(7/31追記)
2024年3月にも同種の事故が発生していました。10歳未満の女の子が溺れ、救助されました。
親会社の野村不動産ホールディングス(HD)によると、24年の事故は3月24日午前11時20分ごろ、キッズスイミングのレッスン中に起きた。参加した10歳未満の女児が溺れ、救助後に病院を受診。命に別条はなかった。
必要な浮き具の装着を怠っていたという。女児は、足が着くように置かれていた調整台から足を滑らせて溺れたとみられる。
運営会社は翌25日、「浮き具の装着漏れが原因で子どもが溺れる事故が発生した。クラブの安全管理の不備により、多大なるご迷惑をかけ、深くおわび申し上げます」とする文書を保護者に配布した。
文書の中では、全店で取り組む再発防止策として、浮き具の装着確認の徹底やプールの監視業務の強化、浮き具を装着するクラスの定員を12人から10人に減らすことを挙げていた。
キッズスイミングとキッズアフタスクールという形式の違いはありますが、10歳未満の子供がプールにて溺れたのは同じです。
昨年の事故の原因は「浮き具の装着漏れ」とされ、再発防止策として「浮き具の装着確認」や「プールの監視強化」が打ち出されました。にもかかわらず浮き具は装着せず、プールの監視も徹底されていませんでした。
何より危険だと感じたのは、プールの水深を調節する「置き台」でした。台の上ならば顔が出ますが、台が無い場所では頭頂まで水没してしまいます。
小学1年生にとって、どこまで置き台があるかは判断しにくいでしょう。台があると思って歩いた先に台がなければ、そのまま沈んでしまいます。近くに監視員がいなければ、なかなか気付かれないでしょう。
プール内に1人・プールサイドに1人という監視体制も気掛かりです。プール内からは沈んでいる児童を見つけにくいです。
置き台を置いた側のプールサイドから監視していたら、2レーン以上先に沈んだ児童からは距離があります。水面で反射し、しかも沈んだ児童が置き台の陰になった可能性もあります。
置き台は怖いです。海辺を歩いていたら、急に深みに足が嵌まる状況を思い浮かべて下さい。深さが想定より深くて足が届かなければ、大人ですら慌てます。子供なら尚更です。
1年4か月の間に2度も重大事故を起こす水泳教室は、今後も子供の安全を守れるでしょうか。当面の間、当該店舗は全館で休業するそうです。
つきましては、何よりも安全を最優先に考え、現在進行中の警察および関係機関による捜査への全面的な協力と、徹底した原因究明、そして安全管理体制の見直しと改善に専念するため、誠に恐縮ではございますが、事故が発生いたしましたメガロス武蔵小金井店(メガロスルフレ含む)の営業を以下の通り、特別休止させていただきます。
【メガロス武蔵小金井店(メガロスルフレ含む)全館営業特別休止について】
2025年7月30日(水)13:00から当面の間
└アフタースクール・幼児園(i Kids Star メガロス武蔵小金井)は除く
————
東京都小金井市緑町のスポーツクラブ「メガロス武蔵小金井」で行われていた学童保育に参加した小学1年生がプールで溺死しました。
きのう昼前、東京・小金井市のスポーツクラブの室内プールで6歳の男の子が溺れた事故で、男の子は夜になって搬送先の病院で死亡しました。男の子が浮いた状態で見つかったのはプールに入ってからおよそ5分後でした。
きのう午前11時前、小金井市緑町にあるスポーツクラブの室内プールで、市内の小学1年生の6歳の男の子が溺れる事故がありました。
警視庁によりますと、男の子は意識不明の重体で病院に運ばれましたが、きのう午後10時すぎに死亡が確認されたということです。
その後の捜査関係者への取材で、クラブの監視員がうつぶせで浮いた状態の男の子を発見したのは、子どもたちがプールに入ってから、およそ5分後だったことが新たに分かりました。
当時、小学生の児童ら17人が参加して学童クラブの水泳教室が行われていて、プール内とプールサイドにはそれぞれ監視員と学童関係者が1人ずついたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e3bb9f47970fef363b3d02b4e49ca4e58be2215
お悔やみ申し上げます。
「メガロス武蔵小金井」はJR中央線武蔵小金井駅から徒歩10分ほどの場所にあります。スポーツジム・屋内ゴルフ練習場・プール等が併設されている複合施設です。運営しているのは野村不動産ライフ&スポーツ株式会社です。
小学1年生は「メガロス武蔵小金井」で行われている学童保育(キッズアフタスクール)に参加していました。現在は「夏休みお預かりプラン」が実施されています。
8時から14時までの利用料金は5500円(1日あたり)、14時から19時半も5500円です。朝から夜まで利用すると11000円となる計算です。
https://megalos.co.jp/common/afterschool/inc/pdf/musashi_curriculum.pdf
男児が溺れた28日は夏休みプランで唯一プールを利用する日でした。
報道等によると、プールの水深は約120センチでした。当日は9レーンの内2レーンを学童保育用とし、一部に深さ調整用にと40センチほどの踏み台を置いていました。
亡くなった男の子の身長は約113センチでした。踏み台が無ければ、頭まですっぽりと水中に沈んでしまいます。踏み台があれば、顔は水面上に出るでしょう。
浮いている状態で発見されたのは、学童保育用の2レーンの外でした。踏み台はない場所です。
学童保育中のプールでの事故は過去にも発生しました。2年前には滋賀県長浜市のプールにて小学1年生が溺死しました。同じ学年です。プールの水深は約120センチもあり、しかも踏み台等を設置していませんでした。
一連の報道を見聞きしてリスク要因だと感じたのは、「夏休み中の学童保育における初めてのプール」という部分でした。
先に記した長浜市の事故が起きたのは「7月26日」でした。夏休みが始まって間もない時期という点は共通しています。
たとえば毎週定期的に通うスイミングスクール等であれば、指導員は各児童の泳力を把握しています。泳ぐのが苦手な児童等には監視要員を増やした上で水深が浅い部分にて遊ばせる等、十分な対策を行えるでしょう。
しかしながら、夏休み中の学童保育は勝手が異なります。学期中とは異なる児童が参加する事も予想されます。泳げる児童と苦手な児童を判別しにくく、個々の児童の様子も把握しきれていません。長浜市の事故でも指導員が個々の児童の泳力を把握しておらず、事故に繋がりました。
指導員等が児童生徒の泳力を十分に把握し切れていない状態にて、顔が出ない水深のプールを利用するのは極めてリスクが高い行為です。
たとえ踏み台を利用しても、いつの間にか踏み台がない場所に泳ぎ着いてしまう可能性があります。足が付く筈の場所なのに足が届かず、パニックになってしまいます。
暑い夏にプールを利用したい気持ちは理解できます。ただ、十分な安全対策を行える確信がない限り、プールの利用は控えるべきでしょう。特に「一部児童の顔が出ない水深があるプール」は御法度です。踏み台を使っても危険性が除去しきれません。

