大阪市の学校給食が「おかずが少なすぎる!」「あまりにショボすぎる背景」と問題視する声が報じられています。

〈(子供が)お腹をすかせて帰ってきます。唐揚げは1個しかないようです。豆のおかずも2粒、チーズ1つ、これで1品はおかしくないでしょうか〉

〈メインのおかずが目を疑う量です〉

これは、公立小学校の給食に怒る親たちが大阪市に寄せた声だ。大阪市の公立中学校では’14年に給食の量が少ないとの苦情が出て問題になったが、今度は小学校の給食でもクレームが頻発している。

「最近では市の教員がSNSで〈給食のおかずの量が少なくなっていて、7分目以下に盛らないと足りなくなって来る〉と発信するなど、そのショボさが指摘されているんです」(以下省略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/fb93d5a91a4036e20974af785efa7903f96eae64

大阪市の学校給食はネット上での情報公開が進んでいます。毎月の献立、及び盛り付け例が画像にて掲載されています。

小学校家庭配付用献立表
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000596595.html

中学校家庭配付用献立表
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000596594.html

小学校の献立の写真(令和6年4月)
献立番号1.
ビーフシチュー・さんどまめとコーンのサラダ・あまなつかん

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000582218.html

もう少しメニューが多ければ良いのですが、子供からは給食内容に対する不満の声は聞いていません。

フライデーの上記記事では給食費の低さを指摘しています。

「背景にあるのは給食費の安さです。小学校の給食費は大阪市が全額負担し、日額は小学校低学年で287円、中学年290円、高学年293円。金額が違うのは主食となるパンやご飯の量が違うためで、おかずの内容や量は同じなんです。物価高騰にもかかわらず、今年度のアップ額は小幅でした」

しかし、これは他の政令市より高い金額です。神戸市は小学生1人当たり260円(全学年共通)、堺市は同じく245円~255円です

実は大阪市は2024年度から給食費を引き上げました。2023年度までは1人あたり262円~268円、中学生が335円でした。今年度から上記金額(中学生は350円)としました。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/kisoku_kohyo/cmsfiles/contents/0000623/623855/kaisei.pdf

また、大阪市の給食に対する考え方を問題視する声も掲載されています。

「自治体の考え方で給食の内容に大きな違いが生まれます。食に対してしっかりと考えているところは、給食費が安くても無農薬の食材や(安価で栄養豊富な)地域の作物を使う努力をしている。手作りメニューを揃えるなど、充実した食事が出るんです」

都市部たる大阪市で地域の作物が使いにくいのは仕方ありません。小中学生はおよそ20万人もいます。これだけの人数に対して手作りメニューを揃えるのも容易ではありません。

給食量は学年間で調整、中学校は不登校&少食の女子生徒から

上記記事は「給食のおかずの量が少なくなっていて、7分目以下に盛らないと足りなくなって来る」とも指摘しています。確かに子供も「おかずの配膳に気を付けないと、後の人の量が足りなくなる」と話していました。

しかし、給食の量自体には満足しています。カラクリがある様です。

小学校では以前に先生から「低学年の配膳はやや少なめに、代わりに高学年の配膳はやや多めにしている」と聞きました。給食は自校で全学年分を一括して調理しています。

各クラスの人数に応じて配分しているのですが、食べる量が多い高学年クラスには気持ち多めにしているそうです。そうしなければ高学年は足りない、そして低学年は残飯が大量に発生してしまうそうです。

中学校ではコロナ禍で始まった学校給食費無償化を逆手にとった対策が行われています。実は大阪市立中学校は不登校率が極めて高くなっています。11人に1人が不登校です。

激増する不登校率、大阪市立中学校は11人に1人が不登校

ただ、不登校の生徒分の給食も調理されています。たとえば33人学級ならば、33人分の給食を30人分で食べる計算となります。

また、中学生は女子生徒の喫食量が少なくなっています。殆ど食べないぐらいの生徒もいるそうです。運動部の生徒はほどほどにしっかり食べるそうですが、文化部は少食が多いと聞きました。

結果として、不登校の生徒や女子生徒が食べなかった分を運動部の男子生徒がしっかりと食べています。中には1人で牛乳を3本飲んだり、唐揚げを5個も食べたりする生徒もいるそうです(分配方法は昔ながらのじゃんけん、もしくは早い者勝ちです)。

中学生「給食の時間が30分しかない!」

実は不満点は別の場所にあります。給食の時間が短すぎるのです。

数校の校時表を調べたところ、多くの中学校の昼食時間は30分でした(一部に25分もあり)。


https://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=j572181&frame=frm570e2afa9b57b

30分は食べるだけの時間ではありません。各生徒が机の上を片付け、配膳担当者がエプロンに着替えて30人以上に配膳し、全員が椅子に座って食べ始め、後片付けを終えるまでの時間です。30分で片付けまで終わるのが不思議なぐらいです。昼休みに食い込んでしまう日もあるそうです。

中学生の子供は常々「給食の時間が短すぎる。食べきれない。残すと先生が怒る。」と不満を述べています。純粋に食事が出来る時間は15分程度でしょう。子供の不満も当然です。

以前に昼食時間の短さを学校関係者に訊ねたところ、「弁当持参だった時代の名残ではないか」との指摘がありました。

大阪市立中学校は2011年度までは昼食は弁当を持参していました。2012年度からデリバリー弁当方式を一部で導入する等の改善が進められ、最終的には2019年度から全中学校で自校もしくは近隣校で調理した給食を提供する様になりました(意外と最近の出来事です)。

弁当であれば配膳する時間は不要です。しかし、給食を配膳・片付けるには時間が必要です。この時間が配慮されていないでのないかとの指摘でした。

以前から給食が提供されていた小学校では、給食時間は概ね45分から50分が充てられています。配膳に要する時間は若干の差があるとしても、食事に要する時間が小学生と中学生に大差はありません。中学校の短さが際立ちます。

毎日の弁当作りや冷たいデリバリー弁当に対する不満を考えれば、自校等調理による給食提供は本当にありがたいです。もしも弁当が継続していたら、中学校入学を機に大阪市外へ転出していたかもしれません。

ただ、やはり子供にはゆっくり落ち着いた環境で給食を食べて欲しいです。校時全体を見直す等して、中学校の給食時間をもう少しでも延ばせないでしょうか。