東京では都心部を中心に乳幼児数は著しく増加しています。
その背景には人口の都心回帰・団塊ジュニアの出産があるそうです。
東京)増える赤ちゃん、どう育てる 出生数、役所の想定超す
都心部を中心に赤ちゃんが増えている。役所の想定を超えた出生数の増加は、保育園の待機児童の数を押し上げ、自治体に意識改革を促している。
(以下中略)
乳幼児の数は都心に近い自治体ほど増加率が高い。
0~4歳児が2005年から15年までにどれくらい増えたのかを見ると、都心3区が突出している。最も増加率の高い中央区は、05年(1月1日現在)の3587人が15年には7473人と108%増。港区(100%増)、千代田区(85%増)と続く。都心から離れるほど増加率は低くなり、区部では練馬区と江戸川区で逆に減少。多摩地域では武蔵野市が29%増、日の出町が69%増だが、減少が目立つ。
(以下省略)
http://apital.asahi.com/article/local/2015050600004.html
では大阪市ではどういった傾向にあるのでしょうか。
上記新聞記事では2005年(平成17年)と2015年(平成27年)の0-4歳人口増加率を用いています。
大阪市では2014年(平成26年)までの住民基本台帳人口が公開されているので、便宜的に2014年3月末と2004年(平成16年)3月末の区別の0-4歳人口増加率を算出してみました。
区名 | H16.3 | H26.3 | 増加率 |
北区 | 3,233 | 4373 | 35% |
都島区 | 3,887 | 4333 | 11% |
福島区 | 2,463 | 3338 | 36% |
此花区 | 2,775 | 3035 | 9% |
中央区 | 2,041 | 3512 | 72% |
西区 | 2,937 | 4203 | 43% |
港区 | 3,497 | 3076 | -12% |
大正区 | 3,115 | 2342 | -25% |
天王寺区 | 2,329 | 3386 | 45% |
浪速区 | 1,466 | 2043 | 39% |
西淀川区 | 4,991 | 4137 | -17% |
淀川区 | 6,855 | 6876 | 0% |
東淀川区 | 7,860 | 6983 | -11% |
東成区 | 3,317 | 3120 | -6% |
生野区 | 4,401 | 4247 | -3% |
旭区 | 3,808 | 3281 | -14% |
城東区 | 7,424 | 7039 | -5% |
鶴見区 | 6,699 | 6303 | -6% |
阿倍野区 | 4,020 | 4400 | 9% |
住之江区 | 5,659 | 4680 | -17% |
住吉区 | 7,146 | 6227 | -13% |
東住吉区 | 5,820 | 4849 | -17% |
平野区 | 10,821 | 8292 | -23% |
西成区 | 3,253 | 2724 | -16% |
大阪市 | 109,817 | 106799 | -3% |
最も増加率が高いのは中央区の72%、平成16年3月末の2041人から平成26年3月末には3512人へと激増しています。
次いで天王寺区(45%)・西区(43%)・浪速区(39%)・福島区(36%)・北区(35%)となっています。
東京と同様に、市内中心部に近い区ほど増加率が高くなっています。
実体験として、タワーマンションや大規模マンション等の立地地域と重なっている様に感じられます。
東京23区とは異なるのは、大阪市内といえども市内中心部から離れた地域では乳幼児が減少している点です。
最も増加率が低いのは大正区の-25%、ここ10年で3115人から2342人へと減少しています。
大阪24区の内、半数以上の14区で乳幼児が減少しています。
大阪市全体でも3%ほど減少しています。
人口回帰や待機児童問題は、市内中心部と周縁部で様相は大きく異なります。
大阪市が廃止・5分割されても現状通り維持されるとしても、地域間の乳幼児人口のアンバランスさは大きな課題となるでしょう。
なお、乳幼児人口の推移や保育所入所率等を見る限り、「保育所等を増やせば乳幼児人口(子ども)が増える」という主張は素直に肯定できません。
市内で保育所へ入所するのが最も困難な西区・中央区の乳幼児人口が大きく伸びている一方(直近の単年統計でも同様の傾向)、ほぼ全員が希望通りの保育所へ入所出来ていると推測される大正区・平野区等は大きく減少している為です。
子育て世帯の住まい選びには、不動産価格・交通の便や周辺環境等がより大きく影響しているのではないでしょうか。