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遂に当時の施設長、従業員として勤務していた子供2人が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されました。

一周忌前に…保育施設死亡 元施設長ら逮捕

2015年7月23日 19:01

去年7月、栃木県宇都宮市の保育施設で生後9か月の山口愛美利ちゃんを熱中症で死亡させたとして、警察は23日、当時の施設長の女ら3人を逮捕した。愛美利ちゃんは下痢などの症状があったにもかかわらず、施設側は医師の診察さえ受けさせていなかった。
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 去年7月、栃木県宇都宮市の保育施設で生後9か月の山口愛美利ちゃんを熱中症で死亡させたとして、警察は23日、当時の施設長の女ら3人を逮捕した。愛美利ちゃんは下痢などの症状があったにもかかわらず、施設側は医師の診察さえ受けさせていなかった。

 保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたのは、宇都宮市の保育施設「トイズ」の施設長だった木村久美子容疑者(58)、従業員だった木村容疑者の娘の怜美容疑者(28)と息子の高容疑者(23)。

 愛美利ちゃんは両親の出張のため、去年7月23日から26日に施設に預けられていた。警察によると、愛美利ちゃんは預けられていた間に下痢や発熱の症状が出た。しかし、久美子容疑者らは適切な医療措置を受けさせず、熱中症で死亡させた疑いが持たれている。調べに対し、3人は容疑を否認している。

 トイズでは愛美利ちゃんが死亡する前にも、虐待とも取れる保育の実態を訴える声が上がっていた。関係者が撮影したトイズ内部の写真には、預けられた子どもたちが毛布にくるまれた上にひもで縛られている様子が写っている。

 3人の逮捕を受け、愛美利ちゃんの両親が会見を行った。

 愛美利ちゃんの父「妻は精神的に不安定になり、味覚障害にもなり、耐え続けてきた一年でした。娘の一周忌を前に、警察が木村親子を逮捕したことに感謝します」

 愛美利ちゃんの母「ようやく娘に良い報告ができるなと。きょう、逮捕の報告を聞いて、娘の写真に向かって報告しました」

 警察は、愛美利ちゃんが死亡した経緯を詳しく捜査するとともに、トイズの保育実態についても慎重に調べている。
http://www.news24.jp/articles/2015/07/23/07305085.html

本当に酷い事件でした。
利用者・従業員等からの証言が集まり、立件・公判維持ができる目処が付いたのでしょうか。
保護者目線からは「やっと逮捕か・・・・」という印象です。
逮捕されたのは施設長だった木村久美子容疑者、その娘の木村怜美容疑者、息子の木村高容疑者の3名です。
家族経営同然の認可外保育施設でした。

逮捕容疑は適切な医療措置を受けさせずに死亡させた事による、保護責任者遺棄致死です。
亡くなった女児には預けた当時には無かったアザがあった、多くの園児がぐるぐる巻きにされて虐待されていたという報道や写真もあります。
今後の捜査次第では、他の園児・保護者に対する保護責任者遺棄致傷・詐欺等による再逮捕もなされるでしょう(既に視野に入れていると思います)。

本事件では宇都宮市の対応があまりに杜撰でした。
多くの利用者から虐待や危険な保育を訴える声が届いていたにも関わらず、事前に通知をした上での立ち入り調査を行ったに過ぎないと報道されています。
悪意を持って保育を行っている施設であれば、口裏合わせ・証拠隠滅等を容易に行いうるでしょう。
厚生労働省からの通達が事前通知を通例とするものであっても、園児に生命・身体の危険が及んでいる保育が行われている可能性が高いのであれば、証拠を確保して保育を停止させるべく、早急に無通告の立ち入り調査を行うべきでした。
調査の結果、何の問題もなければ良いだけです。
調査に対する保育施設の準備より、園児の生命・身体を守る方が遙かに高い価値を有しています。

また、利用者からの聞き取りや調査の結果、悪意や危険を有する保育が行われていると判明した場合であっても、行政はなかなか保育事業の停止命令や施設の閉鎖命令を出しません。
強制力のない行政指導を行っても、こうした施設が全て受け入れて改善を行うとは限りません。
たとえば過去に園児の死亡事故を起こし、東京都からの改善勧告等を何度も無視し続けてきた認可外保育施設「トムインターナショナルスクール」であっても、ようやく東京都が改善勧告の内容を公表し、園児の受け入れの自粛を求めたに過ぎません。
公権力の行使は抑制的であるべき、保育施設が停止・閉鎖されたら預け先に困る園児・保護者が発生てしてしまう、弱みにつけ込んで更に悪質な保育を行う「ヤミ保育」が跳梁跋扈する下地を創出してしまう等、様々な理由があるのでしょう。
だからと言ってトイズの様な酷い保育を行う施設・事業者がそのまま保育を続けられ、何も事情を知らない利用者が欺されて良いわけがありません。
本事件が発覚した後も宇都宮市から何らかの命令等はなく、しばらくは従前と変わらない保育が行われていたと聞いています。

なお、託児所トイズの運営関係者には、以前に栃木県内で重要な公職を務めていた人間や教育関係者の存在が取りざたされており、公開されている情報等から私も把握しています。
その人物が託児所の運営にどれだけ関与していたかは定かではありません。
しかし、この人物の存在が宇都宮市の姿勢に何らかの影響を与えた可能性は排除できません。
宇都宮市の指導・監督権限の行使が著しく不適切だったか否かが公判廷で問われていくのでしょう。