興味深い論文をご紹介頂きました。「学力に対するきょうだい構成の影響」です。

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分析の結果、「きょうだいが多いほど学力が低下することが確認された。一方で,出生順位の影響は認められなかった。」「算数・数学と比べて国語のほうが影響が大きかった。」という結論が導かれました。

まずはきょうだい数です。

数学も国語も小学5年生から変化が現れます。算数は差が付き始め、国語は差が拡大しています。どちらも学習内容が難しくなり始める学年です。学校での授業だけで学習が完結せず、家庭での宿題や補習等が必要となってきます。いわゆる「家庭学習」です。

きょうだいの存在は「家庭学習」にとってマイナスとなるのが実感です。特に小さなきょうだいの存在は強いマイナスとなります。

そもそも小さなきょうだい(未就学児を想定)がいる自宅では、なかなか落ち着いて学習できません。自分の部屋に閉じこもっても、他の部屋から騒がしい音や振動が伝わります。その度に集中力を削がれてしまいます。

特にテスト前には気を遣います。土日は騒がしい下の子を屋外へ連れ出したり、平日は早めに寝かせる等をし、家庭で学習する時間帯と小さなきょうだいが活動する時間ができる限り重ならない様に苦心しました。

塾の自習室や学校の図書館等、できる限り家庭外で学習して欲しいとも伝えています。よくある「リビング学習」は画に描いた餅です。

きょうだいそれぞれに大きな子供部屋があり、他の部屋の騒音等が聞こえない程に離れていれば悪影響は最少化できるでしょう。その為には、相当の経済力が必要となります。特に地代が高い都市部ではより顕著です。

多くのきょうだいがいると、親が子供の学習に付き合うのも難しくなります。小さなきょうだいに時間や手間を取られてしまい、とても学習指導にまで手が回りません。

より直接的な影響が生じるのは教育費です。多くのきょうだいがいるのであれば、教育費は極力均等に支出する様に考えるでしょう。第1子は塾通いから私立中学・高校へ進学させる一方、第2子以降は公立中学・高校へ進学させるのであれば、揉めるのは当然です。

我が家も子供が1人のみであれば、3年間程度の塾通いからの私立中学受験も検討できました。しかしながら複数の子供を中学受験させられる程の経済力はありません。子供には「高校は公立、大学は下宿や私立理系以外で。」と伝えています。

きょうだいの数によって、家庭での学習環境や学校外教育費に大きな違いが生じます。これらが劇的に吹き出すのが、中学3年生の4人きょうだいです。

中学3年生時点では3人きょうだいまでは学力差が然程ありませんが、4人きょうだいは学力差が急激に拡大しています。

きょうだいの多さが家庭学習に更に大きなマイナスの影響を及ぼします。加えて、きょうだい数によって高校受験に向けた塾代支出に上限が掛かります。

我が家も実体験があります。通っていた塾からは日曜講座や特別授業等のお誘いが何度もありました。が、「現時点では日曜講座等の追加授業料は払えるけど、小さなきょうだいが受験を迎える際に同じ様に払うのは難しい。」と判断し、お誘いは断りました。

教育費の私費負担が重い日本において、きょうだい数の多さは教育面でマイナスに作用します。3人目以降が適用対象となる児童手当の増額や高等教育無償化では到底足りません。我が家も苦しんでいます。