が実費徴収を行いますが、この実費徴収について、生活保護世帯を対象に費用の一部を補助する事業です。この事業は、子ども・子育て支援新制度施行に伴い、新たに創設されたもので、大阪市では平成28年度から実施します。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000348519.html (以下同じ)

保育料とは異なり、幼稚園や保育所等が指定した商品を購入する負担分は、生活保護世帯であっても負担が求められていました。これに対する補助事業が行われます。

1) 補足給付事業の対象となる方
大阪市内に居住している0歳~就学前のこどもで、認定こども園・保育所・幼稚園(新制度に移行していない園は対象外)・地域型保育事業所を利用しており、その利用者負担階層が第1階層の生活保護世帯のこどもです。

2) 補足給付事業の内容

対象経費対象補足給付限度額(こども1人あたり年額)備考
日用品や文房具等の購入に要する費用・行事への参加に要する費用1号・2号・3号認定30,000円日用品・文具等と行事参加費用の合計額
給食の提供に要する費用(副食費)1号認定54,000円おかず等の経費

3)補足給付の対象となるもの

●補足給付の対象となるもの(*いずれも施設等で指定した商品に限る )
(例)  制服、通園かばん、スモッグ、午睡用ふとん、おむつ、カラー帽子、体操服、文房具、タオル、コップ、歯ブラシ、連絡帳、各種保険料、修了証書入れ、食事エプロン、名前のゴム印、絵本代、名札、上履き、IDカード、バス送迎費、宿泊行事費、遠足等の行事に係る交通費・入場料、副食費(おかず等/1号認定こどものみ)など

●補足給付の対象とならないもの
(例) 延長保育料、一時預かり保育料、主食費(米飯・パン等/1号認定こども・2号認定こども)、 副食費(おかず等/ただし1号は対象)、PTAや保護者会の運営に要する費用

※制服や体操着など、施設等が指定した店で、施設等が指定したものを購入した場合に限り対象となります。クレヨンや紙おむつなど、施設等が店や商品を指定していない場合は対象になりません。

施設が指定した日用品等の購入代金や副食費(1号認定のみ)が補助対象とされています。園生活で必要となる実費負担分の殆どが対象とされているイメージです。

特に生活保護世帯では負担感が大きかった制服・カバン・宿泊行事費等が含まれているのはありがたい話です。一部の園では高額の実費負担を求められ、結果的に生活保護世帯が入園しにくい状況も生じています。「教育の機会均等」という観点から、極めて重要な制度と言えるでしょう。

補助対象となる商品は「施設が指定した物」に限定されています。補助対象は事実上、「施設を経由して購入する商品」となってしまうのではないでしょうか。制服やカバン等の高額商品だけで、年間上限額に達してしまいそうです。

6)その他、本事業の申請・利用に際してご注意いただきたいこと

・制服や体操着など、施設等が指定した店で、施設等が指定したものを購入した場合に限り対象となります。クレヨンや紙おむつなど、施設等が店や商品を指定していない場合は対象になりません。
・ 年間上限額に対して残金が生じた場合でも、翌年度の申請に繰り越して年間補助上限額を増額することはできません。
・入所日前に購入した日用品等や行事への参加に要した費用は本事業の対象とすることはできません。また平成28年3月31日以前に購入した日用品等も本事業の対象とすることはできません。
・ 月の途中で生活保護認定を受けた場合、翌月1日から利用者負担階層が第1階層となりますので、翌月分から事業の対象となります。
・ 大阪市に住所を有しない児童は大阪市内の施設等を利用している場合でも本事業の対象となりません。居住の市町村に補足給付事業について確認が必要となります。

注意が必要なのは「入所日や平成28年3月31日までに購入した商品は対象外」という点です。一部の施設では3月中の商品が求められているかもしれません。しかし、既に購入した商品は対象ではないそうです。

「購入」を厳格に解釈すると、施設等へ購入を申し込んで承諾された時点となるでしょう。緩く解釈すると商品受取時・代金支払時となります。少し迷いが生じるかもしれません。

大阪市の生活保護の実態

平成27年12月時点において、大阪市で生活保護を受給しているのは15万人弱に達しています。人口の5%強(全国平均は1.7%)にあたります(詳細はこちら)。

主な理由は高い失業率・高い離婚率・高齢者世帯(特に単身世帯)の多さ・あいりん地区の存在が指摘されています。この中で子育て世帯に多く該当するのは「離婚世帯」、特にシングルマザーでしょう。

お世話になっている保育所でも1人で子供を育てている方は何人かいます。生活が厳しいのが想像できます。一方、同じ保育所では高級外車で登園している児童もいます。他の地域と比べて、特に大阪市は貧富の差が極めて激しいと感じています。

高所得世帯が特に強い経済的メリットをうける5歳児教育費無償化が平成28年4月から実現されます。しかし低所得世帯・生活保護世帯への経済的メリットは限定的です。様々な施策を通じ、貧困の連鎖を防ぐのが望まれます。