大阪市が中学2年生・小学5年生・幼稚園や保育所等に通う5歳児及びその保護者を対象に実施した、令和5年度子どもの生活に関する実態調査についての分析結果が公表されました。
令和5年度 子どもの生活に関する実態調査について
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000623642.html
集計・分析されている項目は、所得・生活環境・教育環境・社会環境・経済状況・家庭状況・雇用・健康・学習・対人関係等です。子育て世帯をとりまく環境全てが含まれています。
是非読んで頂きたいのですが、分量が余りに膨大です。報告書は600ページ以上という大ボリュームです。
前回に行われた2016年調査と比べて顕著な違いが現れているのは、等価可処分所得の上昇(世帯の手取り収入を世帯人数の平方根で割って調整した所得)です。
前回調査では平均値272.7万円・中央値255万円でした。一方で今回調査では平均値302.2万円、中央値280万円でした。約10%ほど上昇しました。雇用状況等が改善したのが原因だと考えられています。
一方で対応すべき課題も浮き彫りとなりました。
<経済>
①中2のいる、経済的に困難な世帯における赤字
②経済的理由による進路変更
③公営住宅入居者における赤字
<家庭状況(制度)>
①就学援助受給率の低下
②若年出産女性への教育・就業支援と予防的支援
<雇用>
①経済的に困難な母子世帯の母親における非正規雇用率の高さ
<健康>
①朝食欠食率の上昇と、その背景として家庭で朝食が用意されていないこと
②中2における不安ややる気のなさ
③経済的に困難な保護者における身体的・精神的不調
<家庭生活>
①経済的に困難な世帯における文化活動の少なさ
②遅刻の増加
<学習>
①勉強・読書を「まったくしない」割合の増加
②子どもが希望を持てないこと、見通しが持てないこと
③経済的に困難な子どもにおいて、塾代助成カードを持っていても利用していないこと
④学習塾等に子どもが行きたがらないこと
⑤保護者における無料塾の希望
<対人関係>
①もちものから推測される、子どものインドア・孤独の可能性
②社会的交流の減少(コロナの影響もあり)
③経済的に困難な子どもの、おうちの人以外の大人との交流の少なさ
④子どもにおける居場所の利用希望
⑤経済的に困難な世帯およびひとり親世帯の保護者の相談相手の少なさ
⑥ヤングケアラーである子どもへの社会的支援https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000623/623642/houkokushozennshi13.pdf
これらの多くは先生や子供から頻繁に聞いています。
勉強や読書を「全くしない」割合が増加しているのは、スマートフォンやインターネットの普及と大いに関係しています。
子供がお世話になっている中学校では1日に4時間以上もスマホにかじりついている生徒が非常に多いらしく、問題視されています。同時に読書離れも進んでおり、国語の先生が「文章が読めない生徒が増えた」と嘆いていました。
我が家も子供のメディア依存には困っています。使い過ぎない様に声がけをしても無視、時間制限を導入しても抜け穴から突破しています。後はスマホを没収し、学校から貸与されているパソコンを返却するしかありません。
塾代助成カードは習い事や学習塾等の費用が月額1万円まで助成される制度です。現在は所得制限が設定されていますが、今年秋からは制限が撤廃されます。
ある程度の習い事や学習塾は、月額1万円という助成額を超過してしまいます。経済的に苦しい世帯は超過分を負担するのも難しいのでしょう。それが「保護者における無料塾の希望」に繋がっています。
本来は学校の授業中や放課後等に先生が丁寧に指導するのが一番です。しかしながら大人数の授業と個別指導を平行するのは難しいです。より多くの先生を配置し、習熟度別授業や先生2人による授業等を実施するのが望ましいでしょう。
朝食欠食率や遅刻の多さも話題です。朝食を食べないのは、寝坊やそもそも朝食が準備されていないのが主な理由でしょう。前者はスマホやゲーム等による夜更かし、後者は家計事情や子育てに対する保護者の向き合い方が関係しています。
ただ、こうした生活習慣に対して外部から介入するのは非常に難しいです。以前に学校の先生に深夜のスマホ利用に対する意見を訊ねたのですが、「当然ながら良くない。すぐに止めて欲しい。でも、そうした話を学校から家庭にするのは難しい。保護者の意見を持ち出されたら、それ以上は言えない。」と話していました。
スマホ問題は本当に頭が痛いです。どうやら学校に持ち込んだ生徒がいたらしく、全校集会や学年集会等で繰り返し「スマホを学校に持ってくるな!」という強い注意があったそうです。
中学生の遅刻は本当に多いです。当たり前の様に3時間目や4時間になってから登校する生徒もいるそうです。これまた学校の先生は「来るだけで十分」と話していました。
大阪市は様々な家庭が居住しています。週5日以上の塾通いを継続して北野高校へ進学する生徒もいれば、美人局を繰り返す生徒もいます。
地域や学区によっても違いがあります。学力テストの平均点は同じ自治体とは思えない程に学校毎の差が生じています。
こうした課題と短期的に解決するのは困難でしょう。市全体の課題は認識しつつも、目の前の子供と全力で向き合うだけです。
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