2024年12月9日に第22回大阪市待機児童解消特別チーム会議が開催されました。議題の一つとして、申込数が大幅に増加した令和7年度一斉入所(2025年4月入所)が取り上げられました。

この話題については、当ウェブサイトでも過去に指摘しました。

【2025保育所等一斉入所申込分析】(1)大阪市全体/申込大幅増、1歳児は過去最多、倍率トップは旭区・東住吉区

保育ニーズは年々増加しています。令和6年4月1日現在の保育所等在籍者数は過去最多となりました。利用保留児童も増加に転じています。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/chonaikaigi2/cmsfiles/contents/0000641/641447/22honpen.pdf(以下同じ)

年齢別申込数は1歳児が大幅に増加し、過去最多となりました。0歳児・2歳児・3歳児の申込数も増加しています。

要因は出生数の減少数の鈍化、0-2歳児転出数の減少、有配偶女性就業者数の大幅増(前年比54,000人増)、第2子保育料無償化が挙げられています。

大阪市内(特に中心部)の景気が上向いているのは肌感覚で感じていましたが、まさかこれほどまでに有配偶女性就業者数が増加しているのは想定していませんでした。以前より若年層が育児休業を取得しやすくなったのも一因でしょう。「育児休業が取得ず、退職に追い込まれた。」という話をめっきり聞かなくなりました。

これにより、1歳児を中心として募集数の不足が顕在化しました。特に酷いのは東淀川区・東住吉区・城東区・淀川区・旭区・阿倍野区・西淀川区です。

最も効果的な対策は保育所等の拡充です。大阪市は令和8年4月に2,992人分の入所枠の新設を計画しています。しかしながら大きな問題があります。東住吉区・城東区・旭区・阿倍野区・西淀川区の整備量が明らかに過少です。

新大阪駅を挟んだ淀川区・東淀川区の整備量は十分(但し東淀川区の小規模等の多さは実現性に疑問符)ですが、上記5区は枠不足を全く解消できません。

保育ニーズは今後も増加すると考えられます。コロナ禍前までは市内中心部ほど入所するのが難しい状態でしたが、現在は交通利便性が良い周辺区での入所が難しくなっています。

第2子無償化等により、保育ニーズ率は大幅に増加しました。第1子保育料無償化が実現されたら、ニーズ率は70%を上回るでしょう。

保育所等の利用を前提とした子育て世帯が大阪市内で居住する地域を選ぶのには細心の注意が必要です。コロナ禍前までは保育所等の過不足が概ね同心円状でしたが、最近は斑なドーナツ型へと変化しています。同一区内でも川の両岸や中学校区で異なります。

最も豊富な現場情報を有しているのは区役所の保育担当窓口です。専任窓口たる「保育コンシェルジュ」を設置している区もあります。当ウェブサイトではより細かい情報を掲載しています。併せてご活用下さい。